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北限のゆずをまるごと体験!!
「北限のゆずを楽しむ会2023」開催 in陸前高田市

2023.04.20

北限のゆず研究会

岩手県陸前高田市で、2013年6月に発足した「北限のゆず研究会」では、「北限のゆず」を陸前高田の復興の象徴として、ブランド化を目指す取り組みをしています。生産者との植栽や栽培管理講習会の実施、市内外からのボランティアによるゆずの収穫体験など、年間を通して様々な活動を行っています。北限のゆずをはじめとする、産地の魅力を広く周知するため「北限のゆずっこ便り」も発行しています。そして、研究会は発足から今年で10周年という節目の年を迎えます。

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10年という年月のなかで生まれた、繋がりと絆

東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市。震災からの復興を目指すなかで、古くから市内に生息する「ゆず」に着目し、地域ブランドを目指す「北限のゆず研究会」を立ち上げ、復興を後押ししてきました。
陸前高田市では約200年以上も前から、ゆずが民家の庭先に植えられており、地域の人たちにとっては身近な果実とされていましたが、震災前までは地域の産物としての認識もなく、ほとんど流通もしていませんでした。

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現在、陸前高田市は、ゆず産地としては日本最北端の地域であり、「北限のゆず」ブランドとして注目されるまでになりました。いち早く目をつけ商品化を実現させた株式会社南部美人や、NTTドコモグループもゆず収穫のボランティア協力など、研究会発足時から変わらず支援を続けています。その他にも応援、協力をする企業や、愛情を注いでゆずを育てる生産者。そして、毎年11月頃に、開催しているゆず狩りサポーターによる収穫体験は、これまで約50回、1,000人以上の方が参加したそうです。

たくさんの方に支えられてきた10年。研究会も期待に応えられるように、ブランド化に向けて様々な取り組みを行ってきています。今回は、その取り組みの中から、10回目の開催となる「北限のゆずを楽しむ会」にスポットをあててご紹介します。

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2023年2月25()に開催された「北限のゆずを楽しむ会2023」。例年は、ゆずの生産者やゆず狩りサポーター、ゆず商品製造事業者、官民の支援団体などの招待者のみが集まって交流する催しでした。
北限のゆず研究会会員の方から「もっとゆずを身近に感じられて、いろんな人が楽しめる内容で開催してほしい」というリクエストがきっかけでした。一般の方も参加ができる"楽しむ会"にするため、研究会の事務局が中心となり、アイディア出しや下調べを行い、何度も打合せを重ねました。

今回は10回目の開催ということもあり、新たに北限のゆずファンになってもらい、すでに興味関心のある方にもっと好きになってもらうために、様々な趣向を凝らした体験を重視した内容となりました。
誰でも参加ができるワークショップは、「料理教室」、「リップクリーム作り」、「草木染め」「ゆず生産ショップ」の4つのゆず体験会が同時に開催され、どの体験会も参加者の笑顔で溢れていたのが印象的でした。

今回の参加者を含めると、これまでに約600人というたくさんの方が、楽しむ会に足を運びました。北限のゆずを通して繋がりが増え、さらに絆が深まっていることを北限のゆず研究会も実感しているそうです。

 

体験会を通してゆずの魅力を再発見

教室中にゆずの香りが漂っていたのは、「北限のゆず×発酵調味料で腸活メニュー」を学べる料理教室。親子で参加した方や、小学生の兄弟、毎年ゆず狩りサポーターに参加する常連の方も見られました。

講師は、陸前高田市や大船渡市、オンラインで料理教室も開催している、管理栄養士の菅野香澄さん。

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発酵×食育アドバイザー管理栄養士の菅野香澄さん

この日のために考案されたレシピは、ゆずと「麹」のかけ合わせ。ゆず本来がもつビタミンやクエン酸などに、発酵調味料である塩麹の旨味と豊富な栄養素が加わった、体に優しいレシピです。

2チームに分かれてスタートした調理は、初めまして同士にも関わらず、終始和やかな雰囲気で行われていました。
チームごとで、相談して担当を決めて下準備をしたり、お子さんも包丁でゆずの皮を切ったり、野菜を洗ったりと自分から進んで調理に参加している様子が見られました。北限のゆずを楽しむ会 (15).jpg

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 お子さんと一緒に参加した、北限のゆずファンの三浦智恵美さん。イベントの開催をチラシで知り、お隣の宮城県気仙沼市から参加しました。

「ゆずが大好きなんです!!家でなかなか使う機会がなかった塩麹とゆずで、簡単なレシピが覚えられたらいいなと思って参加しました。息子もおままごとが大好きで、お家でも料理を手伝ってくれるので、今日のゆずご飯も一緒に作ろうと思います」。北限のゆずを楽しむ会 (13).jpg

三浦智恵美さんと、息子の叶也くん。
お手伝いをしたり、近くでおままごとをしていたりと、2時間の料理教室中、ずっとお利口さんに過ごしていました

 

最後は、完成した料理を試食!チームプレイで作った料理の美味しさに、みなさん大満足のようでした。この料理教室を通して、ゆずの新たな調理方法や美味しさを再発見でき、そして料理の楽しさも改めて感じられたのではないでしょうか。北限のゆずを楽しむ会 (12).jpg

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北限のゆず×発酵調味料で腸活メニューレシピ
http://www.hokugen-yuzu.jp/info/2349/

