ドコモグループ 東北復興・新生支援

笑顔の架け橋 Rainbowプロジェクト

  • HOMEHOME
  • 景勝地松島を盛り上げる蒲鉾づくりを

景勝地松島を盛り上げる蒲鉾づくりを

2015.10.09

株式会社 松島蒲鉾本舗
芭蕉がかの有名な句を詠んだ景勝地、松島湾に面する松島蒲鉾本舗は、「松かま」の呼び名で親しまれる蒲鉾製造販売会社です。創業以来、素材と味、食感にこだわった「笹かまぼこ」を造り続けています。伝統の味を守る一方で、「お客様の心地よさを創造する」という経営理念に基づき、今まで以上においしい蒲鉾を味わってもらうためにさまざまな事業を展開しています。

おいしいすり身へのこだわりが生む、ふんわりもちもちの「笹かまぼこ」

趣きのある店舗が海岸通りでも目を引く松島蒲鉾本舗。昭和45年、松島の絶景を求めて訪れる人たちを「造りたての美味しい蒲鉾でおもてなししたい」という創業者の一念で事業が始まりました。仙台名物の「笹かまぼこ」を主力に、「竹かま」「小ざさ」といった伝統的な商品に加え、「むう」「どらぼこ」「でくの棒」といったオリジナル商品も販売しています。伝統と革新の二本柱で成長を続ける松島蒲鉾営本舗 営業部長の渡辺徹さんにお話を伺い、店舗をご案内いただきました

蒲鉾は、平安時代から作られていた魚の保存食で、全国でさまざまな形で発展していきました。その中で「笹かまぼこ」は、明治初期に仙台でヒラメの大漁が続いたとき、保存するためにすり身を笹の葉の形にして焼いたのが始まりといわれています。

宮城県内には多くの蒲鉾製造販売会社があり、味や食感にそれぞれ特色があります。「当社は、
『ふんわりもちもち感』をめざしていて、すり身の素材や味にこだわっています」と渡辺さん。口あたりは軽いものの、旨みともっちり感をしっかりと得られるのが特長です。「笹かまぼこ」はその特長を純粋に味わえる逸品。「いろいろな商品を出していますが、やはり私たちの伝統の味である『笹かまぼこ』をおいしいと言ってもらえ、買っていただけることがやりがいにつながります」と話します。

「笹かまぼこ」のほかに、鱧のすり身を青竹に巻き付けた「竹かま」、山形・庄内地方特産のだだちゃ豆を刻んだ"ずんだ"と魚のすり身をあわせた「やさい棒」(7、8月限定)など、いずれもこだわりのすり身をベースにした蒲鉾を造っています。

ふんわりもちもちの「笹かまぼこ」。松かまの伝統を純粋に味わうならこの品です。

大豆を加えたかまぼこや、スイーツ感覚のかまぼこで広がる楽しみ方

そんな松島蒲鉾本舗ですが、伝統を守るだけではありません。天然素材やヘルシー志向といった消費者の好みの変化に合わせた商品も次々と開発しています。中でも、生地に大豆を加え、紅花油でカラッと揚げたお豆腐揚げかまぼこ「むう」は、今や松島蒲鉾本舗の人気商品。ふわっと軽い食感で、口の中に大豆の香りと旨みが広がるのが人気の秘密です。店舗では、「松島散策のお供に」と揚げたてを販売。松島を訪れる人の食べ歩きの楽しみのひとつにもなっています。

また、一見すると「どらやき?パンケーキ?」と思えるキュートな姿の「どらぼこ」は、スイーツ感覚で楽しめる蒲鉾です。魚のすり身にたっぷりの卵を加えた生地を焼き、ホイップしたチーズクリームが挟んであります。

「ちょっと甘いものを食べたいという人が喜ぶような商品を造りたかったのですが、本業から離れたものではなく、私たちが自信を持っているすり身の生地をスイーツにしてみよう、と挑戦しました」

このようなオリジナル商品の開発でも、すり身の素材、味、食感にこだわる松島蒲鉾本舗の「こだわり造り」の想いが貫かれています。そして、伝統の味を基に造られた新しい商品が、蒲鉾の可能性を広げているのです。それが新しい松島名物になり、お客様に喜んでもらいたいんです」と話してくれました。

