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農作物の鳥獣被害が拡大!
ICTで捕獲従事者のワナ見回り負担を軽減

2021.12.24

現在、東北の各県ではイノシシやクマ、シカなどによる被害が増加しています。特にイノシシによる被害は年々拡大。生息域も北上しています。各自治体は侵入防止策と並行して捕獲対策を行っていますが、大きく個体数を減らすことは難しい状況です。ドコモではこうした課題の解決策として、ICTを活用し、装置をワナに取り付け振動を感知し、GPS付きでメール通知するシステムを開発。2016年から実証実験を行い、2021年に商品化しました。

猟師の高齢化が課題に

 イノシシによる農業被害額は19年度に東北全体で約27800万円。12年度の11400万円から2倍以上に増加しています。山形県はとくに被害が大きく、被害額は12年の10倍に達しました。

里芋畑被害(イノシシ).jpg

イノシシが掘り返した畑

こうした被害に対し、自治体では農地の周りに電気柵を設けるなど、イノシシを寄せ付けないようにする対策を実施。併せて、地元の猟友会などに依頼し、ワナを仕掛け、捕獲する対策を行っています。しかし、捕獲従事者は年々減少。若い担い手が増えず、猟師の高齢化が進んでいます。

狩猟は想像以上に体力を必要とする仕事

捕獲のためにはまずワナの設置が必要です。一人の猟師が設置できるワナは30基までと決められていますが、動物が出没する場所が広範囲に渡る場合は、ワナを車で運び、複数設置しなくてはならず、これだけでも大変な仕事です。そのため、なかなか30基までは仕掛けられません。

また、いったんワナを仕掛けると、毎日見回りをしなくてはなりません。もし、獲物がかかっていたら、長時間放置するわけにはいかないからです。猟師の高齢化が進む今、この見回りも大きな負担となっています。

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箱ワナと呼ばれるワナ

ICTで解決できないか?

ドコモの東北復興新生担当では、こうした鳥獣被害に対して、ICTを利用して何か対策はできないかと考えました。鳥獣害対策に大きな予算がかけられない自治体が多い中、費用がかかる新規のICT製品の開発は現実的ではありません。目をつけたのは、高齢者の位置情報を見守る既存のシステム。この仕組みを利用すれば、振動を感知した際にGPS付きでメールをスマホに送ることが可能です。こうして開発がスタートしたのが2016年。まず取りかかったのは、基盤を納めるための箱選びでした。

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担当者自らケース専門店を回り、様々なケースで試作。
中には写真のようなお弁当箱のようなものもありました

強度、温度の影響、現場での扱いやすさなどをチェックし、複数の自治体で実証実験を重ね、ケースを選定しました。

舟形町では5年でイノシシが急増

2018年に実証実験に参加いただいた山形県舟形町様では、5年前から急にイノシシの被害を受けるようになったといいます。農業振興課で鳥獣害対策も担当する金田さんはこう話します。

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舟形町役場 農業振興課 農業振興係の金田直さん

4年前に私が赴任した当時はクマの目撃情報が多く、イノシシの目撃情報はありましたが、被害はほとんどありませんでした。実際、町民の皆さんも5年前は町でイノシシを見たことがないと言っています。ところが、平成31年からイノシシの被害が出始め、ここ2〜3年で急増しました。田畑に侵入して稲を倒伏したり、野菜を掘り返すため、被害額が大きくなっています」

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イノシシによって稲が倒伏された水田

もともと山形ではイノシシによる被害は少なかったと言います。ところが年々頭数が増えて、被害エリアが拡大。北上してきたイノシシを舟形町でなんとか止めたいと思っていたそうですが、一気に県内全域に広がったそうです。

ワナの見回りがぐんと楽に

免許と技術を必要とするワナの仕掛けや捕獲に関しては、舟形町では地元の猟友会の猟師の皆さんに協力をお願いしています。猟友会の会員は現在21人。高齢化が進み、若い世代に担い手が少なく、猟師の皆さんの負担は増える一方です。

「猟友会の方々と対策を話し合っているときに、罠の見回りを軽減する商品はないのか?という話になりました。ちょうどその頃、ドコモさんが罠の振動感知をGPS情報と一緒にメールで知らせる商品の実証実験をやっていると知り、早速取り寄せ、猟友会に使用してもらいました」と金田さん。

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現在の商品。実証実験では黄色のケース時代のものを
使っていただきました

猟師の皆さんからは、感度がとてもいい、見回りの負担が大きく減るという声が上がった一方、当時は、黄色の大きなケースで檻の上に設置する仕様だったので、大きくて使いづらい、現場でのセットが複雑、などの声も。

こうした現場の猟師の皆さんからの意見を受け、製品は大幅に小型化。強度も上がり、操作もシンプルになりました。

元猟友会の事務局長を務めていた八鍬さんは、こう話します。

「現場に出る猟師が高齢化しているため、ワナを仕掛けるのも大変ですし、各ワナを見回るのも体力が必要。ワナにかかったイノシシは獣ですよ。暴れるから、危ない。実際に現場に出る猟師は命がけです」

しっかり勉強してから現場に出ないと怪我をする仕事。猟銃の扱いにはもちろんのこと、ワナの仕掛けにも免許が必要なのはそのためです。現場の状況は毎回変わるので、油断せず、常に学ぶ姿勢も必要です。舟形町では、猟友会と協力し、農家を対象とした被害防止のための講習会や、新規狩猟免許取得希望者向けに各種の講習会を積極的に行っています。

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猟友会で事務局長を務めた八鍬則昭さん

「普段は別の仕事をしていて、週末だけ猟師の活動をしている人も多いんです。ただ、いつ獲物がワナにかかるかわからないので、いつでも動ける猟師が必要になる。そうすると、退職した猟師が活動することになります。体力勝負なので、高齢の猟師には負担が大きいですが、だれかがやらなければいけない仕事。だから、獲物がかかったことが通知されるような製品は大変助かります。これで見回りが減りますから」

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動物駆逐用煙火。かなり大きな音が出るそう。
取扱には講習会に参加し、免許の取得が必要

鳥獣害対策は、一朝一夕に進むものではありません。町が一丸となって、同じ意識で地道に取り組まなくてはなりません。

「農地の周りに電気柵を設置して動物が入れないようにしたり、動物駆逐用の花火で大きな音を出し、追い払うことも必要です。それでも来てしまう場合はワナをしかけて捕獲し、処分。こうした対策をバランスよくやっていくことが重要だと思っています。猟友会の皆さんの負担が少しでも減るよう、ICT対策も取り入れながら、今後も取り組みを進めていきます」と金田さん。

ドコモは今後も、振動検知システムに限らず、地域の鳥獣害対策に役立つ様々な提案を続けていきます。

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舟形町をはじめとする複数の自治体に
実証実験にご協力いただき、貴重な声を反映。
「Kagatta」は2021年3月に商品化されました

※「Kagatta」はセコム株式会社、ファームエイジ株式会社の特許を使用し実用化された製品です。
セコム株式会社
https://www.secom.co.jp/

ドコモの鳥獣害対策

Kagatta (GPSわな監視装置)
https://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/kagatta/

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