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岩手県住田町、地産地消で町おこし
ー「住田からあげ大作戦」が始動!

2022.03.03

住田からあげ大作戦

岩手県住田町の唐揚げが、多くのお客様を魅了しています。その人気の理由は、ジューシーで旨味たっぷりのお肉の美味しさ。唐揚げに使用されている鶏肉と豚肉は、住田町の豊かな自然に育てられ、加工も町内で行われています。飲食店やスーパー、移動販売店で提供され、人気商品に。
令和2年に始まった、住田町観光協会の取り組み「住田からあげ大作戦」が注目を集めています。

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住田といえば唐揚げのまちに

岩手県の東部に位置する住田町(すみたちょう)は、四方を山に囲まれ、清流 気仙川が町内を流れる自然豊かで、人のあたたかさが魅力のまちです。人口は約5,000人と、決して規模の大きいまちではありません。
そんなまちで今、盛り上がりをみせているのが、町内の飲食店などで提供されている唐揚げです。「住田からあげ大作戦」の期間中には約2万食もの唐揚げが提供されました。
住田からあげ大作戦を進めてきた、おふたりにお話を伺いました。住田町観光協会 事務局長補佐 佐々木康行さんと町内にある「ホテル グリーンベル髙勘」有限会社髙橋旅館 会長の髙橋高志さんです。karaage2.jpg

企画や広報を務める、発起人の佐々木さん

住田町観光協会の佐々木さんの主な仕事は、まちに人を呼び込むこと。農家の民泊や、教育旅行など、観光を通じた人々の交流の機会を作ってきました。
観光事業に携わる佐々木さんが、感じていた課題がありました。養鶏・養豚業がさかんな住田には、「清流鶏」や「ありすポーク」などのブランド肉があります。しかし、販売店である道の駅は峠の上。お客様がお土産を買い、食事をする時は、車で片道約30分もの移動が必要でした。(現在は、特産品の販売店「イーガストすみた」が町内の中心地に開店)。
「住田に来てくれたお客様が、もっと手軽に特産品を買って、飲食できたらいいなと。飲食はお客様が必ずすることです。地域の特産品を飲食店のメニューと組み合わせることを考え始めました」。

まちの目玉を作り、盛り上げていく

佐々木さんが続けます。
「住田は養鶏・養豚業がさかんです。ブランド肉をいかして唐揚げはどうかな?と思ったんですね。唐揚げは家庭のおかずでも、ごちそうでもある。コンビニやイベントでは、おやつ感覚で売られている。思えば、すでに町内の飲食店のメニューに唐揚げがありました。『ここを盛り上げていこう!』と思ったんです。」

住田の豊かな自然で育った鶏や豚を、町内の事業者が加工し、町内の店舗で唐揚げとして提供する、その地産地消のアイディアを、「いいね!」と後押ししてくれたのが髙橋さんでした。karaage3.jpg

「まずは何でもやってみよう」と企画の後押しをした髙橋さん

この取り組みについて髙橋さんが話します。
「小さいまちが活性化するためには、地元の食材を、うまく地元で循環させて、人々の所得も上げて行かないといけない。住田のなかで循環して、まわりの地域にも住田のものが届けられるといい。今ある産業を育てて、まちぐるみで盛り上げていけるといいんじゃないかな」。

実は、髙橋さんには、住田町観光協会の会長を務めた経歴があります。住田町の養鶏業の所得は町内の全体平均より高いものの、県内の養鶏・養豚のなかでは上位とは言えないのだそうです。地域内の所得の底上げ、そして「より豊かなまちづくり」へ想いを強く感じました。

自分のお気に入りの唐揚げを見つけて

関係者とワークショップや研修会を重ね、試食を繰り返しました。感じたのは、お店ごとに違う唐揚げの、そのどれもが美味しいこと。あえて味は統一しませんでした。お店それぞれの自慢の唐揚げが提供されています。

ホテル グリーンベル髙勘内の「レストラン味求」さんの唐揚げは、ジューシーでありながら、さっぱりとした後味が魅力。注文後、トマトポン酢を配合したオリジナルのタレに絡めます。味つけや揚げ方などを変え、試作を繰り返し完成した、髙橋さんこだわりの一品です。karaage4.jpg

「お食事処 松嶋屋」さんの唐揚げは少しスパイシー。「周辺に、しょうゆベースのお店が多かったので、いろいろ試してカレーの風味に行きつきました」と教えてくれました。薄めの衣はサクッとしています。一晩漬け込んでいるため、肉質もほどけるように柔らかで、旨味がたっぷりでした。karaage5.jpg

