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防災とは「生き抜く力」-防災ガールが考える新しい防災

2017.11.06

一般社団法人防災ガール

「防災があたりまえの世の中をつくる」という信念のもと活動を行う、一般社団法人防災ガール。地震・大雨・台風など、災害が多い日本に暮らしているからこそ、「日常生活の中で防災を」と提唱。全国各地の若者100人以上がこの活動に参加し、「新たな防災」を模索しています(写真中央 田中 美咲さん、同左 中西 須瑞化さん、同右 筒木 愛美さん)。

防災をもっと身近に

防災ガールを立ち上げたのは、代表理事の田中美咲さんです。きっかけは東日本大震災でした。被災地域での活動を経て「同じことを繰り返したくない」という思いを機に、それまで全く関心のなかった防災について考えるようになります。
「周りの人たちと知り合ってお話をしていると、どうしても『防災=非常時』というイメージなんです。私もそうでした。でも、災害はいつ起こるかわかりません。もっと生活に根付いた形で防災を発信できないか...そう考えたのが、防災ガールの始まりでした」
そして2013年、「防災があたりまえになる」ことを目指し、防災ガールが誕生しました。それまでの「とっつきにくい」といった防災のイメージを覆すようなカジュアルな発信の仕方に、当初は「人の生死に関わることなのだから、もっと真面目な打ち出し方をすべきではないか」という批判もあったといいます。
「おしゃれさやカジュアルさ、それ自体が目的ではありません。あくまで目的は『防災を日常に組み込む』こと。そのために必要なのであれば、そうした発信の仕方もしていきます」
その想いは少しずつ人の心に届き、やがて予想以上の反響を呼びます。
「ある時から、私たちのアクションを、ニーズが上回り始めたんです。今までになかった、こういう形の防災が必要とされているのだということを肌で感じました」

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「防災ガール」を構成するのは20代〜30代が中心で、常時30人ほどが活動しています。半年ごとの更新制で、メンバー募集の際には全国から応募が集まります

ついつい読みたくなる防災コラム

立ち上げ当初から続いている取り組みが、「あたらしい防災を提案するwebメディア"bosai-girl.com"」の運営です。防災に関するさまざまな記事やコラムが掲載されています。
地震や津波に関する最新情報や、ハザードマップなども掲載されていますが、特徴的なのは毎日気軽に読むことのできる独自目線の記事。「もしもに備えるメイクグッズ」や「乾パンをスイーツにリメイク」など、これまでになかった切り口の防災コラムで、今や月間10万PVを誇ります。
メディア運営を担当しているのは、メンバーの筒木愛美さん。2013年の団体設立間もない時期に活動に参加し、4年間会社員として勤めるかたわら、防災ガールを続けてきました。
「メディア運営は、防災ガールがずっと続けてきた大切な活動です。記事の内容は、若者が読みたくなるような情報を意識しています。固い内容でも、切り口を変えるだけで興味を引くことができますから、いかにわかりやすく、『やってみよう』と思ってもらえるかということを意識しています」

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webメディアを中心に、SNSでも情報発信を行っています

オレンジは、津波防災の色

2016年にスタートした「#beORANGE(ハッシュビーオレンジ)」は、津波防災に関するプロジェクトです。誰もが知る「赤信号=止まれ」のように、「オレンジ=津波防災」という合図を広めています。共同事務局長の中西須瑞化さんにお話を伺いました。
「きっかけは何気ない会話でした。宮城の気仙沼に防波堤が出来ることになり、『海が遠くなってしまうのは、寂しい』とこぼしたサーファーの方がいたんです。もちろん、防波堤を否定しているわけではありません。ただ、東日本大震災であれほどの被害を受けながらも、『海が悪いわけじゃない』『海は宝だ』と話す人たちがたくさんいることを知り、海と共に生きていくための、何か別の方法がないかと考え始めました」
そこで生まれたのが、緊急時にオレンジ色のフラッグを掲げる「#beORANGE」です。オレンジ色のフラッグを見たら、早急に浜へ上がるようにと呼びかけています。また、高い建物に掲げることで避難場所を示す役目にも。
「海と末長く付き合っていくには、海の恐ろしさもきちんと知っておくことが大事」と中西さん。オレンジフラッグを活用した避難訓練や、オリジナルのミサンガ・裏面がオレンジフラッグになるラウンドタオルの制作など、オレンジフラッグを全国に広めています。
2017年10月20日(金)には、「#beORANGE」をさらに広める取り組みとして、#beORANGE SUMMIT2017が開催されました。津波防災対策の最前線で健闘する行政機関や自治体関係者、防災に取り組んでいる企業など様々な方が参加し、これまでの取り組みから各自治体の事例紹介、また集まった方々で今後のオレンジフラッグ拡大について考えるワークショップも開催されました。
詳細は下記のレポートをご覧ください。
http://fields.canpan.info/report/

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オレンジは青の対照色で、遠くからでもよく見えるとされています

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プロジェクトに賛同していることを示すミサンガ。非常時には紐をほどき、靴紐や止血帯として使えるほか、着火剤やホイッスルも備えています

生き抜く知恵の実験室

現在、田中さん、筒木さん、中西さんは、滋賀県長浜市の一軒家で共同生活を送っています。これも活動の一環で、「生き抜く知恵の実験室 WEEL」と名付けられたプロジェクトは、防災を暮らしに組み込んでいくための試みです。
「私たちは防災を日常と結びつけたいと思っているので、単発のイベントやワークショップだけではなく、暮らしの中に組み込むことはできないだろうか...とずっと模索していました」と田中さん。
そんな時に滋賀県長浜市から声がかかりました。長浜市は、夏は暑く冬は寒い、四季の変化がはっきりしている土地です。ここに暮らすことで、毎日の生活の中で防災をどう取り入れていくのかを実験するため、移住することを決めました。
「日本は昔から災害が多い国です。昔の人は、いろいろな工夫をして付き合ってきたんですよね。例えばタンスが横長だったり、ベッドも椅子もなかったりと、家具が倒れる心配がなかったんです。そうした知恵を再発見して、発信していきたいですね」

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食器棚を置く代わりに江戸時代の日本で使われていた箱型の収納具「箱膳」という知恵をアレンジして、落下した際にも破片が散らないようふろしきに包んでしまうようにしています

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防災ガールの3人が暮らす家。自分たちで縁側を作りました。近所の人たちと普段からコミュニケーションをとっておくことも防災の一環です

防災は「生き抜く力」

「本当は、もう『防災』という言葉はあまり使いたくないんです」と中西さん。「『防災』という言葉には、従来のイメージが固まってしまっているような気がして。例えば堅苦しかったり、大変そうだったり、あるいは『防災=避難訓練』のようなテンプレートが日本人の脳内にはできあがっている。私たちが発信していきたいのはそういうことではないんです」
防災ガールのみなさんは、「防災=生き抜く力」だと考えています。
「避難訓練や防災バッグを準備したから安心というわけではありません。家に食料を備蓄していたとしても、外出している時に災害が起こったら?...そういう時に自分で考えて、状況判断をして、生き抜く力。それが『防災』だと思います。普段から防災に触れておくことで、『運が良かった』ではなく、自分の力で生き抜ける人を1人でも増やしたい。そのために、私たちの考える防災をこれからも伝え続けます」


一番大切なのは、暮らしの中に防災を組み込むこと。「何から始めればいいんだろう?」と思った方は、まずは防災ガールの活動を知るところから始めてみてはいかがでしょうか。

一般社団法人防災ガール

※防災ガールは2020年3月11日に解散いたしました。

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https://www.facebook.com/bosaigirl

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