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【2020年3月末閉業】町に戻った人も戻れない人も 誰もが集える場所、浪江町の「あおた荘」

2018.08.10

あおた荘

2017年3月に、帰還困難区域を除く避難指示が解除された福島県双葉郡浪江町(なみえまち)に、町に戻って暮らす人と、暮らせないけれど一時的に町に戻ってくる人とが、ともに集える場をつくるため、ゲストハウスをつくろうという若者たちがいます。 (写真:管理人の和泉 亘(いずみ・わたる)さんと副管理人・小林奈保子(なおこ)さん 写真:森亮太)

町に戻る人、戻れない人がいる 
どちらの人も集える場所を作りたい

福島県双葉郡浪江町(なみえまち)は、2011年3月の東日本大震災と原発事故で、全町民21,434人(2011年3月11日現在の住民登録人口)が町外に避難を余儀なくされました。それから6年後の2017年3月に、帰還困難区域を除く避難指示が解除され、現在は805人が浪江町に暮らしています。(2018年7月末現在)

浪江町は、震災前は面積・人口とも双葉郡で一番大きく、経済の中心地でした。今、そんな浪江町に、ゲストハウスをつくろうという若者たちがいます。

管理人の和泉 亘(いずみ・わたる)さん(26)は、2017年秋に浪江町に移住してきました。 前職は、福島市に避難している浪江町の人たちのサポートをする、いわゆる復興支援業務に従事。仕事で浪江町の人たちと多くかかわり、浪江町の現状を知ります。

笑顔でインタビューに答える和泉さん(写真:森亮太)

2017年3月に避難指示が解除されるが、戻るのはわずかな人数であろうということ、避難先で生活再建をしているなどの理由で、浪江町に戻れない町民が多くいることを知った和泉さんは、町に戻って暮らす人と、暮らせないけれど一時的に町に戻ってくる人とが、ともに集える場をつくるため、自分が浪江町に移住しようと考えました。

住まい探しは難航しましたが、避難解除から半年がたった頃、浪江町役場や地元の行政区長さん の協力で、元下宿だった一戸建てを借りることができました。和泉さんは、暮らしながらゲストハウスの運営を進めていくことを決めます。

あおた荘外観(写真:森亮太)

動ける若者は2人だけ!? 「若い」というだけで価値がある浪江町

あおた荘は、和泉さんともう一人、副管理人・小林奈保子(なおこ)さん(31)とで運営しています。2人で運営することになった経緯を聞くと小林さんは、「正直、動ける若い人が私たち2人しかいなかったので、自然とそうなっちゃったんですよ」と笑いながら教えてくれました。

今、浪江町に暮らしている人は、役場職員をのぞくとほとんどが65歳以上の方なのだそうです。「そんな状況だから、ただ若い、というだけですごい価値があるんです」と小林さん。小林さんは、役場職員の旦那さんと一緒に、2017年3月の避難解除後いち早く浪江町で暮らし始めました。震災後、人口がゼロになった町に暮らす中で、実感したことだと言います。和泉さんも、若いからこそ自分が大いに役に立つことを自覚しています。

小林さんは、「復興の形もだんだん変わってきて、今はもう支援ではなくて、住民としてどのように町にかかわっていけるかを考えています」と話します。小林さんも和泉さんと同じく、前職では復興支援業務に関わっていました。今は2人とも「支援者」から「生活者」となり、暮らしながら町にかかわっています。それがとても自然なのだそうです。

地方ならではの人間関係や移住に対するハードルも、今の町の人口では全員が協力していくしかない状態なので全くないと言います。むしろたくさんつくった野菜をもらうなど、都心にはないようなご近所付き合いができていて、とても楽しいと和泉さん。確かに、あおた荘の冷蔵庫にはたくさんの野菜と魚が詰まっていました。

和泉さんと小林さん。屈託のない笑顔が印象的でした

みんなでつくれば愛着がわく 大掃除もイベント化

今では多くの人を受け入れているあおた荘ですが、2017年秋に借りた当初は、6年間誰も住んでいなかったため、そのままでは滞在すらできない状態でした。動物の糞尿や、カビやほこりによる汚れ、臭いなど、2人ではとても対応できません。
2回の大掃除をイベント化し、仲間やボランティアを募ったところ、各日15人~20人が参加。障子の貼り替えでは、町の職人さんが直接指導してくれるなど、運用を始める前から大いに盛り上がったそうです。

また、あおた荘の修繕やイベント費用の調達には、クラウドファンディングを利用しました。事前の大掃除での関係づくりや2人のまめな情報発信が功を奏し、なんと5日で目標の80万円を達成。最終的には倍の160万円以上の資金が集まりました。小林さんはクラウドファンディングに挑戦するにあたり、ほとんどは知り合いの協力になるだろうと考えていたそうです。いざ始まってみると、全く知らない、浪江町出身や縁がある方から多く協力をいただけたそうで、様々な方からあたたかい応援をいただき、驚いたしうれしかったと笑顔を見せました。

あおた荘で飼っている「そうちゃん」も、訪れる人を出迎えてくれます

浪江町に来たら、誰でも寄ってほしい

あおた荘では、浪江町に戻ってきた人たちによるヨガなどのイベントや、定期的に通ってくる大学生との交流会、音楽イベントなど、多様なイベントが開催されています。
また、初めて浪江町を訪れる人たちには、和泉さん・小林さんが町のガイドも務めます。

和泉さんはあおた荘を、実際に浪江町で暮らしている人たちはもちろん、暮らしていなくても、お墓参りや知人に会いに来る人たち、視察やイベントで訪れる人など、誰もが気軽に立ち寄れる場所にしていきたいと話します。

「浪江町民の皆さん、また浪江町に興味を持ってくださった方が、一人でも多く実際に今の浪江町を訪れてほしいと思います。あおた荘がそのきっかけになればうれしいです」。

8畳二間の和室が、イベント会場に

あおた荘

〒979-1521 福島県双葉郡浪江町権現堂御殿南18-8

HP
https://aotasou.mystrikingly.com/

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