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認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリー

いわきらしくないお店? いわきワイナリーが直営ショップをオープン

認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリー

2009年設立。ハンディキャップのある人々が自立して暮らせるよう、就労支援を行っています。活動が認められ、2013年に福島県初の認定NPO法人となりました。ブドウの栽培から加工までを行う「いわきワイナリー」を運営。2018年に直営ショップである「いわきワイナリーガーデンテラス&ショップ」がオープンしました。(写真左:理事長 今野隆さん 右:いわきワイナリー マネージャー 四家麻未さん)

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深呼吸したくなる風景に出合う

いわき駅から車で20分ほど。坂道を登っていくと、左手にブドウ畑が見えてきました。美しく整備された木々の合間にはテーブルとイスが置かれており、まるでフランスの邸宅にティータイムを楽しみにきたような気持ちになります。広々とした駐車場には、大型の観光バスも停められるそうです。

車を降りると、見晴らしの良さに思わず声を上げてしまいました。この日は晴天で、ブドウ畑の奥に阿武隈の山並みがはっきりと見えました。どっしり構えた山々の深く濃い緑と、青々としたブドウ畑のみずみずしさが対照的です。

お邪魔したのは、2018年7月にオープンした「いわきワイナリーガーデンテラス&ショップ」。いわきワイナリーの直営店です。常時20種類以上のワインを取り揃えており、ワインはもちろん、チーズやオリーブなどのおつまみも購入できます。ワインは一杯300円で試飲が可能です(試飲できるワインとそうでないワインがあるのでご注意ください)。運転があるので飲めない、という方も、ぜひコーヒーやジュースを飲んでゆったりお買い物を楽しんでもらいたいですね。そのくらい、この場所は「用事を済ませたら帰る」なんてもったいないロケーションなんです。

いわきワイナリーガーデンテラス&ショップの外観。とても良い意味で、「いわきらしくない」と形容されるそう。

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店内の様子。窓が大きく取られており、お店の中からも外の景色を楽しむことができます。

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ハンディキャップのある人たちにワインづくりは合っている

いわきワイナリーおよびガーデンテラス&ショップを運営しているのは、障がい者のための就労支援センターを経営する認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリーです。理事長の今野隆さんが「障がい者が安心して自立した生活を送れるようにしたい」と、2009年に設立しました。

障がい者の方々が働く場所としてワイナリーを選んだのは、偶然見たテレビ番組がきっかけでした。今野さんは、ハンディキャップのある妹さんが景気に左右されて仕事が安定しない様子を見て、「もっと働ける場所があればいいのに」と思っていたそう。そんなとき、テレビでワイナリーが紹介されているのを見て、ひらめいたのです。「発酵や熟成といった“ゆったりとした時間”が流れるワインづくりは、障がい者の人々に時間の流れが合っているのではないか」。こうして、ワインづくりがスタートしました。

ワインをつくる過程では、畑仕事からラベル貼りまで、多種さまざまな作業が発生します。仕事の種類が多いことで、利用者の方々の個性や技能に合わせた作業を割り振ることができ、一人一人が得意なことを生かして働ける環境ができています。

ワイナリーでつくったワインを直接販売できる場所はこれまでもありましたが、それらはどちらかというと、メインの事業や商品がある場所に「いわきワイナリ—のワインも置いている」状態。ガーデンテラス&ショップのような旗艦店ができるのは初めてです。「自分たちのショップを作りたいとは以前から思っていたんです」と今野さん。どんな経緯で直営ショップを立ち上げることになったのですか?

「ここはもともと、いわき市役所の土地なんです。何十年も活用されていなかったので、はじめは駐車場として借りられないか、と考えていました。すると市から『内容によってはお貸しします』と言ってもらえたので、それなら土地をきちんと整備してショップをつくろう、と動き出したわけです。市は観光できる場所をつくりたい、私たちはショップをオープンさせたい、ということで、協働できたんですね」

ショップの前にはブドウ畑が広がっています。敷地を整備するのは大変な作業だったそうです。

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ワイナリーと飲む人をつなぐ交流の場

ショップがオープンしておよそ1年。毎日、県内外からたくさんの方がやってきます。観光バスが駐車できるため、今年はバスツアーで1日に400人が訪れる日もあるのだとか。観光のお客様だけでなく、地元の方々がお土産やプレゼントに購入していくことも多いそうです。