 

料理教室のお隣で開催していたのは、「リップクリーム作り」。
北限のゆず研究会では、ゆずの加工品を作る工程で、ほとんど利用されることなく、捨てられていた種を利活用する方法を考えていました。そんなとき、ご縁があって岩手県一関市でオイルを製造販売している「デクノボンズ」さんの協力により、「ゆず種子オイル」を採ることに成功しました。

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作る工程はとても簡単!ゆず種子オイルと蜜ろう、シアバターの3つの材料を湯煎で溶かしながら混ぜ、リップクリームの容器に入れて、固まったら完成!!わずか10分ほどでできるワークショップは、3回にわけて開催されたこともあり、料理教室や草木染めとセットで参加する方も多かったようです。

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ゆずの種から搾られたオイルは、高い抗酸化作用や抗菌・炎症を抑える成分が含まれており、使用した時の効果も期待できます!そして、ほんのり香るゆずに癒されるリップクリームです。
ゆずの活用について、目から鱗な新発見ができたワークショップでした。

 

参加者同士で会話を楽しみながら開催されていた「草木染め」体験会。北限のゆず研究会が、ゆずの剪定枝を使った染め物ができないか相談した先が、岩手県一関市で100年続く老舗の染物屋「京屋染物店」さんです。この相談を受け、染職人が約1か月間、試行錯誤を重ねてゆずの枝と葉を使った草木染めが実現しました。

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京屋染物店の染職人 高橋眞大(まひろ)さん

まずは染めるハンカチを輪ゴムで結び模様をつけていきます。
次に染めの段階へ。ゆずの枝や葉を使った草木染めは、何色に染まるのか!?参加者のみなさんは興味津々の様子で染め上がるのを見守っていました。

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染まった色は......見事な「ゆず色」に。
京屋染物店さんも、ゆずの枝を使った染め物は今回が初めて。職人が、何度も枝葉の分量を繰り返し調整し、やっと辿り着いた理想の色です。ゆずの草木染めは、色の魅力だけでなく、実は肌に優しい保湿成分も含まれています。他の草木染めに比べて、肌が荒れにくく、しっとりとした手触りなので、安心して身に着けられるのも、嬉しいポイントです。

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今回ご家族とご友人と一緒に参加していた佐々木浩正さんは、盛岡市から2時間半の道のりをかけて、参加してくれました。

「ゆず狩りには、毎年参加しているんです。今年初めてこのような形のイベントをやるということで、楽しみに来ました。家族も友人も、前から染め物体験をしてみたいねと話していたので、今回ゆずの草木染めができると知って、参加を決めました!染めの仕組みが分かりましたし、こんな色になるんだって驚きました。楽しい時間を過ごせてよかったです」。

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写真右側:佐々木浩正さん。奥様と息子さん、ご友人の方と仲良く参加してくれました

「リップクリーム作り」と「草木染め」の体験会は、商品化に向けた試作の意味も込められているそうです。今まで捨てられていた、種や枝葉などを利活用する方法が見つけられ、ゆずの可能性がさらに広がりました。
今回の体験会をきっかけに誕生した、草木染めやリップクリームはこれから商品化されるかも!?そして、北限のゆず種子オイルはこれからまた新たなスキンケア商品への開発も検討しているそうです。
これから北限のゆずがどう進化していくのか、今後の動向が楽しみです。

他にも、北限のゆず生産者や栽培に関心がある方たちを対象とした「ゆず生産ワークショップ」も開催されていました。栽培管理のポイントや今後の植樹計画についての報告や、困っていることや質疑応答も交えて、色々な意見が交わされていました。

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北限のゆずを使った商品販売コーナーもあり、体験会やワークショップに参加した帰りに、立ち寄る方も多かったです。

今回の「北限のゆずを楽しむ会2023」は、北限のゆずに触れて、味わって、学び、体感ができる!まさに、最大限に北限のゆずを楽しむことができる会となりました。

 

地域ブランド「北限のゆず」を根付かせていくために

最後に、北限のゆず研究会の会長、佐々木隆志さんに今後の目標を伺いました。

「体験を重視した今回の楽しむ会は、お子さんから年配の方まで、幅広い年齢層の方が来てくれました。どの体験コーナーも大変好評で、みなさんがすごく楽しんでいる様子だったので、開催して良かったなと思っています」。

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写真中央:北限のゆず研究会会長の佐々木隆志さん

「研究会が目標としていることの一つが、生産量の拡大です。過去最高は2021年の10トン、2023年までに30トンという目標数値を設定しています。達成にむけて計画を立てて、これから実行していくところです。ゆずの樹も最低1000本は増やしていきたいと思っています。
あとは、研究会の組織を法人の形態へと変更するか、検討している段階です。北限のゆず研究会の理念をつめていって、やる、やらない、をきちんと整理していこうと進めています」。

北限のゆず研究会が目指している理念は、「ささやかな幸せが生まれる機会をつくる団体」であり、「陸前高田市および三陸にとって誇れる文化のひとつにすること」。これからも、地域に根付いた北限のゆずブランドを目指していきます。

 

【取材・記事執筆】
一般社団法人トナリノ 吉田 ルミ子

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「北限のゆず研究会」への参画  -地域にあるものを活かした産業創造支援ー
https://rainbow.nttdocomo.co.jp/tohoku/know/0003.html
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