観光農園としていわきを盛り上げる
2014.05.28
有限会社 とまとランドいわき
有限会社とまとランドいわきでは生食用トマトを中心に生食用いちじく、パプリカ、ブルーベリー、いちごを生産・加工・販売をおこなっています。 温室で栽培されたトマトの安全のための残留農薬検査とトマトに含まれるリコピンの含有量などを調べる機能性成分分析検査を定期的におこなうなど、おいしく安全な農産物を提供しています。
ひたすらにトマトと向き合った被災後の生活
有限会社 とまとランドいわきのある、いわき市四倉町へ向かうと畑のなかにあるハウスは1km先からでもわかるようなとても大きな建物。 聞くと栽培面積だけで7000坪。その広さは東京ドームの約半分くらいの大きさになります。
ハウスの上部には暖房のための温水を通すパイプが張り巡らされています。 震災の影響でそのパイプが落ちてしまい、暖房が取れなかったため通年だと7月いっぱいの生産が5月で終わりになりました。 しかし、それ以上に大きかったのは原発事故による市場からの受け入れ拒否があったこと。 震災後も関西方面の取引はすべて無くなり、関東方面でも取引がなくなったところもあったといいます。 しかし、3月下旬、いち早く放射性物質の自主検査をおこないインターネットでの販売を再開すると多くの注文をいただいたそうです。
「あのころは考えることはいっぱいあったが、やることがなくてトマト作りだけ一生懸命やったらとても出来が良かった」と笑いながら話してくれたのは、トマト・いちじく担当の石橋さん。 家に帰るとこの先のことが不安になり考えてしまう。でも会社に来ると何も考えず仕事に専念できる。そう思いながら仕事を続けてきたのは石橋さんだけではなかったようです。 パートの方々からも口々に「トマト作りに専念できた」との声が。 震災を通してコミュニティとしての会社の役割を再認識できたこともトマトの生産力向上につながったのでしょう。
施設の中を案内してくれた石橋さん
たくさんの人へ伝えたいトマトの魅力
「太陽の光がさんさんとふりそそいでいるなか、元気に育ったみずみずしく新鮮なトマト」をイメージしてネーミングされた「サンシャイントマト」は甘みと酸味のバランスが良く、とてもおいしいトマトです。 いわき市は日本有数の日照時間が長い地域で、東北では一番。そのためブランドネームとして「サンシャイン」という言葉をつけたのだそうです。
サンシャイントマトをはじめとする魅力的な商品を数多く生産しているとまとランドいわき。その栽培方法にはさまざまなハイテク技術も導入されています。 栽培されているトマトの根の方を見ると、足元からではなく膝くらいの高さでビニールに覆われたボックスのようなものから根が出ていました。 これは「ココウール」といってヤシの実の皮や繊維を固形状にした培地にトマトの苗を植え付け、トマトに養液を供給するための装置などはすべてコンピューターで日射量や光の強さなどの条件により複合制御されているというから驚きです。
昨今、消費者もいろんな種類の商品を求めるようになり、ここで生産しているミニトマトだけでもアイコ、イエローアイコ、トスカーナバイオレット、オレンジキャロル、ラブリーさくらの5種類があり、それぞれに酸味、甘さとも個性豊かなトマトたちです。 トマトの香りが苦手な方はイエローアイコ、甘めのトマトが好きな方はラブリーさくらがおすすめです。
また、とまとランドいわきでは収穫体験イベントも開催しており、こちらは指定の袋に詰め放題のイベントとなっています。時間制限はなく好みのトマトを袋いっぱいに詰めてお一人さま500円というのは本当にお得です。
広いハウスの中は暖かく甘いトマトの香りが漂う
じぶんたちだけでなく市全体で復興へ
今もなお福島では、風評被害が続いていますが、応援してくださる方とのつながりで新しい得意先も見つかり売り上げは回復してるとのこと。 とまとランドいわきではこれからはものを売るだけではなく、いわき市の現状を知ってもらえるよう情報を発信していくことも大事だと考えています。 そこには自分たちだけが儲かるのではなくて、いわき市全体でよくなっていきたいという想いがあるそうです。 「周りの心配をする余裕はないですけど、困っている人がいたらみんなで助け合っていきたい」と石橋さん。 その言葉からはトマトにそそぐ愛情と同じようにいわき市にそそぐ愛情が伝わってきました。
まるで宝石のように輝くトマト
全商品線量測定済みで、あんしん・安全なものをお届け
収穫体験用の袋には予想以上にトマトを詰めることができます
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