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シドニーでのホームステイを通じて、東北の未来を担う子どもたちの夢の手助けを

2017.08.08

JCS レインボープロジェクト

オーストラリア・シドニー日本クラブ傘下の団体です。東北の子どもたちを、夏休みにシドニーへ短期滞在させる活動を行っています。単なる旅行ではなく、子どもたちの夢を叶えるステップになるよう、事前の作文選考をもとに1人ずつ異なるプログラムを準備するなど、「教育」をテーマにした活動が特長です。

被災した子どもたちの心をシドニーで癒したい

オーストラリアの南東部に位置するシドニーは、国内最大の人口を有し、南半球を代表する都市です。オーストラリアの日本人居住者の数は、アメリカ、中国に次いで第3位と多く、東日本大震災が起こった時にも、シドニーにはたくさんの日本人が暮らしていました。テレビが映し出すあまりにショッキングな映像に、皆言葉を失ったといいます。由紀子ソーズベリーさんもその1人でした。シドニーの美しい海を見ているうちに、涙が止まらなくなってしまったのです。「とにかく、何かしなくてはいけない」--その一心で、子どもが通う日本人学校の保護者たちを中心に立ち上げたのが、JCSレインボープロジェクトです。復興支援イベントで寄付金を募り、被災児童をシドニーに招く活動を行っています。

「震災直後は、地元の人が次々に日本人学校を訪れて、義援金を手渡ししてくれたそうです」と話すのは、このプロジェクトを日本から支える岩附マリさんです。岩附さんもシドニーに住んでいたことがあり、同じ学校の保護者たちと縁があったこと、そして岩附さんのご両親が福島県出身だったこともあり、このプロジェクトに参加しました。シドニーと東京という大きな距離がありましたが、SNSを通じて密に話し合いを重ね、プロジェクトを形にしてきたといいます。

「私たちは皆子どもがいます。大人でさえ大きなショックを受けているのに、子どもたちはどれほど怖かっただろうか...といつも話していました。そして、少しの間でも不安や心配を忘れてほしいという想いから、シドニーへ子どもを連れて行くことはできないか、と考えました」

こうしてレインボープロジェクトは、震災間もない2011年5月に始まりました。contents_image1.jpg

お話を伺った岩附マリさん。「両親が福島県の出身なので、東北のために少しでも何かできれば、という想いはずっと胸の中にあります」

心からの笑顔を見せた子どもたち

プロジェクトが始まったのは5月。8月の渡航を目指して、プロジェクトは慌ただしく動き出しました。シドニーではチャリティーイベントを開催し、コツコツ寄付金を集めます。同時に、日本では子どもを募るべく、福島県の学校に呼びかけを行っていました。

「まだ何も実績がない私たちに、大切なお子さんを預けてくれるだろうか...」活動しながらも、スタッフたちはそんな不安を抱えていました。しかし、「子どもたちに元気を取り戻してほしい」という保護者の想いは思った以上に強かったようで、次々と申し込みが届きます。寄付金が追いつかず、渡航費全額は 1人分しか捻出できなかったものの、「自費でもかまわない」という声さえ上がりました。そして、初年度は10人の子どもたちがシドニーへ飛び立ちました。

1週間ほどの滞在期間中は、夫婦のうち一人が日本人の家にホームステイをします。言葉もなかなか通じない土地で、子どもたちはこの滞在を本当に楽しんでくれるのか...。スタッフたちはハラハラしながら見守っていました。

「でも、子どもたちが到着すると、そんな心配はいっぺんに吹き飛びました。海に飛び込んでいったり、現地の料理をどんどん食べてくれたりと、心から楽しんでくれているのが伝わってきたんです。子どもたちが笑顔で過ごしている姿に、スタッフたちのほうが元気をもらった気がしました。原発の問題があったので、福島の子どもたちは外出や食べものを制限されていました。ましてや海に入ることなんて絶対にできない時期です。シドニーに来て、何も我慢しなくていい環境が本当にうれしかったんだと思います」contents_image2.jpg

子どもたちの心からの笑顔に、スタッフも励まされました

「保養」から「教育」へと変わったテーマ

プロジェクトが行うシドニーでのホームステイは毎夏の恒例となりました。ただ、次第にテーマが変わってきたといいます。とにかく子どもたちの「保養」をと始めたプロジェクトでしたが、年数を重ねるにつれ、「教育」を意識するようになりました。

「教育関連の仕事に携わっていたメンバーが多いということもありますが、『より子どもたちのためになるツアーにするには?』と考え続けた結果です。いつまでも単なる『保養』だけではいけないのではないか、と」

子どもを募集する際の作文選考に力を入れているのも、「教育」がテーマだからです。また、目的意識を持ってステイしてもらうために、参加する子どもは事前に「何を学びたいか」などのワークシートに記入。帰国後は、その目的を果たすことができたのかどうかを再び記入することになっています。シドニーでの過ごし方も、芸術家のワークショップの参加、現地企業や州政府教育大臣との交流会やランチと、かなり充実したものになってきました。

「もう震災から5年以上経ちます。子どもたちをいつまでも『被災者』として扱うのではなく、1人の人間として見つめて、自分の足で歩いていけるようにサポートしていくのが私たちの役目だと思っています」contents_image3.jpg

現地校との交流会はプログラムの定番です。完璧な英語でなくても、子どもたちは身振り手振りも交えてどうにかコミュニケーションを取ろうとします

東北の未来を創るのは、子どもたち

「プログラムに参加し、向こうで出会った日本料理研究家の影響で料理人を目指すようになった子がいます。その子は夢を叶えて、今ではシドニーで暮らしているんですよ。後輩たちの前で講演までしてくれました。このプロジェクトが、そんなふうに夢を見つけて追いかけるきっかけになればと願っています」

この夏も、3人の子どもたちがシドニーを訪れます。事前に書いてもらった作文には、三者三様の夢が描かれていました。プロジェクトメンバーは、それぞれの夢に近づくようにと祈りながら、準備を進めているところです。

「東北は、これからずっと復興を続けていかなければいけません。それを担うのは子どもたちです。東北のため、ひいては日本のために貢献できる世代を育てることが、私たちの使命だと考えています」

シドニーと日本との想いを受け取った子どもたち。彼らが東北、日本、そして世界で活躍する日は、遠くないのかもしれません。

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福島県南相馬市で「サムライフェス」を開催している高校生たちを支援するプロジェクトも行っています。少しずつ、志を同じくする仲間が増えてきました

JCS レインボープロジェクト

シドニー日本クラブ(Japan Club of Sydney)

HP
https://www.japanclubofsydney.org/

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