新たなシンボル、椿と共に歩む復興への道
2014.02.14
大船渡インターホテル椿
三陸縦貫自動車道大船渡ICから北へ車で5分、国道45号線沿いの高台にあるのは2013年9月1日にオープンした「大船渡インターホテル椿」です。 生まれ変わった「大船渡インターホテル椿」は館内施設にはライブラリーコナーやギャラリーコーナーなどを設け、観光だけでなくビジネスシーンを支えるための新たな挑戦を始めています。
再建に向けて深まった地元の絆
震災当時、旅館「海風苑」の隣にあった6階建てのスーパーマーケットへ避難した佐々木さんは2階建ての海風苑が流れていくのを自分の目で見ていたそうです。「まるでおもちゃの家が浮いているような光景でした」と振り返ります。
震災により旅館「海風苑」を失った代表の佐々木さんは「海風苑」の復活は考えてはおらず、3階が無事だった姉妹館の「ホテル福富」を復旧し営業することに専念したそうです。
大船渡市の宿泊施設の半数近くが営業できなくなったこともあり、震災の復興支援に来る方々の「泊まりたくてもなかなか泊まる施設がない」という言葉が聞かれるようになりました。また、地元の観光を盛り上げていくコンセプトで集まった「恋しケセン観光産業復旧・復興プロジェクトグループ」の勉強会において、震災を機にこれからの気仙や三陸をどういう形で復興していけばいいのか真剣に取組んだことで意識が変わり、「これなら復興できる」と思ったのが再建の後押しとなったようです。
震災復興を通して深まった絆と多くの支援が形となり、ついに「海風苑」は「大船渡インターホテル椿」として復活することができたのです。
旅館からホテルへの転身
場所を海から離れた場所へ移し、「海風苑」の落ち着いた雰囲気とおもてなしを踏襲しつつ、シックなディープグレーの外装に大船渡市の象徴にもなっている赤い椿のマークを掲げシャープな外観となっています。営業スタイルを旅館からホテルへとシフトした背景には岩手県沿岸部の宿泊施設の多くが集団部屋、浴場共用の旅館施設となっており、若い女性や一人で宿泊したい方が利用にくいといった事情があったようです。実際バストイレ付きのシングル部屋はオープン以来、特に女性客から好評を得ているそうです。
新たに誕生したホテル椿は34部屋中24部屋がシングルルーム、10部屋が家族向けの各種和洋大部屋となっており、あらゆる客層に対応できるようにバランス考えられた設計となっています。
また館内には三陸の絵画や三陸の歴史、料理の本といった三陸の文化に触れることのできる図書スペースもあり、地元の観光を盛り上げていくというプロジェクトに参加した佐々木さんならではのアプローチと言えるでしょう。
今後は従来の海の幸を使った料理に加え、ホテル椿の名前にちなんだ椿オイルを使用した料理の提供にもチャレンジしたいとのことです。
「三陸のやさしいおもてなしでゆっくりくつろいで頂き、また三陸に訪れたいと思ってもらえるように精いっぱい頑張っていきたい」と佐々木さんは語ってくれました。
泊まれる大船渡へのイメージチェンジ
震災以降、県外から訪れる人たちに根付いてしまった「大船渡=泊まる場所がない」というイメージをなんとか払拭したいと話す佐々木さんの思いとは裏腹に、実際にはまだまだ「泊まれない」イメージが強く厳しい状況にあるようです。
ホテル椿は8月から予約を受けつけ始め、オープンにはすでに2か月先まで予約で埋まるという、うれしい滑り出しのようでしたが、その反面「宿泊予約が取れない」と、今後の課題を残す結果になったようです。
このことから佐々木さんは、連絡をいただければ同業者間との連携をすることによって大船渡市内の宿泊施設の紹介をすることも可能とのことです。「これから大船渡の宿泊施設が数件オープンする予定があり、宿泊施設が増えればこの状況もなんとか緩和されるだろう」とも話してくれました。
多くの方に大船渡へ観光に来て宿泊していただき、その情報を発信していくことが「泊まれる大船渡」のイメージチェンジにつながるのではないでしょうか?大船渡に泊まれないと思う前にまず、「ホテル椿」にご連絡してみてはいかがでしょうか?
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