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双葉郡全体の思いをつなぐ「ふたばいんふぉ」

2022.05.16

双葉郡の総合インフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」

8町村で構成される福島県双葉郡。2018年11月、双葉郡全体の情報をまとめて展示する総合インフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」が誕生しました。自分の町や村だけでなく、郡全体の情報を一度に得ることができるため、住民やこれから帰還を予定している住民、エリアを訪れる人々にとって大変役立っているこの施設。設立した平山勉さんの思いと共にご紹介します。

双葉郡8町村の情報をまとめて展示する唯一の施設

双葉郡は、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町の6つの町、そして葛尾村、川内村の2つの村で構成されています。太平洋に面する福島県浜通りの中央に位置し、豊かな海と緑で知られるこの地域は、東日本大震災により甚大な被害を受け、続く原発事故により多くの住民が避難を余儀なくされました。現在も多数の住民が県外で避難生活を送っています。map-futabainfo.png

太平洋側から見た福島県双葉郡

双葉郡全体で見ると、各自治体の復興の状況にはばらつきがあります。原発事故に伴う避難の状況、避難指示の解除予定、インフラ整備の状況などは各町村で異なっており、こうした情報はそれぞれの自治体がサイトや広報誌などで発信していますが、双葉郡全体がどういう状況にあるのかを一度に知ることは難しい状況です。「ふたばいんふぉ」は、こうしたまとめて知ることが難しい双葉郡全体の情報を総合的に展示・発信している唯一の施設です。

「自分が住む町や村の情報はなんとか把握できても、隣接する町の情報がわからない。そんな状況で困っている方がたくさんいました。そこで、双葉郡の復興の現状がまとめて把握できるパネルを展示することを思いつきました」

そう話すのは、2018年11月に、総合インフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」を立ち上げた平山さん。「気軽に利用してほしい」という思いから、インフォメーションセンターの隣のスペースに「カフェ135」も同時に立ち上げました。

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ふたばいんふぉを立ち上げた平山勉さん。ご自身も富岡町の出身です。
ふたばいんふぉは、地域の住民が利用するだけでなく、県外からの視察や研修の窓口にもなっているそう。
大型バスが次々とやってくることも

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各自治体の様子が一目でわかるパネルを多数展示。
様々な関連書籍もあり、一度に情報を収集することが可能。
住民目線の写真や資料も多く、よりリアリティのある情報に触れることができます

施設内には、各自治体の情報を一目で把握できるパネル化を多数展示しているパネルコーナーを設置。現状だけでなく、震災や原発事故により各地でどんなことが起こったのか、様々な写真や資料をアーカイブとして展示もしています。また、85型の大きなモニターでは、これまでの各地の出来事を動画で撮影したものを流しています。

「例えば、11年間人が立ち入りできなかった地域の避難指示が解除され、バリケードが開けられた瞬間などが動画で記録されています。この時はマスコミもたくさん来ていました。開いた瞬間は本当に入っていいのか、みんな戸惑っていましたね。そのほか、常磐線の全線開通の様子や、僕たち住民だからこそ撮れる貴重な映像もたくさんあります」
と平山さん。小さな出来事でも、一つひとつの瞬間をしっかり撮影し、記録として残していくこと、そしてそれを積み重ねていくことがとても大切だと語ります。

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85型のモニターで各地の様々な出来事を視聴することができます。

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共有スペースではエリア内で働く人々が会議で使用したり、コーワーキングスペースとしての利用もあるそう。住民が買い物帰りにおしゃべりに利用したりなど様々

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物販コーナーも併設。双葉郡の名産品やグッズが揃っています

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併設する「CAFE135」の充実したランチメニュー。
焼き立てのピザや濃厚なカルボナーラなど。サラダとスープつき

震災で感じた無力感が原動力に

実は平山さん、ふたばいんふぉを設立する前の2015年に「双葉郡未来会議」を立ち上げています。「双葉郡未来会議」とは、震災以降、バラバラになってしまった双葉郡の住民同士がつながり、情報や問題を共有する民間レベルの「寄り合い」だと平山さん。立ち上げの背景にあったのは、震災当時に感じた「自分は何もできない。何の役にも立っていない」という無力感だったと語ります。

「もともと都内で音楽の仕事をしていて、実家のホテルを手伝うために地元に戻ってきました。こちらでも音楽の仕事をしながらホテル経営をして、やっと慣れてきた頃、被災しました。郡山の避難所に行ったら、段ボールで寝ている人たちの中に同級生や仕事のスタッフがいました。僕自身も被災しているんですが、あの光景を見た時、何もできない自分がすごく無力に感じました。避難所で流れるニュースで原発の爆発事故を見た時も、ああもう地元に帰れないという無力な思いを感じたのを覚えています」

「あの時、なぜ」と心残りに感じる出来事もあったと言います。

「避難指示が出たのが3月12日でしたが、私は翌日の13日まで残っていました。瓦礫だらけの駅前をなんとか歩いた時、もう帰ってこられないだろうと本能的に感じて、撮影しよう、記録に残そうと思いました。ほとんどの人が避難していたから人の気配がなくて、時々カラスの鳴き声が響いていました。電気もガスも止まっている。携帯も通じない。音のない、ボロボロの町に一人だけ取り残されたようでした。その様子を動画におさめながら歩きました。後から、先輩の両親が津波にのみ込まれて行方不明だと聞きました。でも避難指示が出ているから探しに行けない、と。あの時、動画を撮影していた時、自分は探すことができたかもしれない。それがとても心残りでした」

平山さんは、その後、音楽仲間がライブハウスに支援物資を集めては配っている様子を目にして、大いに刺激されたと語ります。
「役所や福祉関係でもない人でも、こんな活動ができるんだ、と思いました。それで自分も何かできることをやろうとボランティアを始めました。ボランティアを必要とする人とボランティアを結ぶサイトも立ち上げ、その輪が大きくなる中で、双葉郡全体の情報が不足していることを知りました。それが双葉郡未来会議の立ち上げにつながっています」info5.jpg

平山さんが立ち上げたボランティアのマッチングサイト

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双葉郡未来会議サイト

活動を続けていくことが大事

「ふたばいんふぉとしては、とにかく継続していくこと。それが大事だと思っています」
今後の活動について、そう語る平山さん。

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2021年、国交省が認定する震災伝承施設第三分類にふたばいんふぉが認定されました

「何か大きなことをやるというよりは、今していることを継続し、引き続き双葉郡の人々がつながりを結んでいくような役目でいられたらいいと思っています」

平山さんの活動はこれからも双葉郡の人々とその思いをつなげていきます。

2020.05.20

ネットショップで出会う双葉郡~インフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」

ふたばいんふぉ

ふたばいんふぉ

住所:〒979-1111
福島県双葉郡富岡町大字小浜字中央295 ふたばタイムズ1F
電話:0240-23-6612
開館時間:
11:00~18:00 日曜・祝日休館
入場無料
※開館時間は変更となる場合がございます。

HP
https://futabainfo.com/
Facebook
https://www.facebook.com/futabainfo/

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