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九州北部豪雨に「負けとられん!」~クラウドファンディングを1200%達成した朝倉のこれから~

あさくら観光協会

あさくら観光協会

2014年設立。福岡県の朝倉地域(朝倉市、筑前町、東峰村)の観光戦略を担っています。事務局は、甘木鉄道甘木駅に併設する観光案内所・観光プラザ「ほとめく館」。「ほとめく」とは、甘木朝倉地方の方言で「お客さまをもてなす」の意味。各種パンフレットのほか、朝倉の名物やお土産品も揃え、1日300円で乗り放題のレンタサイクルも行っています。

ある日突然、故郷に住めなくなった

故郷とは、自分が生まれた場所に限りません。あさくら観光協会 事務局長 里川径一さんにとって、福岡県朝倉市の黒川地域は生まれ育った場所ではありませんが、長らく暮らしている故郷のように大切な場所です。熊本県出身の里川さんが黒川地域に引っ越してきたのは2000年のこと。緑豊かな山間部は、子育てをするのにも恵まれた環境だったと言います。

ところが2017年7月5日、記録的な豪雨に見舞われ、思い出にあふれた故郷は土砂に押しつぶされてしまいました。

被災した自宅(写真提供:里川径一さん)

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災害ゴミの流木を使って故郷を復旧させよう!

九州北部豪雨では土砂崩れと流木による被害が大きく、中でも朝倉市は土砂災害の発生件数が163件と甚大な被害を受けました。900戸以上が全半壊し、350戸以上が床下浸水。里川さんの自宅にも土砂が流れ込みました。家がだめになり、故郷には住めなくなり、変わりはてた風景を目の前にしながらも、里川さんはあきらめませんでした。

「負けとられん!」

災害の翌月、里川さん個人の名前でクラウドファンディングのプロジェクトが立ち上がりました。クラウドファンディングとは、不特定多数の人が、インターネットを経由して賛同するプロジェクトに資金提供をする仕組みのこと。「被災者の試み!! 朝倉豪雨災害の流木をウッドキャンドルに」と題したこのプロジェクトは、山から流れてきた大量の流木を使ってウッドキャンドルを作り、支援者に購入してもらうことで復旧の後押しを目指すものでした。

目標金額の50万円に対し、集まった支援額はなんと……600万円以上! 1200%の達成率です。

なぜ、こんなにもたくさんの支援を得ることができたのでしょう?
なぜ、里川さんはあきらめずに行動に移せたのでしょう?

現在あさくら観光協会で事務局長を務める里川さんを訪ねました。

あさくら観光協会の事務局が隣接する甘木駅。駅舎のなかは日陰で気持ちのよい涼しさ。

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今あるものでやるしかない

「動き出しがとにかく早かったことが良かったのかもしれません」と里川さんは1年前を振り返ります。

「今も流木を活用する取り組みはありますけど、僕がやろうと思ったのは災害の5日後くらい。みんながあの流木をどうにかしたいと思っていたのと、被災して間もないのに前向きに活動している僕を応援したいと言ってくれる人がいたのと、その両方があったから」

どうして、そんなにすぐ動き出せたのでしょうか。

「カンボジアでNGOの活動をしていた経験から、『今あるものでやるしかない』と学びました。ウッドキャンドルを作ったことはなかったですよ。でも、山の自然体験プロジェクトとかで使っているところを見たことはあって。それでおいちゃんたちに豚汁を食わしてもらったのを覚えていたんです。生きている間に、まさか自分が被災するとは思っていなかったですけど、被災して、自分ができることとして始めたのがこのウッドキャンドルだったので、人生に無駄なことはないなと思いましたね」

あさくら観光協会 事務局長 里川径一さん。昨年の九州北部豪雨で自宅が被災。現在は家族と仮設住宅で暮らしています。朝倉を元気にするために活動中。

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「朝倉、大丈夫です!」と言わないと

今あるものでなんとかする。お金をかけずに発想する。里川さんの行動力で、その後も朝倉市を元気にするイベントが行われました。その一つが「あさくらサイクルフェスティバル」です。

