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小高区とともにゼロから酒づくりを
haccoba -Craft Sake Brewery-

2022.12.08

haccoba -Craft Sake Brewery-

福島県南相馬市小高区に移住し、酒蔵「haccoba -Craft Sake Brewery-」を立ち上げた佐藤太亮さん。佐藤さんは日本酒づくりをゼロから学び、「クラフトサケ」という新ジャンルのお酒をつくっています。「小高区の人がつながりを取り戻す場所になれたらうれしいです」。そう語る佐藤さんにお話を伺いました。

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ショップとパブを併設した醸造所、haccoba

福島県南相馬市小高区で20212月にオープンした酒蔵「haccoba -Craft Sake Brewery-」。築50年の民家を改築し醸造所を設置しました。また、店内にはテーブル席があり、haccobaがつくるお酒と食事を楽しむことができます。気に入ったお酒はその場で購入することも可能です。ショップとパブを併設した醸造所、haccobaは、地元の人々がお酒を通してコミュニケーションを深めることができる憩いの場になっています。

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食事を楽しみながら、ガラス越しに醸造所の様子を見ることができます

自由にアレンジできる「クラフトサケ」

haccobaがつくるお酒は「クラフトサケ」という新ジャンルのお酒です。「酒づくりをもっと自由に」という思いのもと、ジャンルの垣根を超えて、日本酒にクラフトビールの製法をかけ合わせたお酒をメインで展開しています。日本酒は米・水・米麹からつくられますが、haccobaの「クラフトサケ」はそれらに加え、ビールの原料であるホップなどを加えてお酒をつくっています。haccobaでは年間10種類ほど新作をリリースしており、ホップの苦みと爽やかな香りを生かしたお酒は大人気で、オンラインストアでは発売から1時間で完売してしまう商品もあるそう。

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ビールの原料ホップ

一時人口がゼロになった小高区で酒づくりを

佐藤さんが日本酒に興味を持ったのは大学時代。初めて日本酒のおいしさに魅了されたのはアルバイト先の個人居酒屋です。「そこでまず飲み手として日本酒のおいしさに惚れました」と話す佐藤さん。そして大学4年生の頃、発酵文化の盛んな石川県で町おこしを行う会社にインターン。地元のキーマンである酒蔵の人々と交流を持ち、話を聞いたり酒蔵を見せてもらったりするうちに、いつしか自分もつくり手にまわりたいという夢を抱くようになりました。

卒業後は一般企業に勤めるも、夢を忘れられず、2019年にそれまで勤めていた会社を辞め、日本酒づくりをゼロから学び自分の酒蔵を立ち上げることに。

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自分の酒蔵を立ち上げた方に積極的に話を聞きに行くうちに、「自分もできるかもしれない!」と可能性に気づけたと言います

日本のどこで酒蔵を開こうかと考えていたその時、福島県南相馬市小高区でゼロからの町づくりに取り組んでいる、株式会社小高ワーカーズベースの和田さんの存在を知りました。小高区は原発事故の影響で2011年から2016年の間、人が住めなくなっていた地域。和田さんはそこで無人になった町を再び盛り上げようと、2014年から「地域の100の課題から100のビジネスを創出する」というスローガンを掲げ、スーパーや食堂など暮らしに欠かせないお店を立ち上げ、小高区にやってきた起業家たちへの創業支援などを行っていました。

そんな和田さんの取り組みと小高区の存在に、佐藤さんは自分を重ね合わせました。「ゼロから町づくりに取り組んでいる小高区が、これから酒づくりに挑戦する自分にぴったりな町だと感じました」。

佐藤さんが小高区を選んだ理由はそれだけではありません。「実は私の誕生日が311日なんです。震災が起きた当時は高校を卒業した頃。それから東北のことや原発事故が起きた福島のことがどこか心の片隅にありました」。日本酒の夢とこれまでの思いが重なり、佐藤さんは2020年に小高区に移住することを決意。そして20212月に自分の酒蔵、haccobaを立ち上げました。

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小高区に移住する1年前の2019年、新潟県の阿部酒造に弟子入りし、1年間で日本酒づくりの全工程を学びました。写真は酒蔵で修行に励む佐藤さん

自由な酒づくりを楽しむ

「未経験者が参入するからには、すでに確立されている日本酒ではなく、新しい「クラフトサケ」というジャンルを立ち上げ、日本酒業界を盛り上げたい」と語る佐藤さん。

日本酒が米・水・米麹からつくられるのに対し、「クラフトサケ」はそれに加え、スパイスやホップなどの副原料を加えてつくられています。

haccobaの定番商品である「はなうたホップス」は、東北に伝わる幻のどぶろく製法「花酛(はなもと)」をベースに、ビールの原料ホップを副原料に使用している「クラフトサケ」です。ビールの製法もかけ合わせてつくられているため、ビールのような苦味と爽やかな香りを楽しむことができます。

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「副原料を入れることができる「クラフトサケ」というジャンルは、色々な副原料を試してお酒をつくることができるので、つくっていてとても楽しいです」と語る佐藤さん

ほかにもワインの搾りかすや、カカオハスクなど、ジャンルにこだわらずさまざまな副原料を組み合わせ、自由な酒づくりを楽しんでいます。「さまざまな副原料を使ってお酒をつくるので、どんなお酒ができるかは完成するまでわかりません。手探り状態の中やっと完成させても、お酒は一度飲んでしまえばそれで終わりです。でも、そんな儚いところに「クラフトサケ」の美しさを感じます」と佐藤さんは語ります。

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定番商品の「はなうたホップス」。完成したお酒はhaccobaのメンバー全員で案を出し合って名前をつけます。
「はなうたホップス」のラベルは、haccobaのロゴも手がけたグラフィックデザイナー、齋藤智仁さんによるデザイン。
2022年9月には「はなうたホップス」が、アジアを対象とした優れたパッケージデザインにおくられる「Topawards Asia」を受賞しました

haccoba3.jpg酒づくりとは関わりがない企業やアーティストなどのコラボレーションも。
2021年から19種類の「クラフトサケ」をつくり出してきました。
写真にうつっているのはhaccoba内に展示された18種類のお酒です

haccobaを通して人のつながりを取り戻す

haccobaは醸造所・ショップ・パブなど、さまざまな役割を担う場所です。
「酒をただ販売するだけではなく、haccobaを通して人とのつながりを取り戻したいと思っています。僕たちの酒蔵が、小高区の地域の方々のコミュニケーションの場になったらうれしい」と話す佐藤さん。
現在、浪江町に酒蔵をもう一軒出すことを計画中。またクラフトサケの文化を海外にも広めていきたいと、ベルギーにも酒蔵をオープンする予定だそう。

「小高区は震災や原発事故というイメージがいまだ強いエリアですが、僕たちも含め、未来に向かって、新しいことにワクワクしながら取り組んでいる人たちがたくさんいることをぜひ知ってもらいたいです」と佐藤さんは語ります。

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「つくり手が増えなければ日本の酒づくりの文化は衰退してしまいます。ただ飲むだけではなく、酒づくりの楽しさを知る人を増やしていきたいです」。
「クラフトサケ」をやってみたいと思う人へ、自身の知見を共有していきたいと語る佐藤さん。
2022年10月からは新たなメンバーとともに酒づくりに取り組んでいます

2022.12.08

日本酒にクラフトビールの製法をかけ合わせた
haccobaの「クラフトサケ」

haccoba -Craft Sake Brewery-

haccoba -Craft Sake Brewery-

〒979-2112 福島県南相馬市小高区田町2丁目50−6

HP・オンラインストア
https://haccoba.com/
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