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沿岸部の良さを内陸で広めていきたい!

2014.05.11

陸前高田 俺っ家
新鮮な三陸の海の幸を味わえる店として、陸前高田で24年間、地元の方に愛されてきた居酒屋「俺っ家」。2011年3月の震災で、店主の熊谷さんは店舗と自宅を失いましたが、2011年6月に盛岡で「陸前高田 俺っ家」としてお店を再開。陸前高田の店舗の雰囲気が思い出される店内で、広田湾の牡蠣や陸前高田の酒蔵「酔仙酒造」のお酒が楽しめます。

創業27年。盛岡でなじみ客を迎える雰囲気作り

なじみの古いお客さんも続々と足を運ぶ「陸前高田 俺っ家」。
陸前高田に店舗を構えていたころの雰囲気はそのまま「おごご(漬物)」「さすみ(刺身)」といった方言がメニューに並び、一歩店に入ると陸前高田の店舗を知っている方は、そのころにタイムスリップ。
陸前高田の市役所裏にあった店舗も、海の近くの自宅も全部流されて、いつも来てくれていたお客さんも多くの方が犠牲になった。熊谷さん自身は、震災当日は息子さんの引っ越しのために宇都宮にいたため、津波の被害から免れた。
「いち早く誰かが立ち上がって、みんなを元気付ける場所を作らなければいけない」と考えた熊谷さんは、岩手の中心である盛岡に「陸前高田」という名前を冠した「ここに来ればいつでも知り合いに会えるよ」という場所を作ろうと動き出した。
「陸前高田を離れてしまったという後悔もあります。でも誰かが声をあげて、風化させないようにしていくことが大切。地元でも、岩手の中心地でも、声をあげて続けていくことが大事だと思っています。(熊谷氏)」
なんとかこぎつけた、盛岡での再オープン。今の店舗は、市街を探し回った後で、前日までお店がオープンしていた場所に貸店舗という看板が出ていて「縁があったというか、導かれたのかなと思った。ここは陸前高田にあった大町という通りに雰囲気がよく似ていたので、この場所に決めた(熊谷氏)」。不動産屋の話では、貸店舗の看板を出したのは30分前のことでまさに「導かれた」のかもしれない。

お客さんのなかには、応援したいという気持ちで来て下さる方もいれば、美味しいから来たという方もいる。味のレベルは落とさないように、期待に応えられるように、そして、陸前高田の名を汚さないように、熊谷さんは日々、店に立っています。

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店主の熊谷浩昭さん。カウンター上のネタケースも陸前高田での店の雰囲気をそのまま残している

こだわりの仕入れで並ぶ、三陸の新鮮な海の幸

「新鮮な海産物が食べたい」といって来て下さる方の期待に応えられるよう尽力している。以前から水揚げされたばかりの生きている海産物しか扱わないお店でしたが、そのこだわりは今も同じ。
盛岡で再開した頃は、三陸のものはゼロに近い状況であったが、今では毎日、大船渡から水揚げされた海産物を仕入れていて、広田湾の牡蠣やホタテも毎日届くようになり、盛岡中央市場では三陸沿岸一帯の新鮮な海産物も入ってくる。
「基本的に大衆酒場として営業しているので、安くて美味しいものをたくさん食べてもらいたいです。メニューは食べものだけで常時100品くらいはあります。三陸は、四季を通して美味しいものがそろっているので作りがいがあります。おすすめは、やっぱり広田湾の牡蠣ですね。めかぶと一緒に炊く「浜焼き」という漁師料理も人気です(熊谷氏」)」
お酒は2012年の8月に復活した陸前高田の地元の味である酔仙酒造のお酒をメインに提供している。
「私は酔仙酒造で、「多賀多」という名前の特別な純米酒を地域のみんなと一緒に作っていました。震災後しばらく作れませんでしたが、2014年3月に復活して、ようやく提供することができます。2013年に田植えをして、稲刈りが終わって、仕込みをして、ようやく絞りの段階です。震災の5~6年前から、私も田植えや稲刈りに参加して作ったこだわりのお酒です。それがようやく復活するということで、感慨もひとしおです。このお酒を内陸の人たちに広めていくこと、これも私の役割の一つと思っています(熊谷氏)」
もっきりで酔仙を飲んで、広田湾の牡蠣を味わって、沿岸部の美味しい海産物や料理を楽しむ盛岡の夜はいかがでしょうか。

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「陸前高田」と書かれた看板が目印の「俺っ家」

これからのこと。そして、三陸応援のために企画した音楽イベントを開催

「またいつか、高田に戻ってくるの?」という質問に熊谷さんは「いずれ陸前高田に帰るということは間違いないけれど、まだ盛岡でやり残したことがある」と考えている。
やり残したことは「沿岸にはこんなによいものがある」ということを内陸の方に知ってもらうこと。そして、自分のなかで「これで良し」と思えたときに陸前高田に帰ろうと考えている。
「陸前高田の自宅は、集団移転で来年には建つ予定だが、いつか陸前高田に帰った時には「俺っ家」だけをやるのではなく、みんながよい形になれるようなことをしていきたい。盛岡で得たことは陸前高田に帰った時にもフィードバックしなければ意味がない。陸前高田の人たちのために、みんなで利用できるような施設など何かそういうものを作りたいという思いを抱きながら模索している。(熊谷氏)」

そのような思いもあって、2014年5月18日(日曜日)には、熊谷さんが実行委員長を務める、三陸沿岸音楽応援イベント「おやじのソゴヂガラ~おらだず、おだず、おやず~」が開催される。
「おだず」とは「ふざける」という方言で、今回は陸前高田から久慈まで、沿岸部のおやじバンドを盛岡の県民会館に招いて、みんなで盛り上がるイベントを開催する。
「内陸と沿岸部がタッグを組んで、岩手県が一つになって進んでいく気運を盛り上げたい。そして、みんなで沿岸部を応援していこう!というイベントにしていきたい。これは、絶対にやらなくちゃならないイベントで、自分が盛岡に出てきた役割の一つがこのイベントだと思っています。沿岸部の人たちもようやく「やるぞ!」という気持ちになり、あきらめかけていた気持ちが、「さあ、もう一回」と動き出してきた。その集大成のようなイベントを、この盛岡の中心地で実現したい。(熊谷氏)」

音楽の力を信じる「おやじのソゴヂガラ」をぜひ体感しに出かけてみてくださいね!

本取材はカシオペアFMと共同取材。
http://779.jp/sanriku_reports/2690/

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1階はカウンターを含めて20席ほど。2階は宴会にも利用できる部屋も含め最大40人まで対応

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奥様のほか、盛岡のスタッフ3名と陸前高田から通うスタッフ1名で運営している

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三陸沿岸音楽応援イベント「おやじのソゴヂガラ~おらだず、おだず、おやず~」

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