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気仙沼パン工房 株式会社

気仙沼のソウルフード「クリームサンド」にかける想い

気仙沼パン工房 株式会社

気仙沼市本郷にある「気仙沼パン工房」は平成14年に設立。気仙沼のソウルフードとしてすっかり定着している「クリームサンド」は誰からも愛されるロングセラー商品です。
※店舗は本郷より長磯森に移動しました。

東日本大震災の発生

2011年3月11日14時46分、東日本大震災が発生。鈴木秀子社長は外出中のため、お店を不在にしていました。揺れが収まった約20分後店に戻り、すぐに外のシャッターを閉めて従業員を帰宅させました。社長自身も車で避難をし、途中の高校で一晩を過ごしたと言います。

パン工房の近所で働いている人が「会社の屋根まで水が入った」と話しているのを聞き、「(パンを作る)機械に水が入ったらもう店をやめよう」と考えていました。震災から4日目に店に行くと、店の前の道路はがれきの山。店の中に入ってみると、水が4-5センチ入った程度で、事務所や店内の被害はほぼなかったと言います。震災当日に仕入れたパンの材料も無事に残っており、電気・水道が通りさえすれば、すぐにパンを作れる状態でした。

当時の様子を語る鈴木社長

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パン作りの再開

震災直後からケータイは全くつながらず、4~5日後ケータイが通じる場所をやっと発見。ケータイの電波が入ると、社長を心配するメールが数えきれないほど届いていたそうです。それから、社長は取引先に「しばらくパンは納品できない」と連絡を1本1本いれました。
ある電話で「社長、何のんきにしてるの。世の中で食べられなくて困っている人がたくさんいるんだよ。社長は食べ物を作るのが仕事なんだよ!電気と水があればパンが作れるなら、電力会社と水道局に交渉しに行きなさい!」と喝を入れられます。その言葉に後押しされ、社長は電力会社や水道事業所に何度も足を運び交渉を重ね、なんとか3月下旬に電気、水道を通してもらえるようになりました。

電気、水道が通るとすぐにパン作りを再開、避難所にパンを届けて回りました。また、数日後には店舗でパンを販売することに決め、店舗の前に「クリームサンドできました」と貼り紙をし販売を再開。当時、店舗には全国から応援にきてくれたボランティアの方が買いにきてくれたそうです。

震災当時、この工房には水が数センチ入っただけで機械は無事だった

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大人気!6種類のクリームサンド

平成14年鈴木社長が「気仙沼パン工房」を設立。 “クリームサンド”の他、“ごま”、“黒糖”味の3種でスタートしました。

ある日姪っ子から「気仙沼パン工房のFacebookがあるから見て」と言われ、読んだら自分の知らないところで情報発信がされていたことに驚きました。「もし社長がこれを見ているなら、もっと種類がほしい」と書いてあり、早速職人に新しい味の追加に向けた相談を行いました。相談の結果、季節が秋だったので“栗”味と、ちょっと上品な“コーヒー”味を追加することになりました。
それから数ヵ月後、「くるみ」が美肌にいいということを知ります。くるみの風味を出すのが難しいながらも、職人が時間をかけて商品化に向けた検討を重ね、くるみ味が完成。今ではこの6種類が気仙沼パン工房のラインナップとなっています。

緑と白に牛のマークが「クリームサンド」の目印

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気仙沼のソウルフードを守る社長のこだわり

気仙沼では「クリームサンドで育った」という人を多く聞きます。社長は、クリームサンドをいくらで買っていたかで世代が大体分かるそうです。「このクリームサンドは親から子、子から孫へ受け継がれる食べ物」と社長は言います。あるお客さんは仙台の孫のところに行くときに「お土産何がいい?」 と聞くと、「作りたてのクリームサンドがほしい」と言われるそうです。また、気仙沼市立病院の売店でもパンを販売していますが、「何も食べられないけど、このパンなら食べられる」という患者さんもいるそうです。社長は「気合を入れてちゃんと作らないといけないね」と笑顔で語ります。

気仙沼パン工房では1日に大量のパンを製造します。パン作りは朝の2時からスタート。朝早くからパン作りをするには出来立てをお客様に食べてほしいという社長の想いがあるからです。
また、パンの材料にもかなり強いこだわりがあります。少しでも材料を変えると同じ味にならないため、材料の高い安いにかかわらず材料は変えないそうです。ある時、油を変えたことがありましたが、すぐに高校生から「パンの味が変わったみたいですけど。」という申告があったそうです。ちょっとした変化でもすぐにわかるほど、定番の味になっていたことがわかりました。

さらに、パンのクリームも手作りで製造しており、パンにクリームを塗る作業はすべて手で行っています。それぞれの味でクリームを塗る分量が決まっており、正確性が求められますが、ベテランになると秤を使わなくても、手で持っただけで重さがわかるようになるそうです。

パン、一つひとつに手でクリームを塗っている

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人とのつながり

震災後、多くの人との出会いがありました。多くの芸能人の方が気仙沼に来られて、クリームサンドをお求めいただきました。また、ボランティアに来た大学生から「休憩のおやつで気仙沼パンをいただき、とてもおいしかった。自分の学校の文化祭でパンを販売できないか」という相談が入りました。東京の複数の大学や、秋田など多くの大学でパンが販売され、どの場所でも大人気、あっという間に売り切れたそうです。そんな各地の大学生からのお礼の手紙が店舗には何枚も貼られています。

全国の大学からのお礼の手紙

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また、震災前に企業研修などでお店に来たことのある人たちは、気仙沼に来た時「社長に少しでもいいから会いたい」と今でもお店に立ち寄ってくれます。「私はただ話しているだけなんだけどね。それぞれ何かを感じて帰るみたい」と社長は笑って答えます。

社長の温かい人柄や、優しいお母さんのような語り口と笑顔は、この、昔懐かしくみんなに愛される「クリームサンド」とどこか通じるものがあると感じました。これからも気仙沼の味をしっかり残していくという、鈴木社長の気合いの入ったパン作りはまだまだ続いていきます。

社長のもとには多くの人が会いに来るそうだ

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新しく移動した店舗

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気仙沼パン工房 株式会社

気仙沼パン工房 株式会社

気仙沼パン工房㈱
住所:988-0042 宮城県気仙沼市長磯森87-1
電話:0226-48-5022

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