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ボランティアの証が"咲く"! 新名所・花見山ができるまで

2015.12.18

一般社団法人南三陸研修センター

東日本大震災で学んだことを次の社会を担う若い世代に伝えるため、「未来を創る人を育む」をビジョンに、地域振興プロジェクトや学生・新入社員の研修事業に取り組んでいます。地元に新しい観光名所・住民の憩いの場をつくる「花見山プロジェクト」は、南三陸研修センターが中心となって進めており、(共催:グリーンウェーブ入谷構想促進委員会)「平成27年おらほのまちづくり支援事業」に採択されました。

25年の願いを引き継いだプロジェクト

およそ25年前。南三陸町には地域の人々が立ち上げた「桃源郷構想」と呼ばれるプロジェクトがありました。南三陸町入谷地区内に花木を植え、地域を活性化させようというものです。プロジェクトはその後いったんしぼんでしまったのですが、震災後に植樹ボランティアを受け入れたことをきっかけに再興。2015年に「花見山プロジェクト」と名前を変え、現在も進行しています。

花見山プロジェクトの目的は大きく二つ。一つは、「桃源郷構想」の想いを引き継ぎ、入谷地区で親しまれている「ばば山」を花々が咲き誇る地元の新名所にすること。もう一つは、企業のボランティアや学生たちのフィールドワークの場として、地域内外の人が一緒に活動できる場所をつくること。2015年6月から地ごしらえなどの作業を開始し、12月までに443本の花の苗木を植樹しました。来春、桃やツツジが咲き誇る「花見山」として新しい姿を見せてくれる予定です。

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ドコモが寄贈した立て看板。プロジェクトに込められた思いが記されている。

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ドコモの社員をはじめ多くのボランティアが苗木の定植を行った

311円の積み重ねが完成の後押しに

花見山プロジェクトには、ドコモも深く関わっています。ドコモは桃とツツジの成長した苗木合計400本と、立て看板を寄贈しました。通常は花が咲くまで3年ほどかかりますが、成長した苗木を寄贈することで、来春には花を咲かせ花見山を彩ります。

これらの資金には、2012年度からドコモおよびグループ社員を対象に行ってきた「東北応援社員募金」が使用されています。賛同した社員1人の給与から「3月11日を忘れない」の意味を込めて毎月311円を募金として集め、会社からの募金を上乗せして寄付するものです。2015年現在、約1万人の社員が参加しています。

こうした企業からの支援のほか、16団体283人ものボランティアの方々が花見山プロジェクトには携わっています。2015年12月9日には、今期分の植樹完成を祝い花見山プロジェクト除幕セレモニーが開催されました。プロジェクトを率いてきた地域住民の方々にとって、今回の除幕式は25年来の願いが叶った記念すべき日となりました。

セレモニー当日、青空のもと地域住民と関係者が集まり、まずは記念植樹を行いました。「春が楽しみですね」「この苗木は何色の花が咲くんですか?」と、植樹を行った参加者たちは、自分が植えた苗木が花を咲かせるのが楽しみな様子。

花見山プロジェクト実行委員長の阿部勝善さんは、セレモニーの挨拶で「地域住民の願いであった花見山の植樹が無事終わりました。地域の拠り所がまた一つ増えてうれしい」と喜びを語りました。

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植樹をした参加者からは思わず笑顔が。

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関係者一同で記念撮影。植樹を終え、あとは花が咲くのを待つばかり。


花見山は地域住民とボランティアの絆を証明する存在

「本当はもっと気長に取り組むつもりだった」と話すのは、理事の阿部忠義さん。プロジェクトを後押ししたのは、ボランティアの人々や企業との"つながり"でした。

「震災後、ガレキの撤去をはじめ、ボランティアの方々にたくさん助けてもらいました。ただ、関わってもらった足跡がわかりにくいと思っていたんです。何か形にできないかと考えたときに、花見山プロジェクトならボランティアの方が苗を植えることで足跡を残せる。それが春になると咲くんですよ。いい思い出になりますよね」

花見山に植えられたのは、桃とツツジを中心とする花物ばかり。挿し木ができるので、苗木を分配することが可能です。分配した苗木がまた新しい"つながり"を生み、各地で花を咲かせてくれることでしょう。「この先も、大切なご縁やつながりを、形にして応えていきたい」と忠義さん。人とのつながりから生まれた花見山は、地域住民とボランティアの方々の絆の証なのだそうです。

「地域活性化とはよく言うけれど、何をもって成功とするのか。経済効果なのか?振興させることなのか?いろいろモノサシはあると思いますけど、花見山プロジェクトはそんなにお金を動かす取り組みではない。けれども、人との『つながり』を主体にした事業という観点では、成果が出てくると思うんです。」

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一般社団法人南三陸研修センター 理事 阿部忠義(あべ・ただよし)さん


天へと伸びる「テルテモモ」を見に来てほしい

忠義さんから山の整備を任されたのが、造園業の専門家である阿部勝善さん。もともと農業を営んでいた勝善さんは、震災後、学校に通い直して庭園管理士の資格を取得しました。今では「造園のことなら勝善さん」と、さまざまな依頼が舞い込むそうです。

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花見山プロジェクト実行委員長 阿部勝善(あべ・かつよし)さん

「ばば山、きれいになったよね。最初に手を入れるときは、本当にびっくりするようなひどい有様だったの。雑木や切ったあとの根っことかがあちこちに折り重なっていてね。それを全部、運び出すための下準備が一番大変だったかな」

そんなばば山を生まれ変わらせるため、勝善さんがメインの苗木として選んだのは少し珍しい「テルテモモ」。ポプラのようにまっすぐ上に向かって伸びるのが特徴的な桃の一種です。

「おおぶりですごくきれいな花でね。上に伸びるから剪定する必要があまりなくて、あとの管理に手がかからないの。花持ちがいいから、4月中旬から5月中旬くらいまで、たっぷり楽しめると思いますよ」

ピンクを中心に、紅と白を取り混ぜた花見山。ふもとから山全体の色合いを楽しむのもよし。山を登ってみるのもよし。勝善さんのおすすめは、頂上からの景色だそう。

「季節ごとに自然が変わっていく様がよく見えるんです。春だったら、月明かりに浮かぶ田んぼ。秋だったら、黄金色の里全体を見渡せるので、ぜひ頂上に登ってほしいですね」

たくさんのボランティアの方々に支えられ完成した南三陸町の花見山。ボランティアの人たちと地域住民の絆の証として、これから毎年、花を咲かせてくれることでしょう。
2016年の春を、たくさんの人が楽しみにしています。

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一般社団法人南三陸研修センター(南三陸ラーニングセンター)

〒986-0782 宮城県本吉郡南三陸町入谷字鏡石5番3 Tel:0226-25-9501 Fax:0226-25-9502

URL:
http://ms-lc.org/

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