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高橋そのみさん

社会起業家のまち・仙台発 「女性の自立と自由をICTで後押し」

高橋そのみさん

仙台市では震災以降、社会起業家を志す人が目立つようになりました。特に女性の起業家が増えており、2015年には「女性活躍・社会起業のための改革拠点」として、国家戦略特区の指定を受けています。市内のシステム開発会社の取締役で、今も現役のシステムエンジニアとして活躍する高橋そのみさんも、その一人です。オンライン技術を駆使し、女性が自由や自立を手に入れられる社会の実現を図ろうと、2020年の4月から取り組みをスタートさせました。そしてドコモはこの取り組みに賛同し、構想の実現に向けてサポートしています。起業にかける想いや挑戦について、高橋さんに話を聞きました。

女性の貧困とICT人材不足を同時に解決する事業モデル

高橋さんは2020年の春より、「Sonomity(ソノミティー)」という女性中心のコミュニティの立ち上げに取り組んでいます。Sonomityは、プログラミングなどICT業務未経験の女性を主なターゲットに、eラーニングやインターンの機会を提供したり、オンラインを中心にメンタリングの実施やネットワーキングの形成を図ったりするスクールコミュニティです。女性のシステムエンジニアやプログラマーを発掘、育成する循環モデルの実現をめざしています。

高橋さんは大学卒業後、都内の大手システムインテグレーション企業に就職。以来30年近くシステム開発に携わる中で、男女関係なく活躍できる仕事だと認識しています。それなのに、女性の人材が育ちにくいことを課題に感じていました。

「私は結婚後に会社を辞めることになりましたが、リモートワークなどでなんとかキャリアを積み上げることができました。けれども、旦那さんの転勤により離職する女性や、子育てと両立できず出産前とは異なる仕事に就く女性も多くいます。こうした現象はこの業界に限った話ではありません」

高橋そのみさん。

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ライフイベントによる女性のキャリアの分断は、男女間の収入格差を生む一因となっています。特にシングルマザーの家庭では、子どもに十分な教育や機会を与えられず、貧困の連鎖が起こることも大きな問題です。また一方で、ICT業界では将来的な技術者不足が問われています。そこで高橋さんは、両方の課題をつなげるしかけを思いついたのです。

以前から女性ICT人材の不足を周囲に話していた高橋さんですが、具体的に何をすればいいのか分からずにいました。しかしある時、一緒にコミュニティを運営している友人から市内で行われる社会起業家の支援プログラム「SOCIAL INNOVATION Accelerator(SIA)(ソーシャル イノベーション アクセラレーター)」を紹介されます。その友人も以前参加したことがあり、高橋さんの考えを具現化するのに最適だと教えてくれたのです。

Sonomityの仕組みとしては、未経験者を企業で即戦力となる女性ICT人材として育成し 、OGがメンターとなって次の参加者をフォローする。女性同士だとアドバイスを受けること に抵抗が少なく、お互いの学びにもなるというメリットがあります。

「SIAの期間は本業の繁忙期にちょうど重なるため、両立できるか少し不安でした。でもチャンスの前髪は逃がさない!と決めていて、諦める選択肢はなかったですね」

こうしたポジティブなマインドは、震災を経て培われたものでした。もともとは人見知りで、新しいことにも慎重だったといいます。けれども震災で生活が一変し、周りの人と助け合う中で、自分から動くことの大切さに気づいたといいます。

「SNSで買い物や銭湯の情報などをシェアするなど、積極的にSNSを使うようにもなり、それと同時に知人の数も増えていきました」

そして、立ち上げに携わったITエンジニアのコミュニティが心の支えとなったこともあり、今度は暮らしや仕事に悩む女性のための場をつくりたいと一歩を踏み出すことになったのです。

Sonomityの仕組みのイメージ。

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入口に共感の支えがあれば、歩んでいける

SIAには農業や教育、バリアフリーなどさまざまな分野の志の高い人たちが集まり、講義を受けながら事業プランを立てていきます。その過程で、高橋さんはたくさんの気づきを得て、今まで考えもしなかったことにも興味を持つようになるなど 、ほかの参加者から大いに刺激を受けたそうです。

そして、構想実現に大きく近づくチャンスも得ました。NTTドコモが支援する、SIA参加者向けのビジネスコンテストで、ICTの活用と人の課題の融合が評価され、見事、大賞に選ばれたのです。NTTドコモとは、eラーニングコンテンツの提供やメンターの派遣、インターンの実施などの協力を協議している最中です。