いわきワイナリーのマネージャーを務める四家麻未さんは、広報活動のため全国さまざまな場所を飛び回っています。バスツアーのプランも、麻未さんが毎年参加している「“よい仕事おこし”フェア」(東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催)でつながりができたから。バスツアーは初めての試みだそうですが、今年の4月にスタートし、3カ月間で約5000人以上の方がショップを訪れる予定だというので驚きです。

「オープンしてから、認知度と言うんでしょうか、いわきのワインが知られるようになったなとは思いますね。まだショップのホームページに詳細が出ていない頃から、『見学したいんですけど』と問い合わせを多くいただきました。でも、同時にまだまだ知らない人が多いんだな、とも感じます。お客様同士の会話で『いわきにワイナリーがあるの?』なんて聞こえてくることがあるので(笑)」

オープン後、麻未さんは新たに体験メニューを用意しました。「テイスティング&ショッピングコース」という20分間のお買い物案内です。ブドウの種類、ワインに合うお料理、ワイナリーのこだわりなど、ワインの世界の奥深さに戸惑い「いろいろあるけど何を買ったらいいのかわからない」と迷ってしまうお客様もいます。特にバスツアーで訪れるお客様は次の目的地が決まっているので、限られた時間の中でいわきワイナリーの魅力を知ってもらうために、こうしたおすすめコースが活躍するのです。

セラー見学や、目の前に広がるブドウ畑を見学できる「ワイナリーツアーコース」もあります。ガーデンテラス&ショップは、作り手との交流の場としても機能しているんですね。

理事長の今野隆さん(写真左)と、いわきワイナリー マネージャーの四家麻未さん(右)。店内でお話を伺いました。

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ブドウも庭も、自然の力で整備したい

併設されたブドウ畑を見せていただくと、あちらこちらに白い花が咲いているのに気づきます。

「最近、雑草の繁殖を防ぐためにクローバーを植えたんです。ブドウはもちろん、敷地の整備もできるだけ自然のものを生かしたいと思っているので。よくお客様が四つ葉のクローバーを探していらっしゃいますね。結構見つかるらしいんですよ。ガーデンにはくぬぎの木が植えてあるので、どんぐり拾いを楽しんでいるお客様もいますよ」

今野さんも麻未さんも、「こんなに景色がいいとは思わなかった」と笑います。何しろ何十年も手付かずだった場所。整備はとても大変だったそうです。雑草を抜いたり、芝を貼ったりと、自分たちでできることは何でもやりました。ガーデンにあるテーブルとイスを組み立てたのは、普段は畑仕事が中心の利用者の方。とても手際がよく、聞くとプラモデルづくりが趣味で、パーツを組み立てる作業が得意だったのです。普段のワインづくりとは違う仕事が発生したことで、こうした利用者の新たな一面を見ることもできました。

ガーデンテラス&ショップでは、庭や広い駐車スペースを生かしたイベントを行っています。今年も10月に「収穫感謝祭」を開催予定です。ワインとお料理の提供のほか、屋外でのジャズライブ、雑貨店の出店など盛りだくさん。秋のすずやかな空の下、いわきのワインをゆっくり味わうことができます。イベント中はいわき駅からシャトルバスが出るので、県外からの参加もしやすいですよ。

地元でつくられたものをその場所で、時間を気にせずゆったり味わうことは、とても自然な幸せの形なのだと気づかされた1日でした。

ブドウ畑を確認する麻未さん。足元にクローバーが咲いていました。

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ブドウが育ちはじめていました。ブドウの実はおいしいので、野生動物に食べられないようにすることもワイナリーの仕事です。

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認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリー

認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリー

いわきガーデンテラス&ショップ
〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字半貫沢34-72
営業時間:11:00~16:00/不定休
アクセス:JRいわき駅から車約15分/いわき中央ICから約7分

認定NPO法人みどりの杜福祉会 いわきワイナリー
〒970-8025 福島県いわき市平南白土2-1-5

URL:https://iwakiwinery.com/
URL:http://midorinomori-f.com/miraikobo/

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