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震災の記録を残し、未来の命を守る--岩手県釜石市の「いのちをつなぐ未来館」

2019.08.26

いのちをつなぐ未来館

2019年3月、岩手県釜石市にオープンした施設です。震災を後世へ伝えること、防災について学ぶことを目的とし、震災についての展示、防災に関する資料、ワークショップなどに使える多目的スペースがあります。県内ばかりでなく、県外からも多くの人が訪れており、オープンから2カ月で来館者は1万人を突破し、現在は2万6千人もの方が訪れ、現地の出来事を通じ、多くの事が学び感じられる施設になっております。
写真:「いのちをつなぐ未来館」の佐々学さん。

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震災の出来事や教訓を未来へつなぐ

東日本大震災から8年が経った2019年3月。岩手県釜石市に、「いのちをつなぐ未来館」がオープンしました。この施設が建つ鵜住居(うのすまい)町は、津波で大きな被害を受けた地域です。この場所で何が起こったかを皆が忘れないように、二度と同じことが起こらないように、という思いからこの施設が生まれました。

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鵜住居駅前の「うのすまい・トモス」内にあります。

施設の中は3つのエリアに分かれています。まず、震災に関する記録をまとめた展示室。続いて、震災関連の書籍や資料、写真が置かれた資料閲覧室。そして、ワークショップや企画展で使うことができる防災学習室です。佐々さんに館内を案内していただきながら、お話を伺いました。

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館内は明るく、開放的な雰囲気です。

二度と起こしてはいけない防災センターでの出来事

展示室のテーマは3つあります。まずは「東日本大震災と釜石」と題された、釜石市の被害状況をまとめたコーナーです。

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釜石市全域の被害状況や、当時と今の町の状況が事細かく記録されています。

2つめのコーナーは、「鵜住居地区防災センターの出来事」です。現在未来館のある場所には、かつて「鵜住居地区防災センター」があり、ここで津波によって160名以上もが亡くなったのです。このコーナーでは、防災センターの成り立ちや震災当日の状況、津波で止まった掛け時計の展示などを見ることができます。

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防災センターの場所と、避難した方々の住居の位置なども示されています。

防災センターは、津波の避難場所ではありませんでした。このエリアの避難場所はもっと高台にあったのですが、「防災」という名称や、火災の避難訓練を防災センターで実施していたことなど、さまざまな要因が重なって、多くの方がここに避難してしまったとされています。

「悲劇」という一言では到底片付けられない、辛い出来事です。ここまで詳細に展示すべきなのか、ならばどんな内容がふさわしいのか、簡単に決断できることではありません。「展示の内容については、遺族の方々、住民の方々と話し合いを繰り返し、何年もかけて少しずつ決めていきました」と佐々さん。

同じような出来事は二度と起こさない。そのために、きちんと記録を残し、なぜこんなことが起こったのかを振り返る。――そんな強い決意のもとに生まれた展示です。未来館のオープン以来、遺族の方々も足を運んでいるそうです。

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未来館の隣にある「釜石祈りのパーク」。上部の黒い壁が津波が到達した高さです。

釜石の子どもたちを強くした防災教育

展示室の最後は、「釜石の子どもたち」というコーナーです。鵜住居には小中学校が1つずつありますが、震災当時、学校にいた子どもたちは全員無事でした。

「これは奇跡ではなく、釜石市が行ってきた防災教育の賜物だと考えています。そのことを紹介しているのがこのコーナーです」

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鵜住居の子どもたちは、30分で1.6キロもの距離を避難し、命をつなぐことができました。

釜石市では、2004年から小中学校での津波防災に力を入れています。「自分の命は自分で守ることのできるチカラ」を身に付けることを目的とし、避難訓練はもちろん、津波に関する特別授業、避難場所や危険な箇所を書き込んだ地図作りなど、さまざまな取り組みを行ってきました。

コツコツ続けてきたこれらの取り組みは子どもたちの中に着実に根付いていました。あの震災の日、ある中学生は「この揺れは海溝型地震だから、津波が来る!」と直感したといいます。子どもたちは自分の力で自分の命を守ったのです。

釜石市の防災教育は他県からも注目されており、遠方からの視察も多いそうです。最近では、同じく津波のリスクを抱える静岡県の学校と連携し、防災教育の内容を共有するようになりました。

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釜石市独自の防災教育が紹介されています。

「未来」のための場所でありたい

オープンスペースに展示される内容は、月に一度ほどで変わります。未来館の職員が企画するものもあれば、地域の小学生やボランティアなどから持ち込まれる企画も。

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この日は、地元の小学生が作成した津波のメカニズムに関する展示が行われていました。

また、ここにNTTドコモが「津波の仕組み学習システム」を提供しています。ディスプレイに向かって手を動かすと、映っている波や地形が変化するもので、体を動かしながら津波や防災の理解を深めることを目的としています。

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釜石市・岩手大学・NTTドコモの三者が協力して作っているシステムです。

オープンからわずか2カ月で来館者数1万人を突破、半年経たないうちに年間の目標来館者数に達した「いのちをつなぐ未来館」。地元の小中学生、県内外からの観光客、防災に携わる団体の視察...。さまざまな人がさまざまな理由でこの場所を訪れており、県内・県外の人の割合はちょうど半分ずつだといいます。

「ここに来ないと分からないことがたくさんあった、というお客様の言葉が忘れられません。数字としての被害状況はご存知でも、それ以上詳しく知ることはなかなか難しいのでしょう」

「『未来館』という名前の通り、ここは未来のための場所です。ただ悲しい出来事だけを伝えていくのではなく、震災という過去の出来事から学び、未来に生かすのが私たちの役目。そのために何ができるのかを常に模索していくつもりです」

災害はいつ起こるかわかりません。釜石市を訪れた時には、ぜひ未来館へ足を運んでみてください。きっと学びがあるはずです。

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震災以前と以後とで、大きく変わった釜石の地形を示す展示。

関連するサイト

「いのちをつなぐ未来館(釜石市)」へ展示「津波の仕組み学習システム」
/tohoku/know/0018.html
「東北応援社員募金」の寄付先自治体を決定
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/2018/180619_01.html

いのちをつなぐ未来館

岩手県釜石市鵜住居町第16地割72番地1

HP
https://unosumai-tomosu.jp/miraikan.html
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