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福島田んぼアートプロジェクトで収穫した「田んぼアート米」

2019.09.05

いわき市四倉町、双葉郡楢葉町、双葉郡広野町の3カ所で、同プロジェクト代表・市川英樹さんが企画。田植え、稲刈り、収穫した米の販売や商品開発までを行っている、参加型の田んぼアート。

福島県浜通りに育ち始めた「田んぼアート」の文化

最近、様々な地域で話を聞くようになった「田んぼアート」。田んぼをキャンバスに見立て、数種類の違った色の苗を使い、アートを描いていくものです。

福島田んぼアートプロジェクト代表の市川英樹さんが田んぼアートを始めたのは3年前。いわき市四倉町の体験型農業施設「ワンダーファーム」の一角で始めた田んぼアートは、現在、双葉郡の楢葉町、広野町でも行われ、合計3カ所に。福島県浜通りに、田んぼアートの文化が育ちつつあるのです。

recommend_image1.JPG双葉郡楢葉町の田んぼアート。地元県立高校のふたば未来学園の生徒たちがデザイン。

recommend_image2.JPG広野町の田んぼアートは、町長や地元企業、地元中学校の生徒たちと一緒に田植えをしました。

recommend_image3.JPGいわき市四倉町・ワンダーファームの田んぼアートは3年目になります。

田んぼアートを通してつながる、人と人、場所と場所

市川さんは2014年に、東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業にあたるため、愛知県豊田市から福島県に移住して来ました。毎日出勤の際に通る国道6号線沿いには、原発事故による避難や、帰還困難区域のため立ち入りのできない地域に、広大な耕作放棄地が広がっていました。

かつて基幹産業だった農業の復興と、震災バブルに陰りが見えて来ていたこの地域を、農業と観光で盛り上げたい。そう思った市川さんは、田んぼアートで村おこしをしている、青森県田舎館村の田んぼアートを訪問。その田んぼアートを見て、福島県浜通りでなら、日本一大きい田んぼアートができると確信。まず、自身が住んでいるいわき市四倉町での田んぼアートプロジェクトをスタートさせました。

サポートしてくれる友人はいましたが、ほぼ一人で始めた田んぼアートプロジェクト。しかも実は市川さんは、農業も初心者でした。始めた当初は、苦労やトラブルも多かったようです。ただ、市川さんには、福島に移住してからお世話になった人たちへの恩返しの思いも込めて田んぼアートをやりたい、という気持ちがありました。「とにかく、続けること。そして、田んぼアートを見に来てくれたり、関心を持ってくれたりする人と人、遠いところから来てくれた人と現地の人という、場所と場所をつなげること。それが、福島への恩返しになると思ってやっている」と話す市川さん。

recommend_image4.JPGそんな市川さんの思いが届き、今年から始まった広野町の田んぼアートプロジェクトは、
町が全面的にバックアップしてくれました。

自分は見えなくていい 花火みたいな存在を目指す

市川さんが3年続けてきた田んぼアートは、地域にじわじわと浸透していき、今やこの田んぼアートを仕掛けているのが誰か、ということを知らない人の方が多いのではないかと感じます。「見た人が広めて、それが観光につながっていけばいい。そこに自分の存在は見えなくていい」と話す市川さん。例えば地元の花火大会みたいに、誰が始めたのかはわからないけれど、地元のみんなが毎年楽しみにしているイベント。田んぼアートをそんな存在にしていきたい。そのきっかけを、まずよそものの自分がつくったが、今後は地元企業を巻き込んで、地域みんなの田んぼアートにしていきたいと市川さんは考えています。

recommend_image5.JPG

福島田んぼアートを応援する「田んぼアート米」

福島田んぼアートプロジェクトは、現在はまだ市川さん個人の活動です。
アートを描くための田んぼの測量、アートにするための色付きの苗、農業器具など、運営するには様々な資金が必要です。クラウドファンディングや個人での寄付集め、補助金の活用などのほかに、今年7月からは、田んぼアートで収穫されたお米を販売することになりました。その名も「田んぼアート米(まい)」。

田んぼアートで育てたお米は、もちろんすべて食べることができます。福島田んぼアートプロジェクトでは、地の緑の部分を、コシヒカリと福島県のブランド米「天のつぶ」を植えています。

そのコシヒカリを精米し、食べやすいサイズに小分けした田んぼアート米は、現在、楢葉町の「道の駅ならは」と、富岡町の「ふたばいんふぉ」で販売されています。
また、色のついた稲は、雑穀米として、イベント時にカレーと併せて販売したり、米粉にしてピザをつくったりしています。

recommend_image7.jpg道の駅ならはで販売している田んぼアート米

金額としては微々たるものですが、田んぼアート米を手に取った人が、友人・知人に田んぼアートのことを広めてくれるツールになる。ファンを増やし、そして応援になる。そういった、小さな一つ一つが、福島田んぼアートプロジェクトを、みんなのプロジェクトにしていく歩みになるのだなと感じています。

recommend_image8.jpgいわき市内のイベントで販売した、米粉でつくったトマトピザ

最後に市川さんに、福島県浜通りで田んぼアートをやり続ける理由を聞いてみました。
「自分のようなよそものを受け入れ、田んぼアートをサポートしてくれる地元の人がたくさんいるので、その人たちへの恩返しは、続けていくことしかない。田んぼアートをやっていなければ出会えなかった人たちばかり。そんな人たちをつなげていくことで、日々面白い化学変化が起きているのを目の当たりにしながら、毎日楽しく暮らせている。最終的には、誰が田んぼアートを始めたとかはどうでもいいんですよね」。

市川さんは、来年の東京オリンピックに向けて、この田んぼアートを通して福島県浜通りに30万人の交流人口を増やす、という目標を掲げています。今はまだ小さな活動でも、その一つ一つがつなぎ合わさって広がっていくのを実際に目にしていると、実現もそう遠くないのではと感じました。

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