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人、食、地域をつなぐ。南三陸ワイナリーの誕生

2021.03.04

南三陸ワイナリー株式会社 代表取締役 佐々木 道彦さん

宮城県南三陸町に、新しくワイナリーができました。魅力あふれる食材とともに、自然を感じながらワインを味わえる「南三陸ワイナリー」。設立までには、代表・佐々木さんのワインにかける思いや、周囲の方々の温かい応援がありました。

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ワインと、とびきりの地域食材を楽しめるワイナリー

海を望み、潮風を感じながら、ワインと一緒に地元の新鮮な食材を味わう----そんなワイナリーが202010月、宮城県南三陸町に誕生しました。
その名も、「南三陸ワイナリー」。町おこしのプロジェクトによりできたワイナリーです。
「南三陸は海と山に囲まれた、自然豊かな場所。ここでは、さまざまなおいしい食材がとれるんです。海の食材では、カキ、ホヤ、タコ、銀ジャケなどが有名で、山の食材では放牧のブタや、ワカメの茎を食べて育ったヒツジなどユニークな名産品があります」
そう話すのは、現在ワイナリー代表を務める佐々木道彦さんです。
「それぞれ魅力をもった南三陸の食材に、ワインを加えることで、地域全体で食を中心とした新しいブランド価値を生み出していきたいです。さらに、町のにぎわいを生み出し、人と人、人と地域がつながる町の新たな拠点になりたいと思っています」

人が集まれるように、南三陸ワイナリーではショップやテラスが併設され、ワインと食事が楽しめるようになっています。さらに、予約をすれば醸造棟でワイン造りを見学することもできます。
「テラスでは、海を眺めながら食事ができるようになっています。ぜひ地元のおいしい食材と一緒にワインを味わっていただきたいです」
ワイナリーでは、スパーリングワイン、白ワイン、赤ワイン、ロゼワインなどが醸造されています。また、原料ぶどうの一部も自社栽培されており、2021年には南三陸産のぶどうを使用したワインを発売し始めました。

ワイナリーの誕生は、町の皆さんにとってもうれしい出来事。
「まさか自分の地元にワイナリーができるなんて!」「ワインがこんなにおいしいとは!」「こんな良質な食材がこの町にあったなんて!」と、喜びや驚きの声が上がっています。
さらに今後、ワイナリーの効果で、町を訪れる人や移住してくれる人が増えるなど、町全体にも良い変化が生まれることが期待されています。


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南三陸ワイナリーのショップ内の様子。優しく落ち着く空間です

あらゆるものを「つなぐ」、可能性に満ちたワイン

今でこそ、温かい声援に包まれている南三陸ワイナリー。
しかし、佐々木さんがプロジェクトに参画した当初、町の中にはワイナリー建設に厳しい目を向ける人もいました。ワインに愛着がある人がほとんどいないことから、建設への理解も進まず、メンバーによるぶどう畑の維持管理も滞っていたからです。
「このままでは、ワイナリーなんてできないんじゃないか......」。懐疑的な声も聞かれたといいます。
佐々木さんが南三陸に移住し、プロジェクトに参画したのはそんな時期のことでした。
「私自身は山形出身で、東北へ戻る前は静岡のメーカーに勤めていました。仕事で、新規事業や新コンセプト商品に携わるかたわら、いつか地方創生など、地域に根づいた活動をしたいと思っていたんです」
そんな佐々木さんにとって、転機となったのが東日本大震災でした。
「被災地の光景を目の当たりにして『これは本当に起きていることなのか』と愕然としました。ふるさとである東北のために何かできないか......そう強く感じ、ボランティアを経て南三陸の『移住体験ツアー』に参加したんです」
ツアーで出会ったのは、新しい事業やプロジェクトを立ち上げるため、奮闘する人々でした。南三陸には面白い取り組みをしている人がたくさんいると知った佐々木さん。中でも南三陸ワインプロジェクトは、逆風にさらされていたものの、可能性を感じたといいます。
ワインがある食卓では、料理とともに人々の楽しい会話があふれます。さらにワインは色々な食材と相性が良いお酒です。つまり、人と人を『つなぎ』、食材同士を『つなぐ』ことができるのです。ワイナリーができれば、人と地域を『つなぐ』こともできます」
人、食材、地域を「つなぐ」ワインがあれば、町の復興は進むに違いない。そんなワインの可能性を信じて、佐々木さんは行動を開始しました。


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ワイナリーではランチを提供している他、ワインに合う地元食材を使った食品が並びます