中でもメンターについては、大きな期待を寄せています。それは自身の経験が大きく影響しています。

「女性 は身近な存在の有無で、アクションが変わってきます。振り返れば、私も未経験でエンジニアの仕事に就いたとき、気さくにフォローしてくださる女性の先輩がいました。だから入口で大きくつまずくことなく、男性の多いIT業界にも自然と馴染めるようになりました。Sonomityでは参加者のみなさんがスキルや仕事のことに限らず、家庭との両立も含めて悩みを共有しながら、自分らしいキャリアを切り拓いてほしいと願っています」

笑顔の架け橋Rainbowプロジェクトのメンバーの中にも、コミュニティに加わるメンバーがいます。自身も小さな子どもを持つシングルマザーであることから、当事者の一人として関わっていく予定です。

▼ 高橋さんの活動をサポートしているドコモの取り組みはこちら
↓↓↓
http://rainbow.nttdocomo.co.jp/action/detail/185/


今年2月に行われたSIAのイベントでビジネスプランを紹介したところ、既にSonomityに関心を寄せる人たちが集まり始めています。中には50代の女性や、10代の娘と親子で参加したいという女性もいます。講師やメンターとして支援したいという人もいて、高橋さんは潜在的なニーズが確実にあると感じています。

NTTドコモが支援する、TOHOKU Social×Tech. (トウホク ソーシャル×テック)コンテストでの表彰式のひとコマ。

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人生の主役になれるよう背中を押したい

SIAの修了と入れ替わるように、新型コロナウイルスの感染拡大により従来の働き方やコミュニケーションが機能しなくなってきています。この現象は立ち上げたばかりのSonomityにも少なからず影響を与えています。計画当初はオンラインを駆使しながらも、コミュニティはリアルな場を設けることを想定していました。ところが人が集まること自体が難しくなり、現在はフルオンラインでイベントを設計しています。急な対応を迫られましたが、見方を変えれば追い風でもあると高橋さんは話します。

「インターネット環境さえ整っていれば、仙台エリアに在住していない人でも参加できるようになったわけです。またリモートワークが当たり前の社会になれば、時間に縛られず一人ひとりの事情やペースに合った働き方ができるようになるでしょう。そのため初年度は10人程度のコミュニティを見込んでいたのを、100人規模に拡大する形に事業計画を見直しました」

今年のゴールデンウィークには、zoom(ズーム)を使ったオンライン講座を実施。反響は大きく、多くの女性たちがプログラミングに挑戦しました。

プログラミング講座_1_R

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高橋さんは将来的に、性別に関係なくSonomityの仕組みを展開していきたいと考えています。高齢者を介護する人や障害者など、働き方に制約のある人は女性に限らず少なくないからです。
とはいえ、第一段階でめざすのは仙台エリアをはじめ、東北エリアの女性たちにキャリアと人生の自由を届けること。東京などの大都市圏と比べると、まだまだ多様な 生き方の選択肢や機会が整っていないと感じるからです。

「東京の友人たちは、自分の意思で仕事とプライベートを決めているような印象を受けます。でも仙台でそれができている人はまだ限られていて、一歩引いてしまうというか。女性自身が人生の主役になれることに、気づいていないようなところもある。Sonomityから自分らしい生き方を実践する女性を多く輩出し、現状に不安を感じながらも踏みとどまっている人の背中を押し続けていければと思っています」

高橋さん自身がさまざまなライフイベントを経ながらオリジナルのキャリアを紡ぎ続けてきただけに、その言葉には説得力があります。そして、得意とするフィールドで、東北の女性たちのさらなる活性化に挑む高橋さん。それを支えるのはICTと、支え合うことの尊さを実感した震災時の記憶なのかもしれません。

Sonomityというコミュニティの存在を、 ティザーサイトに加えてPeatix、Twitter、noteなど複数のWebコミュニケーションツールを用いて発信。

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高橋そのみさん

高橋そのみさん

社会起業家の支援プログラム「SOCIAL INNOVATION Accelerator(SIA)※」のプログラムで半年かけてビジネスプランを練り上げ、終盤に行われるピッチコンテストで、250人を超えるオーディエンスを前に自身のプランをプレゼンテーション、優秀賞を獲得しました。
https://www.social-ignition.net/2019

高橋さんは2020年の春より、「Sonomity(ソノミティー)」という女性中心のコミュニティの立ち上げに取り組んでいます。

URL:https://www.facebook.com/groups/sonomity/

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