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熊本の「みなし仮設」避難者を孤立から救う、"つながるCafé"を作りたい!

2017.05.17

一般社団法人 よか隊ネット熊本

2016年4月14日に起こった熊本地震を受け、困窮者支援を行うべく2016年4月19日に設立した団体です。現在は、県内外の88団体が加盟しています。地震発生直後には、行政などの支援網からこぼれ落ちてしまう人に目を向け、車中泊を続ける避難者の実態調査や声がけを実施してきました。現在は、益城町から依頼を受け、熊本県内外に点在する「みなし仮設住宅」入居者への見守り事業を行っています。

「最も小さくされた人々」のために

2016年4月に起こった熊本地震では、震度6弱以上の揺れが7回も発生しました。九州全域に大きな被害が出て、一時は30万人もの人が避難しました。地震から1年が経った現在でも、なんらかの仮設住宅へ避難している世帯は1万4,000以上、在宅被災世帯は6万4,000世帯にものぼります。
地震発生から間もない4月19日に活動を始めたのが、よか隊ネット熊本です。理念の一つに、「最も小さくされた人々に偏った支援を行う」という言葉があります。この意図について、事務局長の江崎太郎さんはこう話します。
「『最も小さくされた人々』とは、『行政などの支援から漏れている人々』を指しています。支援が緊急度の高い方から行われるのは致し方ないことです。ならば、私たちはそこから外れてしまう人たちを支えるための活動をしよう、と最初から決めていました」
その一つが、車中避難者への支援です。自宅の半壊や、余震が続き屋内が怖いという理由から、熊本地震では、これまでにない人数が車中泊をしたといわれています。しかし、避難所にいるわけでもなく、昼間は通勤している人も多かったため、実態がなかなかつかめませんでした。

よか隊ネット熊本は、この車中避難者へ目を向け、実態調査を行いました。車中避難はエコノミークラス症候群の危険性があり、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまう人も多いといわれています。避難者が車に戻ってくる夜間に見回りを実施し、どんな暮らしを送っているのか、困ったことはないかなど、半年間にわたり声がけを続けました。

事務局長の江崎太郎さんは、東日本大震災でも支援活動を行っていました

車1台1台を回り、声がけを続けてきました

「避難者の孤立」----みなし仮設住宅の課題を解消するために

そんな中、熊本県益城町からの依頼を受け、2016年10月から「みなし仮設見守り支援活動」も始めました。「みなし仮設住宅」とは、行政が民間の賃貸住宅の家賃を負担し被災者に提供する住宅のことです。災害の後に一から建設を始めるプレハブ仮設住宅に比べて費用も手間も抑えることができるため、特に建設場所が限られる都市部では今後ますます主流になっていくといわれています。熊本地震では、仮設住宅に入居した世帯の約7割がみなし仮設住宅を利用しています。
メリットを多く感じるみなし仮設住宅ですが、大きな課題もあります。それは、入居者の地域・支援・情報などからの孤立というものです。1カ所に避難者が集まるプレハブ仮設住宅とは違い、みなし仮設住宅はあちこちの地域に点在しています。中には県外の住宅もあり、場合によってはたった一人で見知らぬ土地で暮らすことになります。また、一般の賃貸住宅なので、避難者かどうかは一見したところわからず、行政やボランティアからの支援が届きにくくなってしまいます。
地域からの孤立は、孤独死や自殺にもつながりかねません。支援や情報からの孤立は、生活再建を難しくします。避難先で孤立する人をなくすべく、よか隊ネット熊本では一軒ずつ訪問活動を行っています。

事務局員の土黒(ひじぐろ)功司さん。
メンバーが2人1組となって、1軒ずつ住宅訪問を続けています

「久しぶり!」明るい声が響き、再会を喜び合う交流イベント

今年4月、よか隊ネット熊本は、みなし仮設住宅入居者を対象とした交流イベントを開催しました。老若男女、たくさんの人が小学校に集まります。その数、600人。
このような大規模なイベントの開催は2回目です。志を同じくする30団体と協力し、スタッフも200人以上。炊き出し、物資支援、子どもの遊び場、法律や財産などに関する専門家の相談ブースなど、さまざまな企画を行いました。

「久しぶりだね」「元気だった?」
集まった人たちが最も楽しんでいたのは、何気ないおしゃべりだったのかもしれません。仮設住宅への入居で離れ離れになったかつてのご近所同士が、懐かしそうに言葉を交わす様子があちこちで見られました。

ただ、江崎さんはこの場だけでは解決できない課題も感じました。イベントを通じて、「イベント開催場所が遠くて足を運ぶことができない」「イベントをもっと頻繁に開催してほしい」「近所に交流できる場所がほしい」「同じ悩みを持った人たちともっと語り合いたい」「戸別訪問の頻度を上げてほしい」といった声が聞こえてきたのです。

「毎日の生活の中で『もっと周りの人とつながりたい』と思っている方がたくさんいるんです。大がかりなイベントを毎日行うわけにはいきませんから、何か対策が必要だと感じました」

そこで江崎さんが構想しているのが、「つながるCafé」です。

交流イベントはエンターテイメント要素が盛りだくさん。カレーライスや牛丼、ピザなど、さまざまな飲食ブースも並びました

屋内・屋外設けたキッズスペースで、子どもたちは楽しく遊んでいました

小さなつながりがたくさん生まれるように

「つながるCafé」は、地域ごとのコミュニティのー基礎となる場です。週に1〜2回の定期開催し、お茶を飲みながら気軽に交流するだけでなく、専門知識を持った相談員への相談窓口としても機能させたいと考えています。

「生活の中で困っていることがあっても、『こんなことで相談していいのだろうか...』と躊躇してしまう方がたくさんいます。まずはカフェのスタッフへ気軽に話してもらい、そこから行政なり専門機関に紹介していけたら」と江崎さん。

カフェは、熊本各地のこども食堂や公民館で開催する予定で、実質的な運営は各地域に根ざした団体が行います。よか隊ネット熊本は全体の管理を行う体制です。運営費用は、1カ所あたり年10万円。20カ所に設置するとして、年間200万円が必要です。うち100万円は一般寄附でまかなう予定なので、今回のドコモが応援する「寄附して応援プログラム」では100万円を目標にしています。

人と人とのつながりは、目には見えませんが、人が生きていくにあたって欠かせないもの。最低限の支援がようやく行き渡り、熊本は復興に向けてここからが正念場です。「ご近所の人とおしゃべりをする」という当たり前の暮らしを取り戻すために、ぜひあなたの力を貸してください。

熊本の各地に笑顔の輪を広げていきたいと考えています

【団体情報】
一般社団法人 よか隊ネット熊本
HP:https://yokatainet.or.jp
関連リンク:ドコモ九州支社でのセミナーで、「つながるCafe」を説明してきました。

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