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株式会社 奥松島水産

愛情かけて育てた奥松島の「旨牡蠣」

株式会社 奥松島水産

奥松島は、日本三景の一つである「松島」の東に位置し、荒々しく男性的な三陸リアス式の景観が見られる漁師町です。「株式会社 奥松島水産」では親子3代に渡って牡蠣養殖を専門に営んでおり、奥羽山脈から流れた豊富な栄養がそそぐ、海水と淡水が混ざり合った汽水域で育てることで、実入りの良い牡蠣に仕上げています。事務所に併設された独自の加工場では、牡蠣の試食や殻剥き、工場見学など、漁業体験の受け入れも行っています。

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内湾で育てた後、沖の荒波で鍛える 奥松島独自の取り組み

奥松島水産では、針金でつないだホタテの貝殻に牡蠣の種付けをして、ある程度育てたところで「種牡蠣」として北海道~九州へ出荷しています。夏(7~8月)に種付け作業を行い、秋(11月~)には収穫し販売が始まります。
昔は内湾だけで育てていましたが、外洋には栄養が豊富にあるということで、ある程度育てた後、沖に持っていくようになりました。漁師の知恵と技術を生かして育てられた奥松島の牡蠣は、大きく成長した時にも時化(天候が荒れたとき)に強く生存率が高いため、全国の生産者から人気を集めています。
3代目の阿部晃也さんは栄養が豊富な海域に実験ラボ(漁場)を作り、地域に合った飼育方法を模索し続けています。
海へ出てみると、いたるところに奥松島水産の漁場が広がっています。ホタテの貝殻を一枚見せてもらうと、牡蠣の赤ちゃんがぴったりとくっついていました。一本の針金にはいくつもの貝殻が付いていますが、上と下で味や大きさ、出荷時の出来栄えが変わるため、ときどき上下を動かして調整しています。また、針金を固定するための3メートルの竹の高さも調整し、3年に1度は竹の差し替えを手作業で行っているそうです。

牡蠣への愛情にあふれた3代目の阿部晃也さん

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震災を乗り越え、種牡蠣が全国制覇

震災時、海に設置していた牡蠣棚は全滅しましたが、津波を乗り越え生き残ったわずかな親牡蠣のほか、各地の水族館から集めた親牡蠣を海に沈め、種付けを再開することができました。
震災後は牡蠣の卵が流れてくる場所も変わってしまったため、阿部さんは気温や水温を計算し、海流を見きわめ、卵が流れてくる場所を見計らってホタテの貝殻を設置しているそうです。震災前よりも漁場のポイントを増やし、よりよい牡蠣が育つ場所はどこなのか試しています。奥松島はいくつかの山に囲まれていて、雨が降ると山から栄養分が海へ流れてくるため、山の状況にも気を配っています。
震災直後は無我夢中で復旧作業にあたっていた阿部さんでしたが、震災後は養殖業者個々の能力が問われると考え、それまで東京など県外が主流だった販路を見直し、仙台市内での販売にも積極的に取り組みました。視野をあえて絞ることで、地元に根差した販路開拓を目指しています。
震災後、前年の3分の1以下に落ち込んだ出荷量も、種付けの再開によって現在では8~9割まで回復。種牡蠣の出荷量は震災前よりも増えたそうです。
「今年は種牡蠣が不作で、うちにはたまたま種牡蠣が残っていたので、これまで取引のなかった九州地方にも出荷することができました。北海道から九州まで、全国へ出荷するという夢がかなってうれしいです」
震災後の苦労を乗り越える原動力になったのは、「やっぱり、牡蠣が好きだという気持ちですね」と阿部さん。船も無事だったこともあり、愛する奥松島の自然と家族とともに、「やるしかない!」という気持ちでひたむきに前進していったそうです。

垂下式牡蠣棚(奥)と浮を使った牡蠣棚(手前)

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奥松島水産のブルーツーリズムと旬の味

震災前の工場は波が入ってきたために取り壊し、2012年に新しく建設した奥松島水産専用の加工場では牡蠣の試食や殻剥き体験、工場見学などの体験事業を実施しています。震災前も試食などの受け入れは行っていましたが、今後は少し大規模な体験事業や社会科見学など学校単位での受入れもしていきたいそうです。
「震災後、海離れしてしまった子どもたちが増えています。地元の子どもでも、牡蠣が殻に付いている状態を見たことがない子が多いので、子どもたちが水産物に親しみ、奥松島の牡蠣の美味しさを親子で楽しんでもらえるような体験ツアーを増やしていきたいです」。
また、今後については「現状維持」と語る阿部さん。「出荷量を増やそうとは思わないが、牡蠣一つひとつの内容を質の良いものにしていきたい。実入りのよい牡蠣をていねいに作っていきます」。
そして、食べる人には秋冬よりも、実は春の牡蠣の方が身入りが良いということを知ってもらいたいそうです。「3~4月はちょうど花見の季節なので、花見で食べる「花見牡蠣」として知られるようになっていけばいいなと思います」。
最後にやりがいを感じるのはどんなときか、聞いてみました。
「毎年毎年、一つとして同じ牡蠣はできませんが、それに対応できる力がついてきましたし、何よりも自然と向き合っていることが幸せです。ほとんど毎月、イベントにも出店していますが、食べに来てくださったお客さんから「美味しかったよ」「また来たいです」といってもらうことも励みになりますね」
牡蠣への愛情にあふれた阿部さんが作る、奥松島水産の牡蠣。ぜひ一度ご賞味ください。

ホタテの貝殻に種付けされた牡蠣の赤ちゃん

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自社専用の加工場が併設された事務所

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加工場では牡蠣の殻剥き体験ができる

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株式会社 奥松島水産

株式会社 奥松島水産

住所 宮城県東松島市大塚字長浜419
電話 0225-88-3213
FAX  0225-88-3663
営業時間 7~16時
Mail:okumatsushima-kaki@jewel.ocn.ne.jp

URL:http://www.umakaki.com/

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