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    進化し続ける 「東日本大震災・原子力災害伝承館」

震災と原発事故の教訓を学び、伝える
進化し続ける 「東日本大震災・原子力災害伝承館」

2021.06.01

東日本大震災・原子力災害伝承館

 2020年9月、双葉町中野地区に「東日本大震災・原子力災害伝承館」がオープンしました。

「あの日の経験を、みらいの教訓に。」をテーマに掲げるこの施設について、現地在住ライターの山根さんより皆様へお届けいたします。

10年たった今だからこそ、伝えなければならない

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)から、2021年3月で丸10年を迎えました。
2011年に生まれた赤ちゃんが10歳に成長し、小学生だった子どもたちは成人を迎えています。
 この10年の間、日本をはじめ世界では、昨今の新型コロナウイルスの流行はもとより、様々な自然災害も起こっており、
東日本大震災と原発事故のことを思い出すことが少なくなってきている方も多いのではないでしょうか。
 ですが、被災地となった東北では、復興は道半ば。まだ多くの課題を抱えています。特に原発事故の影響が大きかった福島県の沿岸部(浜通り)には、未だ許可のない立ち入りが制限されている帰還困難区域が残り、復興以前の復旧作業が続いている地域もあります。

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富岡町の帰還困難区域

 そんな中2020年9月、双葉町中野地区に「東日本大震災・原子力災害伝承館」がオープンしました。
「あの日の経験を、みらいの教訓に。」をテーマに掲げる、その内側はどのようになっているのでしょうか。

プロローグ~これまでの福島県

 入場すると、2階まで吹き抜けの大きなシアターになっています。福島県出身の俳優・西田敏行さんの、福島訛りが混じったナレーションと、同じく福島県出身のクリエイター・箭内道彦さん制作の、英語表記のあるアニメーション、当時の写真や映像などで、震災前から震災当時、現在までの福島県の様子が、約5分ほどのプロローグ映像として流れます。

 実際に被災された方々への配慮もあってか、このプロローグ映像はとてもソフトに作られているように感じました。また、震災を全く知らない世代、地域の人たちにとってはわかりやすい導入になるだろうなと感じます。

 映像を見終わった後は、らせん状になっているスロープを上がって、展示会場の2階まで進みます(障がいをお持ちの方は、エレベーターで進むこともできます)。そこでは、1870年代の常磐炭鉱開発から、1950年代から始まった原発立地、2011年の東日本大震災と原発事故、その後の避難指示、事故処理、避難指示の解除など、復旧の歩みが壁一面に写真と年表で示されています。福島県浜通りが、エネルギー政策とともに歩んできた道のり、そして復興へと向かっていく足取りを確認しているような感じがしました。

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震災関連資料と、未曽有の複合災害に向き合った住民の言葉と想い

 2階の展示は、

  ゾーン1 災害の始まり
  ゾーン2 原子力発電所事故直後の対応
  ゾーン3 県民の想い
  ゾーン4 長期化する原子力災害の影響
  ゾーン5 復興への挑戦

という、5つのコーナーで構成されています。

 最初の「災害の始まり」のコーナーでは、震災前の福島県浜通りの文化や暮らし、原子力発電所との関係性などを示す資料や住民の方の証言が紹介されています。館内各所にある証言映像は、1人約3分ほどで、3人ずつ流れます。そこに住んでいた方の声はとても重要な資料でもあります。ぜひ耳を傾けてみてください。

 またこのコーナーの最後には、国道6号線から双葉駅に向かう道路に設置されていた「原子力 明るい未来の エネルギー」の標語が書かれたゲートの画像が見られます。この標語のプレートは、3月24日より館外のスペースに実物が展示されています。全ての展示を見終わった後に見ることで、感じることがあるかもしれません。ぜひ、足を運んでみてください。

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 地震による津波の様子、原子力発電所の事故の様子を再現する映像や、津波で被災に遭った道路標識やポスト、震災発生直後に避難先などを書きつけたホワイトボードやメモなど、震災当時の様子が生々しく感じられる資料の展示は、その地域の現状をわかっているほどリアルに感じられ、胸に迫るものがあります。

