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南相馬市をロボットのまちに― 
「福島ロボットテストフィールド」

2021.06.28

福島ロボットテストフィールド

「福島ロボットテストフィールド」は、陸・海・空のフィールドロボットの性能評価や操縦訓練を行うことができる、一大開発実証拠点です。2018年から部分的に利用を開始し、2020年3月に全面開所しました。南相馬市復興工業団地内に設けられた、東西約1,000m・南北約500mの広大な敷地に、インフラや土砂崩落などの災害現場、プラントなど、実際にフィールドロボットが使用される環境を詳細に再現した施設を配置しています。ドコモの5G基地局が設置されているエリアでは、鮮明な画像の伝送を高速で実現。様々なロボット使用のニーズに応えています。

浜通りに新しい産業基盤を

福島県の太平洋沿岸部(浜通り)は、東日本大震災による津波被害、原発事故の影響で甚大な被害を被った地域です。新たな基盤を構築し、大きくダメージを受けた産業を回復させるために、は「福島イノベーション・コースト構想」というプロジェクトを立ち上げました。柱の一つとなったロボット・ドローンの分野での一大拠点となるのが「福島ロボットテストフィールド」(以下RTF)です。

「以前の産業を回復させるだけではなく、何か新しいことに取り組もうというのがイノベーション・コースト構想の考え方です。ドローンを始めとするフィールドロボットの分野は、今後さらに企業の参入や開発が活発になると考えられています。南相馬の広大な土地を使った世界規模のテストフィールドは大きな注目を集めています」

そう語るのは、お話を伺ったRTFの本宮さん。開所をきっかけとしてロボット関連の企業が南相馬に集まり、新たな雇用が生まれたり、地元の製造業が再び活発になることを期待していると話します。robot_03.jpg

お話を伺った事業部長の本宮幸治さん

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企業等が入居できる研究室を備える研究棟。加工室や各種測定室、試験室、機器分析室なども備えています。


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研究棟前の芝を刈っていたロボット。見るからに速そうなフォルムですが、ゆっくり、安全に動いていました。
12時間刈り、充電がなくなると自ら充電器に戻るそうです。

陸・海・空のフィールドロボットを一度にテストできる

RTFには、研究棟がある開発基盤エリアのほかに、無人航空機エリア、水中・水上ロボットエリア、インフラ点検・災害対応エリアが設けられています。robot_02.JPG

無人航空機エリアは、無人航空機(ドローン)の実証実験や操縦訓練を行うためのエリアです。ドローン向けの500mの滑走路があるほか、ヘリポートも完備。150m×80m、高さ15mの緩衝用ネットで覆われた飛行場もあります。

「ドローンのテスト飛行には航空法の規制があり、許可が必要な場所も多いですが、RTFの緩衝ネット付の飛行場は航空法適用外。許可を取る必要がありません」と本宮さん。フィールド全体が市街地に隣接していないため、不時着や落下などの可能性がある開発段階のロボット試験も安心して行えると言います。

また、水中・水上ロボットエリアは、ロボットによる水中のインフラ点検や災害対応の実証試験のために整備された試験場です。情報収集や調査、捜索・救助などを行うロボットの試験が可能です。

インフラ点検・災害対応エリアには、橋やトンネル、プラントなど、実際のインフラに限りなく近い設備が設けられています。コンクリートのひび割れや剥離、ボルトの緩みや亀裂などのほか、点検時に障害となる防護柵や照明柱も設けられています。また、このエリアにはドコモの5G基地局が設置されており、鮮明な画像送信を高速で実現しています。例えば、ゴーグルを装着し、映し出された測量データや、老朽化したインフラの状態を鮮明に、瞬時に本部に送信するなどの使用が可能になっています。

