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株式会社エフライフ

福島で見つけた「ポジティブ」を詰め込んだカレーを、リアルとオンラインで楽しみたい!

株式会社エフライフ

福島県郡山市のうすい百貨店に、2020年夏オープンするカレー屋「with curry」。郡山市で、福島県産の日本酒と食にこだわったローカルスナック「SHOKU SHOKU FUKUSHIMA」や、福島県内の酒蔵を取材した冊子と県産日本酒、おつまみをセットで毎月定額で発送する「fukunomo」を運営する株式会社エフライフが運営。
「with curry」は、この春、新卒でエフライフに入社した吉川みゆきさんが店長を務めます。

「カレーガールみゆき」の誕生

2020年のはじめに、急遽世界を襲った新型コロナウイルス。様々な場所、場面で大きな影響を与え続けていますが、その中で自身の人生を大きく変えるような出来事が起こった人も少なくないのではないでしょうか。
福島県郡山市のデパート、うすい百貨店にこの夏オープンするカレー屋「with curry」で、新卒ながら店長となる吉川みゆきさんも、まさにその一人。「実は、小さいころからずっとカレーが好き!というわけではなかったんです」というみゆきさん。カレーガールとなるきっかけは、福島へのインターン、スリランカへの留学、そして、このコロナ禍、でした。

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福島との出会い

岐阜県下呂市出身のみゆきさんは「地元からできるだけ遠くの場所で、違う文化を体験したい」という思いで、栃木県宇都宮市の大学に進学。国際関係を学びながら、ダンスサークルに打ち込んでいました。

両親ともに青年海外協力隊出身というみゆきさんの家族。みゆきさんも国際関係、特に貧困などの社会問題には大きな関心を持っており、大学の留学制度を使いスリランカへの交換留学を決めました。
留学するタイミングと帰国後の就職活動時期を考えると、留学前に半年休学したほうが良いと考えたみゆきさんは2018年の年末、東京で開催されたインターン受け入れ企業を探すイベントに参加。そこで出会ったのが、「with curry」を運営する、株式会社エフライフ(以下、エフライフ)だったのです。

みゆきさんは「とにかく食べることが大好き」なので、食にかかわる企業でインターンをしたいと考えていました。エフライフは、福島の豊かな食を伝えていくことが理念の一つ。そして社長の小笠原隼人さんは「みんなで楽しく食を囲むこと」で生まれる関係をとても大切にしている人です。その思いに共感したみゆきさんは、2019年の1月から約半年間、エフライフのインターンとなりました。
(写真:エフライフで、オンライン配信をするみゆきさん)

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福島で出会った、キャベツの芯までおいしい野菜と、カッコいい大人たち

「とにかくもう、そのキャベツの芯がおいしくて、感動しちゃったんです!」。福島の食の魅力を語るとき、みゆきさんが繰り返し言うのが「キャベツの芯」のおいしさ。その時みゆきさんが食べたのは、郡山市で年間約300品種の野菜を育てる農家「鈴木農場」で生産されたキャベツを、同じく郡山市のフレンチシェフで、後に「with curry」のレシピ開発にも深くかかわる、中田智之シェフが料理したものでした。

エフライフでのインターンの中で、福島県の豊かな食と、そこにかかわる生産者やシェフ、そして全国新酒鑑評会で多くの金賞を受賞する日本酒の酒蔵などで働く大人たちと出会ったみゆきさんは、「働くこと」への考え方が大きく変わったといいます。
「東日本大震災と原発事故があって、大変ではあるけれど、だからこそ生業を大切にしながら、品質を高めたり、震災前にはなかった連携が生まれたりする現場に多く立ち会いました。そういう姿勢で働いているから、こんなにおいしい野菜や料理が生まれるんだと、肌で感じました。逆に、お金を稼ぐことだけを目的に働いているような人に出会うことが、ほとんどなかったんです」。福島で体験したローカルの面白さは、その後のみゆきさんの生き方にも影響を与えていきます。
(写真:みゆきさんとレシピ開発をする、シェフ中田さん)

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スリランカ、インド、そしてまた福島へ

予定通り、福島でのインターン終了後、スリランカへ留学したみゆきさん。日本とは全く違う時間感覚、価値観の中、はじめは苦労しながらも、そこで出会ったヨガと、ほとんど毎食カレーという生活に魅了されていきます。「日本のカレーライスとは全く違って、どんな食材でも煮込んだら『カレー』で、それを皿の上で混ぜて手でいただくのですが、すごく食材の種類が多くて、毎日食べても全然飽きないんです!」。いったん帰国した後、ヨガの勉強で訪れたインドでも、もちろん毎日カレー。すっかり「カレーガール」になってしまったのでした。

スリランカから帰国後、就職活動を始めたみゆきさん。福島でのインターン生活で、「ローカルの面白さ」を体感し、「それを伝える仕事」がしたいと、ローカルメディアを中心に就職活動をし、静岡県熱海市のケーブルテレビ会社に内定をもらいました。「福島は大好きだけど、もう第2の故郷という存在になっていて、いつでも戻れる場所だと感じていたので、あえて別の地域で就職しようと思っていた」というみゆきさんは、就職内定後、第2の故郷となった福島で、エフライフから1カ月だけ、台風19号被災地域の復興にかかわるライター仕事を請け負います。その仕事が終わった後、社長の小笠原さんから、「みゆきがもう内定が決まっているのは分かっているけれど、1カ月一緒に働いてみて、考え方や価値観も合っていて、今後も一緒に働いてほしいと思ったので、入社を考えてくれないか」と強いアプローチを受けたのです。
(写真:スリランカカレー豪華バージョン みゆきさん提供)

