災害への備え

【防災ガール連動企画】平成30年7月豪雨の被害と、岡山・広島の「今」から見えたこと(前編)

 一般社団法人防災ガールと防災について考える連動企画。  2018年の東北に引き続き、今回は、2018年6月~7月に発生した豪雨災害の被災地。全国を跨った災害であったが、被害の大きかった岡山、広島を巡り分かったこと。またそのときドコモはどのようなことを思い何をしていたのかを防災ガールが書き連ねます。ぜひ、皆様ご覧いただき今後の防災について考えを巡らせてみてください。
 防災ガールは防災のこれまでにない価値を提案するWEBメディアの運営や、津波防災の新しい合図「オレンジフラッグ」を全国沿岸部へ展開するなど、企業・行政と連携し新しい防災を提案し続ける全国規模の団体です。
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はじめに

 みなさまは、去年の夏のことをどれくらい覚えているでしょうか。

 6月28日から7月8日の間、西日本を中心に、北海道や中部地方などの全国的に広い範囲で大雨が降り続きました。台風7号の影響や梅雨前線の影響で、勢いを保ったままに降り続いた豪雨は、日本のあちこちに爪痕を残して消えていったのです。
 「平成30年7月豪雨」。当初は報道機関らによって「西日本豪雨」と呼ばれていたものの、その被害範囲の広さをみて気象庁が発表した名前には、エリアの名称が盛り込まれませんでした。

 今回、docomo東北復興・新生支援室のお二方とともに、一般社団法人防災ガール代表の田中美咲、事務局長の中西須瑞化、防災コピーライターとして活動する合同会社LENZ代表の高階經啓は、昨夏に豪雨被害を受けた岡山、広島の「今」をうかがいに、現地に足を運ぶこととなりました。
 寒い師走の頃、降り立った倉敷の駅前にはクリスマスのイルミネーションがきらめいていました。
-目次-
・平成30年7月豪雨の概要について
・岡山・広島の「今」
・印象的だった3つのこと
  1.独特の「浸水」の被害
  2.支援活動の変化
  3.垣間見えた支援活動の難しさ
・これからのわたしたちがすべきことは、点ではなく線になり面になること
前編(本編)
中編 http://rainbow.nttdocomo.co.jp/disaster/detail/36/
後編 http://rainbow.nttdocomo.co.jp/disaster/detail/37/

「平成30年7月豪雨NTTドコモの対応~岡山支店奮戦記~」も続編にてお届けいたします。
2月22日より順次公開予定

<平成30年7月豪雨 概要>


・広範囲にわたって被害が出たが、中でも岡山県倉敷市、広島県広島市・呉市では死者数が多く、岡山・広島が甚大な被害を受けた地域としてひときわ報道された。
・6 月 28 日から 7 月 8 日にかけての総雨量は、四国地方で 1800 ミリ、東海地方で 1200
ミリを超えるなど、7 月の月降水量平年値の 2 から 4 倍となったところもあった。
48 時間雨量、72 時間雨量などが、中国地方、近畿地方などの多くの地点で観測史上 1位となった。

■岡山の主な被害
・死者数61名、家屋全壊4800棟以上と、もっとも大きな被害を受けた。中でも倉敷市の被害がもっとも大きく、死者数は52名にも及ぶ。
・岡山県倉敷市真備町地区では、浸水の深さが最大約5.4メートルに達していた。
・電力、水道などのライフラインも一時は止まった。
・岡山県(及び愛媛県内)のLPガス充てん所から、LPガス容器が約3300本流出。

■広島の主な被害
・被害の大きかった岡山に比べても断水の被害が甚大だった。広島県呉市、江田島市に送水している広島県企業局の導水トンネルにおいて、通常開放されている開閉ゲートが土石流で損傷。その影響を受けて、呉市では 77,952 戸もの家で断水被害が生じた。
・土砂災害が609件、崖崩れが632件発生。この豪雨による被害では全国最多となった。


(参考:内閣府「平成30年7月豪雨第31報」2018年10月9日発布)
http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon7/pdf/301009_1700_h30typhoon7_01.pdf