佐々木さんと髙橋さんは企画の時、町外のいくつかの人気店の唐揚げを試食したそうです。
「食べて思ったのは、驚くような味ではなく、いい意味で普通の味付け。唐揚げは食べて安心する味が一番で、長く愛されるということでした。お店ごとの味の特徴を楽しんでほしい」と語ります。
住田の唐揚げは、オンラインでの販売はしていないそう。ぜひ、揚げたてのサクッ、ジュワッとした美味しい唐揚げを現地で楽しんでいただきたいと思います。

大作戦は、ゲーム感覚の面白さから大反響に

からあげ大作戦のチラシを見た瞬間、なんだか面白そう!と思いました。
「ミッション」として、始動された第1弾。お客様が「エージェント」になり、唐揚げを食べ、店頭で受け取ったはがきを投函すると「ミッション、コンプリート!」。住田町の特産品セットが「報酬」として抽選でプレゼントされました。karaage6.jpg

左から、第1弾、第2弾、第3弾のチラシ

「第2弾は、スタンプラリーに、第3弾はシールを集める形式にして、少しでもみなさんに楽しんでもらえるように。令和3年の第3弾は、コロナでできない夏祭りの代わりに、元気を醸し出せるようにと開催したんです。食べてくれたお客様に先着用プレゼントの景品を注文しようとしていた時でした」。karaage7.jpg

先着プレゼントとなったミニタオル(中央)

「先着景品だし、1店舗で20枚あれば足りると思っていたんですが......。髙橋会長から『それじゃ足りない。予算いくらあるんだ?』と。予算いっぱいで1店舗50枚を、加盟店12店舗分。合計600枚の大盤振る舞いになったんです(笑)」。

結果的に「先着のプレゼントがとても良かった」という声が多く寄せられたそうです。

「お客様と接している方だからこその、サービス精神ですね。企画はお店のご協力あってこそ。お客様アンケートも必ず読んで、そのご意見をもとに、改善や新たな企画の参考にしています」。karaage8.jpg

車で通るお客様も分かりやすいように設置した、のぼり

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食べ比べを楽しめるガイドブック

何はともあれ、継続すること

美味しい唐揚げと楽しい企画を組み合わせた、この大作戦。次を望む声も多くあります。髙橋さんが、観光協会で会長をされていた当時を振り返ります。
「地産地消の取り組みは、今まで何回もしているんです。でも、継続が難しくてね。うまく予算が取れたとしても、予算がなくなったら、それで終わりになって続かない。小さくても続けてほしいね」。

「何事も継続が大切」。これは、まちづくりに取り組んだ、髙橋さんの実体験からのアドバイスでした。karaage10.jpg

佐々木さんはこう言います。
「目玉を作りたくて進めても、その都度、尻すぼみになっていく。何事も継続が大切、ですよね。少しずつでも続けて、地域ブランドの唐揚げを育てたいです。
次の大作戦のキャンペーンは令和4年の秋に予定しています。といっても、普段から食べることはできます。どのお店の唐揚げも美味しいので、ぜひ食べに来ていただきたいです」。

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おふたりが語る住田町の魅力は

まずは、佐々木さん。
「空気感と水ですね。この風土がなければ、美味しい食べ物も生まれません。作物を育む環境があるから食材自体が美味しいんです。この環境で育てられた私達もまた、すごく贅沢だったのかなと思います」。

次に髙橋さんは、
「人情や人との繋がりだね。住田で75年以上、生きている。ずっと、地域の人情でお付き合いさせていただいて、こうやって生計を立てることができた。この風土と人間関係が宝」と話してくださいました。

山と清流が育む豊かな自然と、人のあたたかさが魅力のまち住田町。この地域で育てられた唐揚げは、一口かむごとに幸せな気持ちになることでしょう。

東日本大震災では、直接的な津波の被害はありませんでしたが、物資支援やボランティア活動の拠点となったまちでもあります。そんな縁の下の力持ち、住田町に足を運んでみてください。
そして、一度でも何度でも、美味しい唐揚げをご賞味ください。

【取材・記事執筆】
一般社団法人トナリノ 板林 恵

住田からあげ大作戦

住田町観光協会HP
https://sumita-kankou.wixsite.com/sumita-kankou
住田町観光協会Facebook  
https://www.facebook.com/sumitakankokyokai
からあげ大作戦HP
https://sumita-kankou.wixsite.com/karaage
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