まずは「知ってもらう」ところからのスタート

ワイナリー設立のため、立ち上がった佐々木さん。まずは何をするべきか......と考えたとき、地元の人にワインを「知ってもらう」ことが課題だと感じたといいます。
ワイナリーを造るには町の人たちの協力が欠かせません。しかし、南三陸でお酒といえば日本酒。ワインになじみがない人も多いという状況にありました。そのため、まずはワインを知ってもらい、理解を深めてもらうことが重要だったのです。
「地道なことから、少しずつ始めていこうと思いました。そこで毎月、海沿いで開催される福興市でワインを振る舞い、町の人と顔なじみになるところから始めたんです。当時、振る舞ったのが2018年に委託醸造にて造った白ワイン。デラウェアの甘い香りがあって、料理と合う辛口なのが特徴のワインです」
しかも、このワインは「日本ワインコンクール」で奨励賞を受賞したもの。宮城県では初の受賞でした。普段は日本酒しか飲まないという人も、福興市で振る舞われたワインを飲んで「おいしい!」と言ってくれたといいます。
「それ以来、福興市に参加をしては、お食事と一緒に辛口のワインをぜひ飲んでくださいと、町の人に繰り返し説明をし続けました。それでだんだんと、町の方も飲んでくれるようになっていきました」
また、町の中心地だけではなく、町のあらゆる地域ともつながっていきたいという思いから、地域の小さな夏祭りにも参加していきました。こうして人とつながる活動は、地道ながら着実に、実を結んでいったといいます。
「ワイナリーの設立場所や、借りられる畑を探していると町の人にお話しするうちに、空きが出ると真っ先にお声をかけていただけるようになったんです。少しずつですが、応援してもらえるようになっていきました」
また、一般の方からも、クラウドファンディングやdデリバリーの「出前で復興応援!」キャンペーンで寄付をいただきました。寄付のおかげで海を見晴らせるテラスを新築できたほか、ショップには南三陸杉を使った地元産の家具を導入できました。
さらに、植樹やワイナリーの工事などで人手が必要なときも、声をかけると皆さんが力を貸してくれたといいます。
「ワイナリー完成は、皆さんのご協力なくしてはできませんでした。醸造棟は、もとは水産加工場だった建物で、当初はサビだらけだったんです。サビ取りから開始し、サビ止めを塗り、塗装を全面的にやり直す必要がありましたが、とても自分だけでやるのは難しくて......。そんなとき、ボランティアとして皆さんが来てくれたんです。だから南三陸ワイナリーは、皆さんのおかげでできた、手作りのワイナリーなんです」


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ワイナリー外観。テーブルや扉に南三陸杉を使い、ぶどう畑の支柱もテラスの壁面に再利用しました

町がにぎわう、「本当の復興」を目指して

ワイナリーの完成は、町の多くの人の感動を呼びました。
オープニングでワイン会を開くと、お世話になった地元の方は「ワイナリーなんてできないと思っていた時期もあったけれど、完成して本当にうれしい。夢のようだ!」と心の底から喜んでくれました。
オープンを経て、ワイナリーのさらなる可能性に佐々木さんは胸を膨らませています。
「ようやくスタートです。これからもつながりを生むために、さまざまな取り組みを進めたいです。例えば、ワインの海中熟成の作業を皆さんに体験していただきながら、船でカキとワインを楽しめるワークショップなど、南三陸だからこそできることを提供していきたいですね」
また、ワインで食材同士をつなぎ、新たな食の魅力を引き出すこと、ワイナリーを通じて地域と人をつなぎ、町のにぎわいを生むことが、引き続きのミッションだと佐々木さんは話します。
「単に、町が復旧するだけでは、『本当の復興』とはいえないと思っています。土地にあるものを生かしながら新しい取り組みを続けていくことで、にぎわいが戻るのではないでしょうか。新しい取り組みをしている町は、元気になりますから」
「本当の復興」のために必要なのは、これまでの活動をやめないこと。ワインによるつながり作りをこれからも継続することが大切だといいます。
「南三陸に来て、この町がとても好きになりました。今まで以上にワインだけではない町全体の魅力を伝えていければと思います」
南三陸ワイナリーはこれからも、さまざまな人やものを「つなぐ」存在となっていくことを目指します。


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新設されたテラスからは海が見えます。立っているのは代表の佐々木さん

2019.10.25

南三陸の食を活かすワインで地域をつなぐ~南三陸ワイナリー

南三陸ワイナリー株式会社

南三陸ワイナリー株式会社 代表取締役 佐々木 道彦さん

〒986-0733 宮城県本吉郡南三陸町志津川字旭ケ浦7-3
Tel:0226-48-5519
e-mail:info@msr-wine.com
<ワイナリーショップ営業時間>
 水~金:13:00~18:00 土日祝:10:00~18:00 定休日:月・火
※祝日営業の場合は、翌営業日に振替休業

ホームページ
https://www.msr-wine.com/
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