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支援ではない、福島への思い

「私自身は、福島で復興支援をしている、と思ったことは1回もないんです」と強く言い切るみゆきさん。2011年3月11日の東日本大震災時、みゆきさんは中学生。地元の岐阜県はほぼ揺れることもなく、大学に進学するまでは、震災や原発事故を身近に感じる機会もありませんでした。福島にインターンに来るときも、情報が少なかったため、ネガティブなイメージもあまりなかったといいます。「多くの生産者の方からお話を聞くときに、必ず震災の話は出ます。特に漁師の方などは、まだ試験操業でしか漁に出られなかったり、深刻な状況は続いています。でもだからこそ、震災以前はつながっていなかった生産者同士や異業種との連携ができたり、よりよい商品を提供しようと努力したりしていて、私が受け取る福島のイメージは、ポジティブなものばかりです」。エフライフのスタンスも、福島のローカルな食と人の魅力を伝える、という部分は同じです。もちろん悩みはしましたが、「福島で受け取ったローカルの魅力と、出会った素敵な人たちの思いに恩返しがしたい」という気持ちも強かったみゆきさんはエフライフへの就職を決めました。
(写真:みゆきさんとエフライフ社長・小笠原さん(左))

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就職直後のコロナ禍 だからこそ生まれたオンラインでつなぐカレー

みゆきさんがエフライフへの就職を決めたのは、2020年の3月中旬。この頃はまだ、特に福島県では新型コロナの影響はそんなに大きくはありませんでした。それこそ、会社内で、週に2~3回は、みゆきさんのリクエストでカレーを食べながら、次年度を考えていた時期でした。
エフライフの事業でみゆきさんが担当する予定だったのは、新規事業のシェアハウス兼コミュニティキッチンの運営と、郡山駅前で営業するローカルスナックSHOKU SHOKU FUKUSHIMAのサポートと、どちらも人と直接的なコミュニケーションを伴う仕事。新型コロナによる緊急事態宣言が全国に発令されたことで、それらの仕事ができなくなり、新卒で入社して早々、業務の変更を余儀なくされてしまいます。

なにをすればいいんだろう、私がここで働く意味ってなんだろう……。みゆきさんが悩む日々の中、エフライフに、郡山駅前のデパート、うすい百貨店の地下のテナントに空きが出たので、何かやらないかという誘いが入ります。
コロナ禍で、世間ではテイクアウトの価値が見直されていた時期でした。デパ地下、テイクアウト……、エフライフにはカレー好きのみゆきがいるからカレーがいいんじゃない?もちろんリーダーはみゆきで!と、新事業のリーダーに抜擢されたみゆきさん。「こういう状況でなければためらっていたかもしれませんが、福島でのインターンや留学する中で、今、ここでできることを大切にしたい、という気持ちが強くなっていたのでやってみようと思いました」。
(写真:取材の日にごちそうになったレシピ開発中のカレー。ビーフ、バターチキン、ベジタブル、3種のカレーの上に、素揚げした夏野菜と手作りピクルスをのせて)

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「with curry」のこだわりは、一人前のちょっと贅沢なカレー。そのカレーとトッピングは、郡山市で食材にこだわった料理を提供するフレンチレストラン「なか田」オーナーシェフの中田智之さんが監修したもの。みゆきさんが感動した、福島の食の魅力をこれでもかと詰め込みました。「一人暮らしで、今日はちょっとおいしいカレーが食べたい、と思ったときや、今日は子どもがいないからお昼にちょっと贅沢しちゃおうかな、とか、そんな日常の「ちょっといいものを食べたいな」という思いに応えられるカレーだと思います!」とみゆきさん。
そして、コロナ禍で多くの人が感じた、孤食の寂しさにも対応したいと、毎晩オンラインで一緒にカレーを食べるという企画も。「インスタライブで、毎晩20時頃に、私やスタッフがカレーを食べる姿を配信します。with curryで買っていただいたカレーをオンラインで一緒に食べることで、一人のごはんも楽しくなればいいなと、まさに今のこのタイミングだから発想できたことです」。
(写真:カレーを食べながらオンライン配信する、みゆきさんと中田シェフ)

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わざわざ食べに行きたくなるものが、福島にはある!

最後にみゆきさんに、アフターコロナでどう世界が変わっていくか、聞いてみました。少し悩んで、「会いたい人には直接会いに行く、わざわざ足を運びたいところにだけ行く、と、いろいろと精査されていくのかなと思います。また、オンラインでつながりやすくなったことで、私の地元である岐阜や、留学先の友人と、いま身近にいる福島の人たちが、同じ空間でつながれたことはうれしく、可能性を感じた出来事でした」と応えてくれました。「いま、自分が何を大切にしたいかがはっきりしていくのではないでしょうか。私は今、福島の食や人を伝えることがとても楽しいので、ここにいる。福島には、わざわざ足を運んで食べに来る価値のあるものがあります。オンラインも大切ですが、個人的には直接会って話すことが大好きなので、お店がオープンしたらたくさんの人と直接話して、一緒にカレーを楽しみたいです!」

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株式会社エフライフ

株式会社エフライフ

福島県郡山市で、ローカルスナック「SHOKU SHOKU FUKUSHIMA」、県産日本酒とおつまみを毎月定額で届けるサービス「fukunomo」など、福島県の食と人の魅力を発信する事業を精力的に行う。
2020年夏、郡山駅前うすい百貨店に、カレー店「with curry」を出店。

URL:https://www.f-life.org/
URL:https://www.facebook.com/withcurry/
URL:https://camp-fire.jp/projects/view/282004

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