岡山・広島の「今」

 今回わたしたちがうかがったのは、被害がもっとも大きかったとされる岡山県倉敷市と、広島県呉市が中心となりました。豪雨があった平成30年の夏、日本では大きな災害が立て続けに発生していたことを、みなさんは覚えているでしょうか。
 6月18日には最大震度6弱の大阪府北部地震、6月28日から7月8日にかけては平成30年7月豪雨が発生し、その後、9月6日には最大震度7を観測した平成30年北海道胆振東部地震が発生しています。
 次から次へと発生する大きな災害に、わたしたちはつい、記憶を上塗りされていってしまいます。中でも「雨」の被害であった平成30年7月豪雨は、大きな地震に比べると、なんとなく「そこまで大きな被害ではないのだろう」というような、楽観的な捉え方をする人も多かったのではないかと思うのです。
 それじゃあ、実際はどうだったのか。
 ほとんど報道もされなくなってしまった現地の「今」は、こんな様子でした。

  • 岡山・広島の「今」

<岡山県倉敷市>


・駅前はすっかり都会。綺麗な観光地という印象。しかし真備地区に入ると、人が住めなくなってしまった無人の建物がずらりと並ぶ。津波と違って、建物は一見すると綺麗なままで残っているため、言われなければ素通りしてしまうのかもしれない。
・報道では倉敷市ばかりが目立ったが、実際はその他の地域にも被害は出ている。
・10月から一気にボランティアに訪れる人が減った。
・避難所は倉敷市内に一つだけ残っているが、近く仮設住宅への移動を終える予定だという。避難者は10名。
・ボランティアセンターは今も本部が稼働している。避難所や仮設住宅での暮らしの支援、高齢者の孤独死の予防をおこなうなど、まだまだやるべきことは多い。
・現場からの新たな課題として、「家の壁の腐敗」が発生している。一度水に浸った家の壁がどんどん腐り始めているため、壁を剥がして壊したり修繕する人手が足りていない。ボランティアの新たなニーズが生まれている。

<広島県呉市>


・すべてのボランティアセンターは閉鎖されており、土砂のかきだしなどの作業ニーズも一旦は落ち着いている。
・しかし、落ち着いているのは決して「すべて終了している」わけではない。お金の問題などで取り壊しが進んでいない家はまだまだ多い。
・土が粘土質な地域もあり、そのエリアの泥のかきだし作業はかなり大変。
・「水がここまできた」ということを示す外壁の汚れは、今もあちこちに薄っすらと残っている。



 今回も、前回東北へご一緒させていただいた時と同様にたくさんの方にお話をうかがい、当時のことと今のことを教えていただくことができました。ここまで甚大な被害があった「水害」について、わたしは現地へ行って光景を目の当たりにするまで、正直に言って正確には想像することもできていなかったのだと痛感します。 

「あそこまで水がきとったんよ」
 そう言って指さされるのは、わたしたちの頭上のはるか上を走る線路の鉄橋でした。家の二階まで水がきた。ビルの三階でもダメだった。そんな話を聞きながら、それが一体どんな状態であるのか、なかなか理解が及びませんでした。
 津波とも違う、地震とも違う、よく馴染んだ「雨」による災害。
 岡山県の真備町では、浸水が最大で5.4mもの深さまで達していたといいます。

  • <広島県呉市>

    2018年12月時点での岡山県真備地区の様子①

印象的だった3つのこと

1.独特の「浸水」の被害

 2017年に現地視察をさせていただいた東北では、家も押し流されてしまったり、壊れてしまったり、津波によって傷ついた町の姿が建物からも見て取れるような光景がありました。けれど今回、倉敷市の真備町で見た景色は、「傷」のない被害の跡だったように思います。
 一見すると、どこにでもある普通の町の景色でした。けれど目を凝らして見れば、そこには誰も住んでいません。外壁も、窓も、ドアも、すべてが綺麗なままなのに、浸水被害を受けて人が住めなくなってしまった家があちこちに立ち並んでいたのです。
 「町」の形は保ったまま、それでも確かに、あの豪雨の傷を受けた建物たちが、ひっそりと佇んでいました。
 静かな町の姿は、人が帰ってくる前の福島を想起させるものでもありました。この独特の状態は、きっといくら文献や口頭で伝えられても、実際に目の当たりにしないとなかなか正確には掴めません。今はもうライフラインも復旧しているし、ぜひ一度、足を運んでみてほしいと思います。

~2.支援活動の変化 へ続く~
http://rainbow.nttdocomo.co.jp/disaster/detail/36

  • 印象的だった3つのこと

    2018年12月時点での岡山県真備地区の様子②

団体紹介

一般社団法人防災ガール
https://bosai-girl.com/

本取材同行者 ※順不同
代表   田中美咲
事務局長 中西須瑞化
防災コピーライター 高階經啓(合同会社LENZ代表)

  • 団体紹介

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