フィールド全体に渡り、こうした実環境に近い施設が実現したのは、様々な分野の専門家の意見を徹底的にヒアリングし、話し合ったからだと本宮さんは語ります。

RTFができることが決まってから、一番エネルギーを要したのが実際にどんな施設が必要なのかを把握することだったと思います。いくら最新の施設があっても、実際に使いやすいものでなければ意味がありません。ヒアリングのための組織を作り、調査し、検討するということを繰り返しました」
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緩衝ネット付飛行場は航空法適用外となるので、夜間飛行などの特殊な飛行も許可なく行うことができます。


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風速20m/sまでの風を起こす装置。
ドローンの飛行耐風性能などをテストできます。


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水中・水上ロボットエリアに再現された水没市街地。
1階部分が浸水した建物と冠水した建物があります。
ロボットによる調査のほか、消防訓練や救助訓練にも使用されています。


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長さ50mの試験用トンネル。
高速道路や一般道の照明やジェットファンなどが設置されています。
内部に土砂や瓦礫などの障害物を自由に設置することができます。


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鋼・コンクリート製の4種類の形状の橋梁。
老朽化の点検対象となるひび割れや剥離なども再現されています。


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試験用プラント。
様々な形状の配管やバルブ、ダクト、階段などが設置されています。


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住宅やビル、信号付きの交差点がある市街地を再現。
車両や瓦礫などを置き、障害物の除去や人員の捜索・救助を行うロボットの試験が行えます。

プログラミング教室などで次世代の人材を育成

RTFは、ロボット産業に携わる次世代の人材育成にも取り組んでいます。現在、小学校ではプログラミング教育が必修になっていますが、子どもたちがロボットに触れる機会を増やし、ロボットにもっと興味を持ってもらうためにプログラミング教室を定期的に開催しています。

「子どもたちが喜んでくれているのはもちろんですが、実は一番喜んでいるのは先生たちなんです」と本宮さん。先生たちがプログラミングの専門知識を身につける機会が多くないため、学習の場になっていることが大変助かると言われているそうです。robot_13.jpg

小中学生がプログラミング教室で使用するロボット「メカトロウィーゴ」。
プログラミングすることでロボットを座らせたり、歩かせたりできます。

交流を促進し、新たなイノベーションを起こす場所に

「ロボット産業の様々な開発事業者が集い、地元企業はもちろん、住民や子どもたちと交流し、それによって新しいイノベーションが生まれる。それが我々が思い描く南相馬の未来の姿です。RTFを中心として輪を広げたい。そのために、今はまず、より多くの方にRTFを知ってもらい、利活用を増やすことが必要だと感じています」と本宮さん。

今年3月には、RTF主催のイベントとして、ドローン・ロボットの実演デモを伴う、大規模な実演展示会「ロボテスEXPO 2021」を開催。RTF各施設の実験環境を参加事業者に紹介できたのはもちろん、ビジネスマッチング創出の場にもなったと言います。

「ロボット産業が活性化するためには、様々な要素が必要です。ロボット本体、動かすための工学的要素やソフトウェア、最新の通信環境、さらには法律など。いろんな知見、ノウハウを持った人たちが連携することで初めて成り立ちます。RTFはそんな様々な分野の人々が集い、交流する場でありたいと思います」robot_14.jpg

日本を代表するロボットのまちへ。福島ロボットテストフィールドが果たす役割に大きな期待が寄せられています。

RTFはロボットの実証試験目的以外での利用も受け付けているそう。昨年はフィールド全体を使用したコスプレ撮影会が行われたとか。
「県の施設ですので、利用ルールを守っていただければ一般の方も使えるんですよ。気軽に利用していただけたらと思います」と本宮さん。

実際の使用環境に限りなく近づけた設備、5Gの通信環境を備えるRTFは、今後も様々なフィールドロボットの開発を支えていきます。

福島イノベーション・コースト構想
福島ロボットテストフィールド

福島県南相馬市原町区萱浜字新赤沼83番 南相馬市復興工業団地内

HP
https://www.fipo.or.jp/robot/

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