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音楽の力を信じて誕生した、大船渡のライブハウス

2018.05.11

KESEN ROCK FREAKS

岩手県大船渡市のライブハウスです。大船渡では2008年から毎年音楽フェスが行われており、その流れをくんで生まれました。仮設店舗での運営を続け、二度の移転の末、2017年に現在の場所に落ち着きました。商業施設「キャッセン大船渡」の中で営業しており、ハンバーガー店も併設しています。
写真:KESEN ROCK FREAKSの千葉裕昭さん。

大雨の中開催された"伝説のフェス"

2008年7月、地元を盛り上げようと大船渡青年会議所が主催した「大船渡ロックフェスティバル」が開催されました。多くのアーティスト、入場者に恵まれたものの、翌年はイベントの継続が難しい状況になってしまいます。その時に立ち上がった中の一人が、現在「KESEN ROCK FREAKS」の代表を務める千葉裕昭さんでした。

「せっかく一度始まったものをなくしてしまうのは、とてももったいないと思いました。自分に何かできることがあればと、とにかく動き始めたんです」

以前から音楽好きだった千葉さんですが、フェスの運営に携わったことはありませんでした。そもそもフェスとはどんなものなのか、備品は何が必要なのか、ステージ設営はいつから始めるのか...。全てを一から調べ、手探りで準備していったといいます。ステージも自分たちの手作りで、準備は開催ぎりぎりまで続きました。

ようやくこぎ着けたフェス当日は、まさかの大雨。しかし、その雨も雰囲気を盛り上げることに一役買い、今では"伝説のフェス"と語り継がれるような1日になりました。

「主催者側もフェスというものがよく分からないので、成功したのかどうかが自分たちで判断できなかったんです。『これでよかったのかな?』なんて話していると、お客さんが『来年も楽しみにしています!』と声をかけてくれて。それでようやくほっとすることができました」

千葉さんが音楽の力を感じたこのフェスが、後に生まれるライブハウスの原点でした。contents_image1.jpg

2009年、"伝説"となったフェス「KESEN ROCK FESTIVAL」

一からライブハウスを作り上げる

2009年から毎年フェスを続けてきた千葉さんですが、2011年の東日本大震災で、地元の大船渡は大きな被害を受けました。建設会社を営んでいる千葉さんは、街の復旧に力を尽くすことになりました。

「さすがに2011年のフェスは開催できませんでした。でも、これまでに親交のあったアーティストが、東京で資金集めのためのライブを開いてくれて、『来年は開催してほしい』と言ってくれたんです。支援物資を持ってきてくれたアーティストもいましたし、温かい気持ちが心にしみました」

2012年、KESEN ROCK FESTIVAL実行委員会に「大船渡にライブハウスを作らないか」と声をかけられます。話を持ちかけたのは、「音楽で人と人をつなげる」というコンセプトで沿岸部にライブハウスを作ろうと動いていた「東北ライブハウス大作戦」の本部長でした。ライブハウスという拠点があれば、年に一度と言わず、コンスタントにイベントを開催することができるようになります。千葉さんはライブハウス建設を決意しました。

手作りライブハウス、移転に次ぐ移転

ライブハウスを作るにあたって、最も苦労したのは物件探しでした。市内の物件はほとんどが被災しており、ライブハウスとして使えるものはなかなかありません。ようやく見つけたビルも、内部に水が流れ込んだ建物で、内装は一から整える必要がありました。

ライブハウスのオープンは2012年の8月と決まっていました。しかし、7月が終わるころになってもとても人を迎えられる状況ではありません。仲間が改装を急ピッチで進めて行きます、電気はトラックの発電機を調達し、仮設トイレを置き...。スタッフルームの改装までは手が回りませんでしたが、オープン当日の朝にようやくお客さんを入れられる状況までこぎ着けました。

「仕事との両立というのもあってとにかく慌ただしく、オープン当日のことはほとんど記憶にないんです。ただ、遠方からはるばる来てくれたお客さんが多くてうれしかったことだけは覚えています。ようやくここまで来たか......という想いでした」

ただし、物件はいずれ建て直す予定になっており、オープン2年目で取り壊しが決まりました。次に移転したのは、防音設備もない仮設店舗でした。仕事とライブハウスの両立等様々な問題に直面する中、千葉さんは懸命にこのライブハウスを守ろうとしていました。「大船渡にライブハウスを、音楽を残したい--」という一心で。contents_image3.jpg

仲間たちと津波で被災したビルを改修して作り上げた初代ライブハウス

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二代目のライブハウスは、プレハブの建物の中に期間限定でオープンしました

地元に根付き、 "チャンス"の場として輝く

2017年4月、二度の移転を経て、三代目となるライブハウスがオープンしました。飲食店や雑貨店が立ち並ぶ「キャッセン大船渡」という商業施設の中です。商業施設ができると知った千葉さんは、市役所へ行って「ここにライブハウスを作らせてほしい」と頼み込みました。すると、市からも「ぜひここで営業してほしい」と言われたのです。

「どなたが言ってくれたのかわかりませんが、『ここにライブハウスを呼んでほしい』という意見が寄せられていたのだそうです。これまでコツコツやってきたことを誰かが見ていてくれたのだと、本当にうれしかったですね」

ライブハウスの中には、「RACCOS BURGER(ラコスバーガー)」というハンバーガー店もあります。もともと親交のあったオーナーが、震災時にはるばる岡山から1,000個ものハンバーガーを持って来てくれました。その縁があって、今では大船渡のライブハウスに欠かすことのできない存在です。

「ステージを重ねて、有名なアーティストが来てくれることも増えました。そういうアーティストと、まだあまり知られていない若手アーティストに一緒にステージに立ってもらいたい。大船渡を『チャンスがある場所だ』と感じてほしいんです」

大船渡から音楽を発信していくために、KESEN ROCK FREAKではますます精力的なステージが行われることでしょう。contents_image5.jpg

三代目となるライブハウスオープン当日の様子。待ちに待った多くの人でにぎわいました

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ライブハウスの中には、支援者の名前が書かれた"木札"がびっしりと貼られています

KESEN ROCK FREAKS

大船渡市大船渡町字茶屋前3-2-2410

URL
http://go-freaks.com/
URL
http://kesenrockfes.com/

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