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映像と、語り部による証言

 展示のちょうど中ほどにある、ゾーン3「県民の声」のコーナーは、ぜひ時間を取って見ていただきたい映像と震災関連資料が融合した展示です。全面がスクリーンとなり、映像の中で語られる証言に合致する震災関連資料が展示されており、この地域に確かに人の営みがあったこと、そしてそれが震災と原発事故によって失われてしまったこと、それでもその経験を糧に生きている人たちがいることを、ダイレクトに感じさせてくれます。

 震災の語り部コーナーでは午前10:00~と11:30~、午後1:30~と3:00~、約40分間実際の語り部の方からお話を聞くことができます。入館してから、映像や展示を見て、語り部コーナーまでは急いでも30分はかかると思いますので、確実に語り部のお話を聞きたい方は、逆算して入館なさるなど、時間を確認することをお勧めします。また、入館券をお持ちであれば、先に語り部のお話を聞くことも可能です。語り部は26名登録されており、その方によってお話しされる内容が違います。どの日にどのような内容が話されるかは、ホームページの「お知らせ」コーナーと、入口で配布されている冊子で確認ができます。

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データと情報で復興を学ぶ

 震災発生当時、まだ幼かった方や県外の方は、原発事故による避難の現状や放射線による影響の概要などの情報が届いていない方も多いのではないでしょうか。ゾーン4の長期化する原子力災害の影響コーナーでは、実際の防護服や除染した土を詰める実寸大のフレコンバッグなどが置かれているほか、避難者数や、放射線量の推移などを、目で見てわかりやすいように展示してあり、データが更新されたときにはすぐに最新の値に切り替えられる展示になっています。福島の復旧・復興は現在進行形なので、このようにきちんと情報が更新されていくのは大切なことだと思います。

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 最後には、福島県内でどのように復旧作業が進められてきたのか、また再生可能エネルギーを通じたまちづくり、復興に向けて活動を続ける住民の声などが紹介されています。

 会場を出ると目の前には、開放的な景色が広がります。建設中の福島県復興祈念公園の敷地です。お時間がありましたら、エレベーターで屋上に上ってみてください。防潮堤の先の海、作業中の、除染した土を保管する中間貯蔵施設、福島第一原発の工事車両、そして阿武隈高地の雄大な山々を見ることができます。この福島県浜通り地域が、山と海に囲まれた、豊かな地域であること、そしてそこを襲った東日本大震災と原発事故の影響の大きさを、肌で感じられるかと思います。

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 「東日本大震災・原子力災害伝承館 」には、2020年9月のオープンから2021年の5月末までに、約5万2千人が来場しています。私も何度か足を運んでいますが、小さい子ども連れの親子から、若いカップル、ご年配の方まで幅広い方が来場しているなと感じています。また、伝承館の立地する双葉町は、20203月に原発事故による避難指示の一部が解除され、双葉駅周辺の特定復興再生拠点区域などは自由に立ち入りができるようになっていますが、県内で唯一、住民の帰還が始まっていない町でもあります。まだ誰も人が住んでいない町に多くの人が足を運んでいることを不思議に感じたりもしますが、人が戻る前に、人が集まる場所をつくるというのも、一つの復興の形なのかなと思ったりもしています。

 伝承館では、3月20日より館内の展示品の写真撮影が可能となりました(動画資料や詳細な撮影はNG)。また、展示内容の一部を差し替えたり、展示説明の文字を大きくしたりするなど、開館から半年たって様々なマイナーチェンジがされています。これらは全て、アンケートなどによる来館者の要望に出来る限り応えている結果だといいます。

 東日本大震災と原発事故による被害は未だ続いており、これから解決していかなければならない課題も多い中、この伝承館もともに進化し続けていくのでしょう。震災や原発事故を学びたい方はもちろん、すでに来館したことのある方も再度来館することで、新たな気づきがあるかもしれません。

執筆者:福島県双葉郡在住 フリーライター山根麻衣子(クロスブリッジ)

「東日本大震災・原子力災害伝承館」

住所 福島県双葉郡双葉町大字中野字高田39
(JR双葉駅からシャトルバス利用で5分)
電話 0240-23-4402/FAX 0240-23-4403
開館時間 9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日 火曜日(火曜祝日の場合は翌平日)・年末年始(12/29〜1/3)
入館料 大人:600円、小・中・高校生:300円
    ※20名以上で団体割引あり

ホームページ
https://www.fipo.or.jp/lore/

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