待ってくれているお客さまのために
2014.05.22
株式会社 八葉水産
宮城県気仙沼市にある「株式会社 八葉水産」は「いかの塩辛」をはじめイカ、サバなどの魚介類加工品やメカブ、コンブ、モズクといった海藻加工品を生産している三陸を代表する水産加工会社です。
震災前は170名の従業員を抱え6か所あった工場と原料や製品を保管している冷蔵庫がすべて被災しましたが、2012年3月に本社工場を再開し、復興に向けて歩んでいます。
メーカーとしてのプライド
気仙沼は震災で多くの被害が出た場所のひとつです。震災のあった3月は水産業にとって1年のなかで最も多くの原料が冷蔵施設に保管されている時期であり、八葉水産もこの津波で大きな被害を受けました。
何百トンと流出した原料や商品の廃棄作業や、被害を受けた工場の清掃作業など、大変な作業が続きました。「八葉水産の商品が待ち遠しい」という声に支えられながら、「なんとか復旧したい」一心で、先の見えなかった復旧作業を乗り越えてきたと、清水常務は話してくれました。
「どこかの工場を借りるなどすれば、もっと早く生産を再開する方法はあったのかもしれないが、衛生面でも品質でも震災前と同じようにつくりたかった」というメーカーとしてのプライドで、自社工場再生の道を選んだそうです。
待ち望んでいる声に励まされて
2011年の秋に「しめ鯖」から生産を再開。2013年の4月に旧第二工場であった現在の本社工場が再建され、主力商品である「いかの塩辛」をはじめとする「いか明太子」、「いかの糀漬け」などいか関連商品を生産できるようになりました。現在では震災前の半分近くの商品数まで復活したそうです。
しかしながら、多くの量販店の売り場は商品が供給できない間に他のメーカーに市場を奪われるなど、まだまだ順調とはいえないようです。
そんななかでも、昔から取引のある量販店が、陳列棚に代替品を置かずに空けて待っていてくれたことや、商品を買ったお客さまから「待ってました!」との多くの声がよせられることが、本当にうれしいと清水常務は笑顔で話してくれました。
まじめな商品づくり
八葉水産の主力商品の一つに「いか明太子」という商品があります。
厳選した「たらこ」を使用して自社で「明太子」をつくり、新鮮なスルメイカを加えて二段熟成させるというこだわりの商品です。
「自己満足ではないが、まじめにつくっていることは食べてもらえばわかります」と清水常務は自身に満ちた言葉で話してくれました。
これからもお客さまに喜んでもらえる商品を提供していくことで、水産加工で有名な気仙沼を再び盛り上げてくれることでしょう。
気仙沼の希望を叶えるため
八葉水産のギフトにも使われている帆布のポーチを制作しているGANBAARE(ガンバーレ)という会社があります。
昔から気仙沼には漁業や水産加工で使われている前掛けやシートなどを作る工場がたくさんありましたが、その縫製職人たちの多くは、津波により仕事を失いました。
現在このGANBAAREでは、津波で仕事を失った縫製職人を雇用し、工芸品を作っています。
実は、この会社は、八葉水産の社長が、「気仙沼には水産加工だけではなく工芸品などの産業も必要だ」という思いで立ち上げた会社なのです。
現在では気仙沼市岩月に「縁」というギャラリーショップを構えており、帆布で作られた前掛けをはじめ、バッグやポーチなどの小物まで充実した品揃えで私たちを迎えてくれます。
縫製職人が一つひとつ、ていねいに制作しており、しっかりした作りと帆布なので丈夫なのはいうまでもありません。気仙沼のゆるキャラ「海の子 ホヤぼーや」やGANBAAREキャラクター「ふかひれちゃん」の柄など、とてもかわいらしい商品が揃っています。
また、「縁」には、カフェカウンターがあり、無料でコーヒーがいただけます。単なる工芸品のショップではなく、お客さまと出会った「縁」を本当に大切にし、再び気仙沼に足を運んでいただけるようなコミュニケーションスポットとなっているのです。
気仙沼に足が向いたら気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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