ふわふわ感が大人気のお豆腐揚げ蒲鉾「むう」。アレンジも楽しめます。

魚のすり身とたっぷりの卵をあわせた生地にホイップチーズクリームを挟んだ「どらぼこ」は新食感!メープルシロップをかけてスイーツ感覚でも楽しめます。

震災を経て、「元通り」ではなく「ちょっと新しい」へ変化した店舗

松島湾が目の前という立地から、震災の被害は避けられませんでした。海沿いにある3店舗と事務所の1階は浸水、塩竃の工場はさらに被害が大きく、2階まで浸水し、機械はすべて流されたり壊れたりしたそうです。

「正直どうしようかと思いました。でも、もう一度やろうと決めたのは、この松島の地を立て直したかったから」と渡辺さんは当時を振り返ります。社員の皆さんが集まり、泥を片付け、5月には再びお客様を迎えることができました。

「最初は商品もそろわなかったけれど『大丈夫か?』と訪れてくれるお客様のためにも店を開け、もう一度『松かまの笹かま』を提供することに全力を尽くしました。あのときのお客様がいらしたので今がある。それを忘れちゃいけないと思っています」

震災後の建て替えや改装では、「当社の社長である須田が『元通りじゃなく、ちょっと新しいものを始めてお客様が楽しめるようにしよう』という方針を打ち出しました」といいます。松島にある3店舗は、震災以前の趣きを再現した店、現代的なしゃれた雰囲気をとり入れた店、カフェを併設した店とそれぞれに特徴のある作りに変えました。どこも「立ち寄ってみたい」と感じさせる雰囲気にあふれています。

「笹かまぼこ」を自分で焼いて食べる体験コーナー、仙台味噌を生地に混ぜ込んだ「だてもん」の製造を見学できるコーナーなど、食べて、見て楽しめるようになっています。ゆっくり座れる場所が随所にあり、松島を愛する人たちや、松島を訪れる人たちを心から大切にしたいと思う気持ちが詰まった店舗に変化を遂げました。

焼く前の「笹かまぼこ」を炎にかざし、こんがりと焼き色をつけて熱々を食べる

試食をしたり、一休みしたりできる店内

地元に根差す企業として、松島のために尽くしたい

松島蒲鉾本舗では、松島エリアに3店舗、そのほか宮城県内に7店舗を構え、地元宮城に根差した店舗展開をしています。とりわけ、松島エリアの門前店の2、3階にある「SHOBIAN CAFÉ(松美庵カフェ)」は、「松島を盛り上げたい!」という願いをこめて震災後にオープンしました。

なぜカフェ?と伺ってみると、「また松島に来たい、と思っていただくためには、ゆったりと過ごせる場所があるとよいと思ったからです」と渡辺さん。確かに、松島湾を一望できる「SHOBIAN CAFÉ(松美庵カフェ)」は海からの風が心地よく、ついつい長居したり、また来たくなったりする空間です。

カフェのイチオシメニューは、「DATEMONディベース」。実は店舗でも販売している銘菓「だてもん」の生地を使っています。とろりとゆるめに泡立てた生クリームの隠し味は仙台みそ。シンプルながら日本人の心に残るおいしさです。旬のフルーツをたっぷりあしらった「DATEMONフルータ」はハワイやニューヨークのパンケーキ人気店に負けない味。海風に吹かれていただけばリゾートの気分です。

蒲鉾造りからカフェ経営まで幅広く事業を展開するのも、「お客様の心地よさを創造する」という経営理念に基づいてのこと。「松島1万5千人の人たちが、日々の食卓で楽しめる蒲鉾造りをしたい」という思いと、「多くの人に松島を好きになってもらいたい」という2つの思いで、これからも美しい松島のために尽力していきます。

松島湾を正面に望み、やさしい海風に吹かれながらくつろげるカフェ。「何度も訪れたくなるような心地よい場所づくり」を目指している。

ふわふわの生地に仙台みそを隠し味にしたとろーり生クリームが絶妙のハーモニー。「DATEMONディベース」(奥)とフルーツたっぷりの「DATEMONフルータ」(手前)。海を見ながら!

このページをSNSでシェアする

関連記事をさがす

トップページへ戻る