もともとは2017年秋に開催予定だったのですが、災害により一旦中止に。今年3月に立ち上げ直し、復興イベントとして開催に至りました。最長で117kmを走行する「ツール・ド・ASAKURA」では、コースに被災地も含まれています。そのことに対して、当初は「本当にいいの?」と不安視する声もあったそう。

「僕が課題として思うのは、元気なところとそうでないところ、両方伝える必要があるということです。『朝倉、大丈夫です!』と言っていかないと、風評被害にあう場所もある。例えば、原鶴(はらづる)温泉という温泉地はもう大丈夫ですし、筑前の小京都と呼ばれる観光地の秋月も大丈夫です。だから、『朝倉、大丈夫です!』って言っていかなきゃいけないけれど……一方で、山手のほうは全然大丈夫じゃないんですよ」

だから、その姿を実際に見てもらおうと被災地もコースに入れたのだそうです。「あさくらサイクルフェスティバル」は毎年開催する予定です。その中で、参加者に「ああ、少しずつよくなってきているな」と感じてもらうことも、イベントの大事な目的になっています。

「大丈夫な場所にはぜひ人に来てほしいけど、大丈夫じゃない場所を知らないで帰られちゃうと、それも違う。僕自身も被災しているからこそ、その両面を丁寧に伝えないといけないな、と思います」

「あさくらサイクルフェスティバル」2018年3月開催の様子。

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朝倉の被害は、山間部ならどこでも起こる可能性がある

里川さんが「大丈夫じゃない場所」について語るのには理由があります。それは、朝倉市の被害が日本全国の山間部でも起こりうることだからです。

「たった1日や2日の間に1カ月分の雨が集中して降ったら、朝倉でなくても、山間部ならどこでも災害が起こります。今回朝倉で起きたことをきっかけに、災害防止について考えていかないと。流木を活用したウッドキャンドルも『朝倉の支援』で終わらずに、実際に焚き木したり、年に一度、火を囲みながら非常食を食べる日をつくったりと、災害について考えるきっかけにつなげてきたいですね」

流木を活用したウッドキャンドル。木の内部に火をつけて焚き木をしたり、使わないときはスツールとしても使えます。

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九州北部豪雨から1年。復興後の街づくりに動き出す

街を元気にするために活動を続ける里川さん。県外から移り住んだ里川さんにとって、朝倉市の魅力はどんなところなのでしょうか。

「朝倉は食料自給率が約108%(※)なんですよ。2000年以降、リーマンショックとかいろいろあったけど、朝倉の農家さんたちとしっかりつながっておけば餓死することはないだろう、という安心感がありますね。この米はあのおじさんが作ったやつやなあとか、目に見えるつながりを持つことで、生きていることの有用感って感じられると思うんです」
(※カロリーベースによる試算)

「つながり」は、里川さんが感じている朝倉のキーワード。黒川地域に住んでいたとき、里川さん宅の家賃は家主のご厚意で破格の値段だったそう。もちろんこれには地元の人間関係、里川さんが行ってきた活動など、さまざまなことが関係していますが、一般的にも「支出を減らしやすい」「つながりで助け合える」ことは田舎暮らしの魅力だといいます。

「最近ね、またひとつ思いついたんですよ」と、アイデアマンの里川さんがにっこり。流木を活用したウッドキャンドル、被災地を通るサイクリングレース……今度はいったい何に注目したのでしょうか?

「被災前から商工会議所で『エディブルフラワー(食べられる花)』が面白いのではと話していたんですが、食べられる花のリストにコスモスがあるんです。ヒマワリやサクラと並んで、コスモスは朝倉市を代表する花。朝倉の飲食店でコスモスを使った料理が食べられたら、街を回るのがもっと楽しくなるでしょ」

すでに街のあちこちでは、被災したままの景観では寂しいからと、地元の人たちがヒマワリやコスモスを植えているそう。コスモスの花言葉は、「乙女の真心」。朝倉の乙女たちが真心込めて育てたコスモスが、地域の名物になる日がくるかもしれません。

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あさくら観光協会

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あさくら観光協会
〒838-0068 朝倉市甘木1320

URL:http://amagiasakura.net

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