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海の見える場所で復活を遂げた朝市

2014.07.30

ゆりあげ港朝市
38年前に4店舗から始まった「ゆりあげ港朝市(みなとあさいち)」。新鮮な海の幸や野菜が並び、地元客のコミュニケーションの場となっていましたが、震災により壊滅的な被害を受けました。組合員自身も被災するなか、震災後の食料不足を補うため、2週間後には近くのショッピングセンター駐車場で仮設の朝市を再開。2013年5月には震災前と同じ、閖上で朝市が復活しました。朝市では競り体験や海鮮バーベキューが楽しめるほか、研修の受け入れも行なっています。

震災を乗り越えて、仮設朝市での再開

現在、ゆりあげ港朝市メイプル館の主管を務める若山さんは、震災後、ボランティアで避難所のケアなどの活動にあたっていました。買物ができず食料が不足した状況のなか、パンなどをトラックいっぱいに積み込み、避難された方に配布していたのは、ゆりあげ港朝市協同組合の桜井広行理事長でした。
「震災直後は、誰もがどうしたらいいのか何も考えられない状態でした。そんななか、桜井理事長は動いていた。すごいなと思いました」
若山さんは毛布集めなどの活動を通して、朝市協同組合の手伝いをするようになりました。
その後、桜井理事長が「とりあえずの仮設の朝市再開だが、やれるか?」と組合員に声をかけたところ、みんなが「やる!」声をあげたそうです。亡くなられた組合員もいましたが、残ったメンバーでやるしかない。名取市長の応援もあり、3月27日には名取イオンモールの駐車場で仮設の朝市を再開できることになりました。「このときの再開がなければ、元の場所に朝市が戻ることはできなかっただろう」と組合員の方は話しています。
桜井理事長は、知り合いと再会して泣きながら抱き合っている人々の姿を見て、「朝市を続けなればならない」と強く感じたそうです。

お話を伺った、朝市協同組合の若山陽子さん

元の場所での再出発「ここでなければ意味がない」閖上でのグランドオープン

お客さんが来てくれるかどうか不安というよりも、「やるしかない」という選択肢しかない。こんな話を桜井理事長がよくしていたそうです。「何もなくなってしまったからこそ、新しいものを作り出せるんだ」という言葉で、組合員たちは自らを奮い立たせていました。
若山さんは「元の場所での再開は無理だろう」「どこか違う場所で、朝市という名前で再開すればいいのだ」と思っていましたが、いつの間にか心から「元のあの場所でなければ意味がない」という気持ちになっていきました。今ではその言葉に至った組合員の心情を想い、尊敬しているといいます。
2013年5月、カナダからの支援を受け建設されたメイプル館の完成に伴い、イオンモールで開催してきた仮設朝市が移転し、昔から朝市を開催していた場所で「ゆりあげ港朝市」がプレオープン。2013年12月にはすべての建物が完成し、グランドオープンしました。
目の前に海が見渡せる、開放的な朝市会場には約50店舗が軒を連ね、海の幸や採れたての野菜が並びます。初心者でも参加できる、番号が付いた団扇を使った「競り体験」もおすすめです。友人や家族など、何人かで参加してお互いに競り落としたものを物々交換するのもよいのではないでしょうか。新鮮な海の幸は、早い時間に来た方がよいものが手に入るそうです。

朝のゆりあげ港

朝市の模様

若山さんのおすすめは三陸産の「わかめの茎」。刻んだ季節の野菜と一緒にめんつゆに漬けて一晩置けば、美味しいおかずが出来上がります

新たなアイデアで、人と人が交流できる場所へ

歴史のある朝市を、「これからは生業としての側面だけではなく、文化的に交流できる場所にしたい。朝市で出会った方同士が交流できる場所になれば、おのずと楽しいことが生まれる場になるのではないでしょうか」と語る若山さん。
親子で来られるように子ども向けのイベントを開催したり、大人も子どもも楽しめる水墨画体験コーナーを設けたりと気を配っています。
メイプル館は、事前に連絡すれば教室などの活動場所としても利用することができ、ステージとしても使える屋外ウッドデッキの活用アイデアも募集中です。
最近では、秋保温泉の宿泊客が立ち寄るほか、県外の方がツアーを組んで来たり、社内で参加者を募って旅行に来たり、いろいろな方々の応援を受けて、1日に1万8000人が来場した日もあったとか。
「まだ被災した地域に来たことがない方には、ぜひ一度は足を運んでみてほしいです。希望があれば、震災当時のテレビ映像を視聴した後のトークセッションや、避難所運営ゲーム体験などの研修も受け付けています」
全国からお客さまを迎えるにあたり、必要なのがアクセス状況の改善です。
また、地元・名取市には現在8か所の仮設住宅がありますが、車のない高齢者の方はタクシーで朝市へ通っています。「毎回タクシーで朝市に通うのは負担が大きい」という声もあることから、本数は少なくても、駅と空港と朝市をつなぐ交通手段の設置が望まれています。

カナダ政府、ビクトリアコロンビア州、カナダの森林組合が資金を出し合って完成した「メイプル館」、海鮮丼や蕎麦、コーヒーなどの飲食店のほか、東北の特産品が並ぶ土産コーナーや震災資料の展示コーナーがある

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