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家族だから言えない想い ー第三者から伝えることで円滑な家族関係を築く

2018.01.23

一般社団法人りぷらす

2013年に、リハビリテーション複合サービスとして設立しました。高齢者向けのデイサービス、体操教室などで、リハビリを必要とする方や健康寿命を延伸するためのサポートを行っています。2017年8月からは石巻市民を対象とした、介護と仕事の両立を支援するサービス「訪問健康見守りサービス~想いの架け橋~」を開始しました。

介護する人を支えるサービスが少ない日本に必要なこと

宮城県石巻市で唯一のリハビリテーション複合サービス、一般社団法人りぷらす。代表を務める理学療法士の橋本大吾さんは茨城県出身です。震災後、2011年5月にボランティアとして宮城県を訪れました。そして、地域で必要とされていることを強く実感すると同時に、ボランティアとしての限界を感じた橋本さんは、2011年12月に石巻へ移住。2013年5月から、りぷらすを運営しています。

デイサービスやコミュニティヘルス事業など、石巻の住人に向けてさまざまな取り組みを行う中、2017年8月から「訪問健康見守りサービス~想いの架け橋~」をスタートしました。これは、市内在住の高齢者の自宅を家族に代わって訪問し、介護状態への進行を予防したり、家族とのコミュニケーションを活性化させ、仕事と介護の両立を実現させることが目的です。

橋本さんがサービスを立ち上げたきっかけは、ある40代の夫婦でした。脳卒中を起こした47歳の妻のために夫が介護離職。しかし夫は介護うつで苦しんだ末、自殺。「未然に防ぐことができなかったのか......」と、橋本さんは思い悩みました。

「今の日本の介護保険は要介護者を支える保険という位置付けで、イギリスや北欧諸国と比べ、介護をする人を支える仕組みが弱い。また、医療と介護の狭間で取り残される方もいます。そのため制度の狭間を埋めることができる、柔軟性の高いサービスが必要だと考えました」

理学療法士として活動していた橋本大吾さんは、震災後の2011年7月に初めて石巻を訪れ、半年後には移住しました

介護離職者を減らしたい!強い想いが訪問健康見守りサービスの原動力

5人に1人が高齢者という超高齢化社会に突入している現在の日本。中でも石巻の高齢化は急激に進んでいます。「震災前後の3年間で、石巻市の要介護者数は20%増加しました。日本全体の増加率が13%なので、石巻市の高齢化率は日本全体と比較しても高いんです」

「介護をする人は全国で約550万人といわれていますが、子育てと両立している人が約25万人。その中で介護離職する人は年間約10万人、1日あたり273人が仕事を辞めざるを得ない状況です」

「介護離職者を減らしたい」という橋本さんの強い想いから生まれた、「訪問健康見守りサービス~想いの架け橋~」は、石巻市在住の満70歳以上の方が対象です。健康見守りトレーナーが高齢者の自宅を訪問し、健康状態や生活環境の変化を確認、家族への想いなどを把握します。それを家族へ伝達することで、家族の心身の健康状態や生活環境だけでなく、介護への準備や親と自分の人生を考えるきっかけづくりにもなり、安心して仕事と介護の両立に備えることができます。

橋本さんいわく、「東北の人は元々の身体能力が高い人が多く、地域のつながりが強い」のだそう。一方で、「健康に対する意識が弱い」という一面もあるそうです

第三者の介入で家族間のコミュニケーションが円滑に

実際に利用している方からは、どのような声が寄せられているのでしょうか。
「利用者の満足度は高いです」と、橋本さんは確かな手応えを感じています。

例えば、両親と同居し正社員で働く40代シングルマザーの利用者は、障害のある子ども、認知症の父、メンタルヘルスケアが必要な母と3人の介護者を抱えて、一時は離職も考えていました。高齢の母に対しては、娘と実母という近すぎる関係性から想いを素直に伝えられなかったり、心配しているからこそ語気が荒くなり傷つけてしまったりで、気持ちはすれ違うばかり。しかし、サービスを利用し第三者が介入することで、言葉のキャッチボールが円滑になりました。また、利用前は一日中無気力だった母も、不安や不満を訴える言動が減り、積極的に家事を行うように変化したそうです。利用者の女性からは「家族の関係性が良くなった。これなら仕事と両立できそう」と前向きな声が寄せられています。

「どうしたらいいのかわからない」と途方に暮れ、どこに相談すればいいのかわからないまま一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。介護する側が肉体的にも精神的にも疲弊し孤立してしまう前に手を差し伸べるこのようなサービスは、今後さらに多くの人から求められそうです。

利用者とも真剣に向き合います

もしもに備えて家族で話し合う機会を作ろう

現在、石巻市在住の橋本さんですが、ご自身の両親や妻の両親は茨城県で暮らしています。

「離れて暮らす親は、問題が起きても子どもに心配をかけたくないからと、遠慮して伝えない場合が多いです。実際、10年ほど前に父が脳卒中で倒れたときに僕には連絡がなく、帰省した際に知りました。同居していても生活のサイクルが違うと、ちょっとした変化に気づかない場合もあります」

「例えば、脳卒中の後遺症で、失語症になる方もいます。もし入院した場合の費用は誰が負担するのか、保険の手続きや延命治療など、親の考えを聞いておいたほうがいいですね。うちの親はまだ元気だから、と先延ばしにしがちですが、元気なうちじゃないと聞けないこともありますから」

コミュニケーション不足が、家族や親族間のトラブルに発展するケースもあります。もしもに備えて、まずは家族で話し合うことから始めてみてもいいかもしれません。

今は「訪問健康見守りサービス」を必要としている人へ、「どのように周知を図るかが大きな課題」と、橋本さんは言います。

「このサービスにすごく共感してくださる方もいますが、たとえばお嫁さんの立場だと提案しにくかったりしますよね。高齢者の小さな変化に対しては、どちらかというと女性のほうが察知しと感じています。高齢者が怪我や病気がきっかけで体力が落ちてきて、このままだともしかしたら?という段階で放っておくと、どんどん悪化していき、気付いたときには改善が難しい......というケースもあります。そうならないために、ぜひ利用していただきたいですね」

「運動すると体が痛くなるからやりたくない」という高齢者に、「筋肉痛になるのは、ちゃんと動かせている証拠です」と体のしくみを教えることもあります

一般社団法人りぷらす

住所:
宮城県石巻市相野谷字今泉前29-3

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